オリンパスは12日、小型のレンズ交換式デジタルカメラの新製品「OLYMPUS PEN E-P2」を12月上旬から発売すると発表した。既存モデルの上位機種として位置づけられ、電子ビューファインダー(EVF)に新たに対応するなどの新機能を追加した。価格はオープン。

「OLYMPUS PEN E-P2」。カラーはブラックとシルバー。レンズは「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」

E-P2は、マイクロフォーサーズシステム規格に準拠したコンパクトなレンズ交換式デジカメで、ミラーレス構造で小型化した従来機の「E-P1」と同様、120.5(W)×70(H)×35(D)mm、約335gのコンパクトボディを実現している。また、従来のシルバー、ホワイトモデルに対し、E-P2ではシルバーとブラックの2色になった。

E-P2では、新たに背面上部にアクセサリーポートを搭載。新開発となる視野率100%・144万ドットの高精細EVF「VF-2」を装着することで、ファインダーをのぞいて撮影することが可能になる。VF-2は同社の「E-3」並みという倍率1.15倍を実現し、接眼部は上に持ち上げることで、のぞき込むようにして撮影するスタイルに対応できる。ボディカラーに合わせてシルバーとブラックの2色が用意されており、価格はそれぞれ31,500円。発売は12月上旬。

本体上部にあるのがアクセサリーポート。それ以外の背面のデザインは従来と同じ

さらにアクセサリーポート用のオプションとして「マイクアダプター EMA-1」も用意される。外付けマイクの接続が可能で、動画撮影時により高音質のステレオ録音が可能になる。既存の「ステレオマイクロホンセット ME51SW」とのセット「マイクセット1 SEMA-1」として発売され、価格は11,235円。発売は2月下旬。

EVFの「VF-2」を装着したところ。VF-2の接眼部は可動式。なお、このアクセサリーポートに同じマイクロフォーサーズ機「LUMIX DMC-GF1」のEVFは装着できない

主なハードウェアの変更はアクセサリーポートの搭載のみで、有効画素数1,230万画素のハイスピードLive MOSセンサー、画像処理エンジン「TruePic V」の搭載など、主なスペックは従来通り。AFもこれまで通り撮像素子を使ったコントラスト検出方式の「ハイスピードイメージャAF」で、今回新たに「動体追尾AF」を搭載。画面内で動く被写体を追尾してピントを合わせ続ける機能で、半押しでAF合わせをした状態でピントが追尾してくれる。

アクセサリーポートの新設以外は、内部構造にもほとんど変更がない

E-P1で特徴的だった「アートフィルター」は、新たにジオラマ、クロスプロセスの2つのフィルターを追加。ジオラマは、ピントの急激な変化、発色とコントラストの強調を行うことで、ジオラマを撮影したような写真になるフィルター。クロスプロセスは、ポジフィルムをネガの現像方法で現像したときのような、現実にはあり得ないカラーバランスを再現し、不安定で非現実的な雰囲気を表現できる、という。いずれのフィルターも、動画撮影時にも利用可能だ。

おまかせ撮影機能の「iAUTO」では、カメラが被写体を判断、分析して仕上がりモードを自動的に設定する「i-FINISH」を搭載。iAUTOでポートレート・風景・マクロ・スポーツ・夜景・夜景&人物といったシーンを認識、i-FINISHが主要被写体を、より際だつようにしてくれる。

動画撮影機能では、前述のアートフィルター2種類が追加されたほか、「マニュアル露出モード」が搭載され、より高度な撮影が可能になった。そのほか、HDMI経由でテレビに接続した際に、テレビのリモコンでカメラを操作できる「HDMIコントロール」機能が追加されている。

発売されるのはボディ単体、「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6」とのレンズキット、「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」とのパンケーキキットの3種類。ボディ単体は受注生産で、実売想定価格は10万5,000円前後。レンズキットは同11万5,000円前後、パンケーキキットは同12万5,000円前後。なお、新しいアートフィルターなどの機能は、ファームウェアのアップデートによるE-P1への対応も検討しているそうだ。

また、同社は交換レンズ2種類の開発発表も行っている。現時点では2010年上半期に発売するとしか決まっておらず、価格や詳細なスペックは未定だ。

発表されたのは「M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6」「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6」の2本。広角ズームレンズと、高倍率ズームレンズのラインナップが追加されることになる。いずれもED(特殊低分散)レンズを採用し、色収差を良好に補正したという。

広角ズームレンズの「M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6」。沈胴式のため、実際の撮影時にはさらに伸びるが、持ち歩き時は非常にコンパクト

10倍ズームの高倍率ズームレンズながら細身の「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6」。こちらは沈胴式ではない

9-18mmのレンズは、サイズにこだわり、標準レンズ14-42mmと同様の沈胴式を採用したことで、同社の広角ズームレンズ「ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6」に比べて体積比50%以下を実現し、沈胴時の全長は5cm以下になるという。また、AFの高速化、静音化も図った。

高倍率ズームレンズの14-150mmは、徹底的な小型化で現時点で世界最小・最軽量の10倍ズームレンズで、特に太さにこだわり、約65mmという細さになっている。AFの高速化、静音化も図られている。

E-P2に装着した「M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6」

これでオリンパスのマイクロフォーサーズレンズは4本となる

これに伴って同社ではレンズロードマップを更新。2011年春までには魚眼単焦点、広角単焦点、マクロ単焦点、超望遠ズームの4レンズを投入する計画になっている。

このほかオプションとして、本革ボディージャケット&レンズケースセット「CS-12BLMBLK」(9,450円)、本革小物ケース「CS-16BLK」(4,410円)、本革ショルダーストラップ「CSS-S111LBLK」(4,410円)、本革ハンドストラップ「CSS-S110LS」(3,570円・以上、12月中旬発売)、本革ボディージャケット「CS-10BBK」(5,670円)、本革ショルダーストラップ「CSS-S109LLBK」(5,040円)、アルミケース「CBG-3SLV」(12,600円・以上、12月上旬発売)が用意される。

「CS-10BBK」と「CSS-S109LLBK」をE-P2に装着したところ