東京エレクトロン デバイス(TED)とTISは10月27日、TEDが国内総販売代理店を務める米Greenplumのデータウェアハウス(DWH)用エンジン「Greenplum Database」に関し、同日付で販売代理店契約を締結、TISと同製品の販売契約を締結したことを発表した。

東京エレクトロン デバイスの取締役執行役員 CN事業統括本部長である天野勝之氏

Greemplumとの提携について、東京エレクトロン デバイスの取締役執行役員 CN事業統括本部長である天野勝之氏は、「2008年の秋にGreenplumとは販売代理店契約を締結したが、その後半年ほど社内評価を行ってきた。すでに大手キャリアなどで評価が進んでおり、2010年3月までに8社程度が評価を行う予定」とするほか、TISとの提携については「TISが狙うクラウド戦略がTEDの戦略とマッチングした結果であり、今後は協業して事業の拡大を狙っていきたい」(同)とする。

GreenplumのVice President&General Manager,Asia Pasific and JapanであるKeith Budge氏

Greenplumは2003年に設立された比較的若い企業だが、クラウドコンピューティング環境下におけるハイパフォーマンスDWHを提供することを目的に掲げ誕生した企業であり、「高いデータベースの活用効率と低コストの両立を実現することにより世界一のDWHを実現したい」(GreenplumのVice President&General Manager,Asia Pasific and JapanであるKeith Budge氏)とする。

今回の提携により販売が行われるのはGreenplumが提供する第1世代品であり、「PBクラスのDBの構築が簡単に行えるシステム」(同)という。すでに幅広い分野において100社近くの大手顧客が採用しており、世界最大級となるeBayでは6.5PBのデータベース活用を実現しているとする。

第1世代品の主な導入企業など(すでに100社近くの企業が採用しているという)

また、第2世代品として、クラウドを用いたデータベース活用に向けた製品群を構築しており、「クラウドで用いられる主要な部分はすでに準備済み」(同)とする。

第2世代は"エンタープライズクラウド"向けプラットフォームとして提供を行う

東京エレクトロン デバイスのCN事業統括部 プロダクト推進部部長である上善良直氏

TEDがGreenplumのDWHを選択した理由について、東京エレクトロン デバイスのCN事業統括部 プロダクト推進部部長である上善良直氏は、「データが増大する現代、従来のDWHではサーバやストレージへの大規模投資や、大量データへの対応のためのチューニングが必要であり運用コストが高くついていた。また、選任スタッフの用意などを用意する必要などもあり、例えば流通業のDWHインフラへの投資は200億円以上、キャリアのDWHインフラ投資で500億円以上、数TBの小規模なDWHインフラでも1億円程度と投資費用が高いのが課題となっていた。ソフトウェアメインのGreenplumのDWHでは、導入コストを従来のアプライアンス製品比で数分の1に下げられるほか、運用コストも数分の1に下げることができる」とコスト面が理由の1つとする。

また、DWHのエンジンとして、シェアード・ナッシング型の超並列処理技術を実装したことにより、必要に応じて汎用のPCサーバを増やすだけでシステム全体の処理能力を向上させることが可能なため、「データ量が増加しても処理性能を一定に保つことができる」(同)ことも選択した理由になっているという。

シェアード・ナッシングの場合、分散処理が可能なため、データ処理時の負荷を抑えることが可能

同DWHのアーキテクチャとしては、SQLなどの前段にマスター・ホストを、それをネットワークもしくはインターコネクトでセグメント・ホストと接続することで、セグメント側の各サーバでデータを分散して保有、処理することでオーバヘッドを最小化することが可能となる構成となっている。マスター、セグメントともに汎用IAサーバが利用可能であり、基本的にはTEDやTISなどからサーバの提案も行うが、すでに保有しているIAサーバも活用することが可能だとのこと。

Greenplum Databaseのアーキテクチャ(3層のアーキテクチャで、セグメント側で入力時も出力時も分散処理を行う)

並列処理は、Greenplumのソフトスイッチ(通信プロトコル)「gNet」をセグメントホスト側に入れることで、外部ソースからの処理要求に対しダイレクトに分散処理を行い、パケット処理の最適化を実現している。このため、評価では16台の汎用サーバを用いて9.2TB/hのロードスピードを実現したという。

TISの産業統括本部 サービス&コミュニケーション事業部 執行役員 事業部長である後藤康雄氏

TEDと販売契約を締結したTIS側は、SAPなどの取り扱いなども行ってきた経験があり、幅広い顧客基盤を有しているのが特長。Greenplumの顧客への提案方法については「従来のDWHはROAやROIの最適化を行いたい企業にとってはデータが増大するとTCOの増大にもつながり必ずしもニーズに合致しているとは言いがたい面もある。Greenplumの製品は小さく始めて大きく育てることが可能なのが魅力。また、汎用IAサーバが使えるため、比較的安価にニーズに応じた最適ソリューションの構築が可能」(TISの産業統括本部 サービス&コミュニケーション事業部 執行役員 事業部長である後藤康雄氏)といった面を打ち出し、周辺のSI部分などを含めて提供していきたいとしている。

TISのDWHビジネスへの取り組みとGreenplumとの提携による顧客のメリット

また、TEDが2009年11月から検証センターを立ち上げるが、TISとしても「顧客からデータをもらって評価を行うようなサービスの提供を行う」(同)といった形での検証センターの立ち上げを計画しているほか、同社では2011年4月に東京品川にデータセンタの設立を計画しており、それの開所に併せた形でクラウド対応の第2世代品を自社メニューの1つに加えていくことでビジネスの拡大を狙いたいとしている。

TISとしては3つのビジネスを軸にDWHの提供を行っていくとする

GreenplumとTED、TISの関係とTED/TISのビジネス目標(両社で3年33億円の売り上げを目指す)