弥生は10月20日、同社が開発/提供する業務ソフト「弥生シリーズ」の最新バージョン「弥生 10 シリーズ」のラインナップを、12月4日に一斉発売することを発表した。同社代表取締役社長 岡本浩一郎氏は「弥生10(いちぜろ)では、2009年度で培った"原点回帰"というテーマをさらに推し進め、我々の顧客、すなわち中小企業、個人事業主、起業家のサポートの実践に愚直なまでに徹していく」と語り、「製品とサービスの両面で、顧客に"かんたん・やさしい・あんしん"を届けていきたい」としている。
弥生 10 シリーズのラインナップは「弥生会計 10」「弥生販売 10」「弥生給与 10」「やよいの青色申告 10」「やよいの給与計算 10」で、会計と販売については「スタンダード版」のほかに「プロフェッショナル版」「ネットワーク版」がそれぞれ提供される。
新製品の最大の特徴は、一部のパッケージの大幅価格改定に踏み切ったことだ。「やよいの青色申告 10」は定価1万500円で、今回から「電子申告の達人」が全製品にバンドルされるようになったため、09の同等製品に比較して25.9%のダウンを実現、また、「やよいの給与計算 10」も定価2万1,000円と、09から20パーセントのダウンとなっている。「弥生販売 10」「弥生会計 10」のプロフェッショナル版/ネットワーク版においても大幅値下げが実施されている。
また、弥生 10 シリーズではサポート範囲も拡充し、はじめて業務ソフトを使うユーザに対して行っていた無料導入サポートの期間が最大1カ月以上延長される。有償の保守サポートもサポートメニュー/レベルが追加/拡充されている。
さらに弥生 10 シリーズ全製品において「Compatible with Windows 7」ロゴを取得、Windows 7に対しては32ビット/64ビットの両方に「完全対応」していることを保証するという。
「やよいの青色申告 10」は定価1万500円。全製品に「電子申告の達人」がバンドルされ、09に比べお得感がアップ |
「弥生会計 10」「弥生販売 10」のネットワーク版も大幅値下げ。たとえば弥生会計の場合、5ライセンスwith SQLでは定価42万円、09の90万3,000円から53.5%のダウンとなる |
岡本社長は「業務ソフト市場は二極化がますます進んでいる」と市場を分析、弥生は従来から"低価格戦略"ではなく、"安定性と使いやすさ"を重視してきたが、弥生 10 シリーズではその戦略をさらに推し進めながらも、「"青色申告"なら量販店で1万円を切る」ラインまで価格を下げた。その背景には、中小企業の自計化が未だ進まないことが挙げられる。「業務ソフトと聞くと、"むずかしくて面倒"というイメージがなかなか払拭されない。これは我々メーカー側の責任でもある。弥生は決して低価格を謳う製品ではないが、価格のハードルを少し下げることで自計化に向かうお客様が増えてくれるのであればと思い、かなり思い切った価格改定を実施した」(岡本社長)
景気の回復が遅れているなか、業務ソフト市場もまた縮小気味であることは否めない。現在、弥生シリーズは「本数/金額ともにシェア1位」(同社)を維持してはいるものの、2009年度の売上金額は前年比微減となっている。だが岡本社長は「方向性は間違っていない。2010年度は、マーケットリーダーとしてさらなる市場拡大に努めることが責務」という。「業務ソフトは"かんたん・やさしい・あんしん"なものだということを、多くのお客様に実感していただきたい」(同社長) - 新たに生まれ変わった弥生 10 シリーズでもって、市場の拡大と深掘りをめざす。