既報の通り、富士通は9月25日、病気療養による野副州旦氏の代表取締役社長辞任と、代表取締役会長の間塚道義氏の社長兼任を発表した。
社長交代の記者会見は、9月25日の夜に富士通本社で行われたが、そこに野副氏の姿はなかった。同日、野副氏は出社していたそうだが、体調を考慮して記者会見の出席は見送られた。間塚会長によれば、野副氏は疲れた様子だったという。
野副氏の辞任は、間塚会長にとっても、会社にとっても突然のできごとだったようだ。間塚会長は、連休前に野副氏に会って、中堅市場について話をしたそうだが、とくに変わった様子はなかったという。間塚氏も「辞任する状況とは思っていなかった」と語り、野副氏の辞任が想定外であったことをうかがわせた。
野副氏から辞任の申し出があったのは、25日の定例の取締役会の前で「療養に専念したいので、社長の職務を全うできない」と述べたという。その後、取締役会が開催され、辞任が承認されたという。
病名については、プライバシーの問題で公表されなかった。野副氏は、9月25日付で相談役に退いたが、当面出社はせず、治療に専念するという。
次期社長については、透明性を確保するため、指名委員会を設置し人選していくという。間塚会長は、「(野副氏は)元気にやっておられたので、後任は考えていなかった。まずは、企業活動の継続性を考え、当面私が社長を兼任させていただくが、緊急事態の影響を最低限に抑え、しかるべきタイミングで次期社長を選任したい」と述べ、間塚会長の社長兼任は一時的なものであることを明らかにした。
間塚会長は野副さんについて「今回の件は、非常に残念だ。野副さんは構造改革に取り組んでいたが、あれだけ精力的に取り組める人はなかなかいない。従業員一丸となってこの難局を乗り越えていきたい」と述べた。
現在進行中の中期計画について間塚氏は「みんなで考えたもなので、変えるつもりはない。プランはできているので、あとは実行するだけだ」と述べ、新社長になっても変更はせず、引き続き継続していく姿勢を表明した。