米Intelは12月4日(現地時間)、同社が2010年リリースに向けて開発を進めていたグラフィックス向けプロセッサ「Larrabee (開発コード名)」をキャンセルしたことを認めた。米Wall Street Journalなど複数のメディアが報じている。Intel内外のソフトウェア開発者向けにチップの提供は行うものの、GPUとして一般に流通することはないという。

Intelは当初Larrabeeの2009年内のリリースを計画していたものの、開発の遅れから2010年リリースへと目標時期をずらしていた。2009年9月に米サンフランシスコで開催されたIntel Developer Forum (IDF)ではLarrabeeを用いた物理シミュレーションデモを初披露、一部ソフトウェア開発者向けにサンプルチップの配布を行ったことを公表していた。今回の計画キャンセルの理由は不明だが、ソフトウェア開発環境が整っていないこと、性能が当初の想定ほど引き出せなかったことなどが予想される。

これまでハイエンド向けGPUの市場はNVIDIAと、ATIを買収したAMDの2社のほぼ独占状態だった。これら2社はPC向けのグラフィックだけでなく、近年ではGPUの演算性能を活用してCPUの補助や超並列演算を行うGPGPUと呼ばれる仕組みを整備しつつあり、新たな市場開拓を目指している。チップセット一体型グラフィックでGPU市場では圧倒的なシェアを誇るIntelだが、こうしたハイエンドGPUやGPGPU市場は攻略できておらず、x86互換をもつLarrabeeのリリースで先陣を切る2社を追撃する計画だった。

WSJによれば、現時点でIntelはLarrabeeに続くハイエンドGPUやGPGPUの計画を明らかにしていない。一方でLarrabee自体の開発は継続していくという話もあり、第2・第3世代以降のLarrabeeが数年後に市場投入される可能性もある。

2009年の春のIDFでは、製品出荷は2009年末~2010年になると予告されていた