Skypeの創業者兼元オーナーだった2名が設立した会社Joltidは9月16日(米国時間)、現在Skypeの親会社である米eBayならびに、eBayからのSkype買収を計画する投資会社連合に対して、著作権侵害を訴える訴訟を米カリフォルニア州北地区裁判所に申請した。米Wall Street Journal(以下、WSJ)など複数のメディアが17日に報じている。

Janus Friis氏とNiklas Zennstrom氏が設立したインターネット電話企業Skypeは、2005年にeBayによって買収された。だがその2年後、両氏はSkypeを去って前述のJoltidを設立しており、P2Pでの通信を実現する「global index」と呼ばれる技術の権利を管理している。このP2P技術はSkype通信のコアとなっており、JoltidからSkypeにライセンスする形で利用されていることになる。だが、JoltidとSkype (ならびに親会社のeBay)の両社が英国の裁判所で著作権問題での係争に入った今年3月以来、Joltidは同技術のSkypeへのライセンスを停止している。

Niklas Zennstrom氏(左)とJanus Friis氏

今回のJoltidの訴訟の狙いは、同技術を著作権侵害を起こしつつ利用しているSkypeへの差し止め命令と、このような形でSkypeが得た利益を還元させることにある。Joltidによれば、Skypeは"global index"の技術を少なくとも2007年の段階から同社の許可しない形で利用しており、例えばソフトウェアを第三者に提供したり、あるいは複製や改変を行ったりしているという。こうした形でJoltidが受けた損害は、1日当たり7,500万ドル以上になるというのが訴えの内容だ。

WSJによれば、こうした一連の訴訟問題をSkypeが抱えることは、同社のスピンオフとIPOを計画するeBayにとってもマイナス効果であり、最悪のケースではSkypeの売却撤回という結果になる可能性もあるという。だがSkype買収を計画する投資会社連合は、eBayとの交渉の際にこの一連の訴訟問題を認識していたようだ。

このほか、訴状の被告には先日Joost会長を解任されたMike Volpi氏の名前も挙がっている。JoostはFriis氏とZennstrom氏が設立したSkypeとは別のベンチャー企業で、米Cisco Systemsを離れたVolpi氏がCEOに就任していた。だが同氏は9月に会長職を解任され、現在Joltidが訴訟対象としているSkype買収に参加する投資会社連合の1つ、Index Venturesのジェネラルパートナーに就任している。