ソフトバンクテレコムとツールズは18日、パートナー契約を締結し、携帯電話を使って農作業に必要なすべての工程管理ができる農業向けの専用ツール『TOOLS AGRI(ツールズ アグリ)』を、農業法人や食品加工会社向けに販売開始したと発表した。
農林水産省や民間団体などは、消費者から信頼性を確保するための取り組みとして、農家への農作物の生産工程管理「GAP(Good Agricultural Practice)」の導入を推進している。GAPとは、農産物の安全性を確認するために農作業の各工程を記録・点検する「工程管理」によるトレーサビリティ実現の手法だが、GAPを導入した生産者は各工程に関わる多くの管理記録を残さなければならないため、記録作業が負担になっていた。また、農協や食品加工会社なども、管理項目が多くなると記録をチェックする作業も多くなるため、農作物の安全性の確保とともに、工程管理の効率化が課題となっていた。
「TOOLS AGRI」は、ソフトバンクの携帯電話専用に開発された工程管理ソフトで、GAPの基本的な管理項目が標準で搭載されている。「メニュー画面からワンクリックで入力画面を呼び出し、農作業の合間でも工程手順に沿って、撮影した画像・画像情報・位置情報などの必要事項を簡単に入力することが可能となっている」(ソフトバンクテレコム)。
入力されたデータはPCからも閲覧が可能なため、生産者だけではなく、農協や食品加工会社などの管理側とも情報の共有ができる。そのため、「すべての管理作業を携帯電話とPCで一元管理し、トレーサビリティが実現可能」(同社)。終日農作業で外にいる生産者にとっては、これまでは帰ってから自宅でノートやPCで行っていた工程管理をTOOLS AGRIに変えることで、「農作業の合間でも管理業務ができるようになり、作業全体の飛躍的な効率化が実現できる」(同)。
また、TOOLS AGRIの機能を利用して、携帯電話を使って農作業中に撮影した畑の様子や作物の情報をQRコードとして出荷物に印刷貼付することで、「消費者にダイレクトに食の安全についてアピールすることも可能となっている」(同)。
ソフトバンクテレコムとツールズは、「全国の約3,000社の農業法人に対して、TOOLS AGRIを使った農作業の工程管理の効率化について提案していく」としている。