セールスフォース・ドットコムは12月15日、パートナーによるクラウド型アプリケーションの開発・提供を支援する「OEMパートナー・プログラム」を発表した。同プログラムでは、パートナーが同社のプラットフォーム「Force.com」上で独自の商用アプリケーションを開発し、一般市場に提供することが可能だ。
代表取締役社長を務める宇陀栄次氏は、「クラウドはGoogleやAmazonが寡占すべき技術ではない。中小企業を含め、すべての企業に対してチャンスを与えるのがクラウド。ただし、セキュアなデータセンターが必要など、クラウドビジネスへの参入の敷居は高い。OEMパートナー・プログラムの提供によって、クラウドビジネスを手がけるベンダー、クラウドを利用できる企業を増やし、クラウドの利用を加速させたい」と述べた。
ISVはこれまでも同社のライセンスを販売することは可能だったが、ユーザーからすると、同社のプラットフォームのライセンス、ISVのアプリケーションのライセンスをバラバラで購入しなければならなかっていた。
これに対し、同プログラムを活用すれば、ユーザーにとってライセンス購入の窓口は一本化される。ISVはForce.Comを組み込んだサービスを独自の料金体系により提供でき、同社に対するライセンス料の支払いはエンドユーザーとの契約成立後に行えばよい。
同プログラムではパートナーにCRMを除くForce.comの機能をOEM提供するほか、「教育プログラムのディスカウント」、「OEMパートナー専用の開発環境の無償提供」、「開発者向けサポートメニューの提供」、「各種技術情報の提供」が行われる。
常務執行役員兼アライアンス&サービス統括本部長を務める保科実氏は、「Force.comは当社が1,000億円の投資、30回のバージョンアップを重ねることで安定稼働の実績を作り上げてきたプラットフォーム。セキュリティに対しても十分な対策を講じており、ユーザー企業からも信頼を得ている。このようなプラットフォームを多大な投資をすることなく利用できるというのは、ISVのクラウド参入の課題解決になるはず」と説明した。
NEC、日立ソフトウェアエンジニアリング、富士通、ジラッファ、日本オプロは、OEMパートナーとしてForce.com上でアプリケーションの開発・提供開始することを決定しており、製品発表会には各社の担当者が出席していた。
NECでITプラットフォームビジネスユニット システムソフトウェア事業本部長を務める池田治巳氏は、「今後、一企業において単一のサービスを利用するよりも、複数のサービスを組み合わせて利用するケースが増えるだろう。こうした状況を踏まえると、セールスフォースとの連携は顧客にとってメリットを与える」と述べた。
また、日立ソフトで産業システム事業部執行役事業部長を務める秋山恵穂氏は、「Force.comは短期間でアプリケーションを開発し、その改善を継続して行えるという点で魅力的。実際、Force.comの利用によって生産性が上がっている。また、コストを算定する場合、イニシャルコストだけでなく、メンテナンスや運用のコストも考慮する必要があるが、その点でもForce.comはメリットが大きい」と述べた。
日本オプロで代表取締役社長を務める里見一典氏は、「当社のような規模が小さな企業がデータセンターを抱えることは難しく、当社が海外進出できたのはForce.comのおかげ。顧客に対しても、セールスフォースのデータセンターからサービスを提供するということで信頼を得ている」と、Force.comの利用によって得られたメリットをアピールした。