日本ヒューレット・パッカードは6日、最新CPUを搭載したワークステーションの新製品「HP Z Workstation」シリーズを発表した。13日から同社直販サイト「HP Directplus」で受注を開始し、4月下旬から出荷を開始する。新きょう体を採用し、高スペックを実現するなど、「究極のワークステーションとして位置づけたい」(同社)と意気込む。
CPUには、Intelが同日に発表した最新のXeonプロセッサを採用。「HP Z800 Workstation」「HP Z600 Workstation」「HP Z400 Workstation」の3製品をラインナップする。すべてCTOに対応し、価格はそれぞれ210,000円から、176,400円から、165,900円からとなっている。
きょう体デザインには、BMW Group DesignworksUSAを起用し、側面のパネルにはヘアライン加工されたアルミの1枚板を使うなど、「高級感、所有しての満足感が得られるデザイン」(同)に仕上げた。
Z800やZ600では、内部デザインは、効率的なエアフローになるよう配慮した他、電源ユニットやHDD、光学ドライブなどは簡単に取り外して交換できるようにした。ハイエンドモデルのZ800では、密閉性の高いカバーも備え、それぞれのパーツが熱の影響を受けにくくし、ファンの騒音も低減した。
Z800には電源効率88%の「80 PLUS SILVER」、Z600/Z400には同85%の「80 PLUS BRONZE」認定の電源を採用。従来は2W~5Wだった待機電力を1W以下に抑える「HP WattSaverテクノロジー」を備え、重量比で90%以上のコンポーネントをリサイクル可能にするなど、環境性能も高めた。
ハイエンドのZ800は医療画像を扱うなど、パフォーマンスが必要な分野での利用が想定され、Xeon搭載ワークステーションでは「もっともコンパクト」(同)というZ600は、金融やミッドレンジのCADなどの分野に適しているという。エントリーモデルのZ400は、ビデオ編集やエントリーCADに加え、個人でもRAW現像を行うなど、ハイパフォーマンスが必要なコンシューマーユーザーもターゲットとしている。
各モデルの特徴。Z800は最大でメモリ192GB、グラフィックスはNVIDIA FX5800を2基搭載してSLIを構築可能 |
プロ向けのグラフィックスカードの「ほとんどすべて」(同社)を選択することができる |
CPUの変更などによって高いパフォーマンスを実現したZシリーズでは、たとえばリプレース時期を迎えている旧モデルのHP xw4400/CT WorkstationとZ400を比べた場合、パフォーマンスは150~160%に向上し、1人あたりの作業時間が減って生産性が向上することでコスト削減が可能になり、26~31日程度で導入コストが回収できるという。また、Z800とxw8400を比べた場合も、損益分岐点は60~70日程度になるとしている。
同社は、ワークステーションをコアビジネスとして注力し、着実にシェア拡大を続けてきた。2008年は台数ベースで4期連続のシェア1位を獲得し、今年3月までの9期連続で2桁増を記録した。
世界的な経済危機で需要は落ちているものの、同社は「一過性のもの」との認識で、需要の落ち込みが大きいほど、回復する時は「大きな波が戻ってくる」と見ており、新製品の投入で販売を強化していく考えだ。