BCNは9日、全国の大手家電販売店から収集した実売データを集計する「BCNランキング」にもとづいた、「デジタルカメラ」「薄型テレビ」「携帯オーディオ」における売れ筋の分析結果を都内にて発表。それぞれの製品ジャンルごとに、BCNアナリストである道越一郎氏による解説をご紹介したい。
携帯オーディオ2強の寡占状態
アップルが242週ぶりに週次シェアトップを逃し、ソニーが首位を獲得したことが大きな話題となっている携帯オーディオ市場。しかしながら市場全体では、新しい風がふかず、2月以降前年割れが続いている。台数はほとんど拡大しておらず、金額は縮小傾向という深刻な状態であるという。
また、首位に躍り出たソニーでは単価下落が8月に急伸しており、「価格帯の違いが、アップルとの台数シェア争いで効いているのではないか」と道越氏。価格帯別の台数構成比では、中心価格帯が1万円台後半のアップルに対して、ソニーでは1万円台前半となっている。
アップルの場合、堅調なiPod nanoを支える脇役を欠くことが弱点。「新たに投入した新型iPod shuffleは不発」となっているうえ、iPod touchを買うユーザーがiPhoneにながれてしまっているなど伸び悩んでいる。一方、ソニーでは、ウォークマン「Sシリーズ」が好調。さらに「Eシリーズ」がしっかりとした売上げで貢献しているようだ。
道越氏は、Sシリーズ拡大の要因を「スピーカーにある」とよむ。Sシリーズでは、本体と一体感のあるデザインを採用した専用スピーカーを用意。スピーカーの売上げも前年比で20~30%増加しているという背景もあり、「コンポなどが家庭から姿を消していっている昨今、"イヤホンで聞きたいとき"にも、"スピーカーで聞きたいとき"にもつかえる携帯オーディオというソニーの戦略が当たっている」としていた。
月次販売台数シェアでは、いまだアップルが首位となっているが、その差は3.9%と確実に縮まってきているようだ。今後、両社の攻防がどうなっていくのか。10日に発表される新型「iPod」が大きな鍵となってくることは間違いない。