米Googleの音声通話アプリケーション「Google Voice」のiPhone向けバージョンのApp Storeへの登録が、米Appleによって却下されていることがわかった。7月28日(現地時間)になり複数のメディアが報じている。

Google Voiceは、以前にGoogleが買収したGrandCentralという会社のサービスを引き継いで再ブランディングしたもの。いわゆるVoIPでのデータ通信越しでの音声通話を実現するサービスだが、その特徴は一般電話回線から携帯電話、果てはインターネット電話のアカウントまで、すべての電話番号を統合して共通のメールボックスで管理できる点に特徴がある。今年3月にGoogle Voiceとしてのプレビュー版が初公開され、7月にはこれまでのPC向けアプリケーションだけでなく、BlackBerryとAndroid対応のモバイルアプリ版も登場している。

当件を最初に報じたTechCrunchによれば、AppleによるGoogle Voiceの差し戻しが判明する6週間前に同社は当該のアプリを審査に登録したという。時期的には6月中旬にあたり、おそらく前述のGoogle VoiceのBlackBerry版やAndroid版と一緒にリリースする計画だったと思われる。差し戻しの理由についてAppleでは「iPhone OSとの機能の重複」を挙げているようだ。以前にもSkypeなどの同種アプリがVoIPの機能制限を条件にApp Storeへの登録を許されたように、同じような問題がGoogle Voiceにも発生していると考えられる。

奇妙な現象はほかにもあり、例えば以前には登録が認められていたGoogle Voice APIに対応したアプリ群が、今回の本家Google Voiceの審査落ちとともにApp Storeから一斉に登録抹消されたようだ。TechCrunchではそのうちの1つであるGV Mobileの開発者への接触に成功しており、同アプリのApp Storeへの登録を個人的に承認していた米AppleシニアバイスプレジデントのPhil Schiller氏からアプリ作者であるSean Kovacs氏に対しお詫びの連絡が届いているという。

また28日のNew York Timesの報道によれば、Google Voiceだけでなく「Google Latitude」のiPhoneアプリについても審査落ち対象となったようだ。Google Latitudeは自分の現在位置を地図上に投影し、近くの友人とコミュニケーションをとるためのツール。その特性上、携帯電話等からの利用に向いている。Googleは先日、iPhoneからの利用が可能なWebブラウザ版Latitudeの公開を行っているが、これもまたApp Storeの審査に通らなかったことを受けての措置のようだ。