Khronosグループは9日、シンガポールで開催中のコンピュータグラフィックス関連の国際会議「SIGGRAPH ASIA 2008」において、C言語ベースのGPGPU実装「OpenCL 1.0」の仕様を公開した。
OpenCL (Open Computing Language) は、高い演算能力を持つGPUのパワーを一般的な計算に用いる実装「GPGPU」の一種。Appleを中心した数社により草案が策定され、その後グラフィック技術の標準化を推進する非営利団体のKhronosに提出、正式な規格とすべく作業部会による仕様の取りまとめが行われていた。
公開されたOpenCL 1.0の仕様書は全302ページから成り、並列処理の拡張が施されたISO C99のサブセットであることや、OpenGLおよびOpenGL ESなどKhronosが取りまとめる他のグラフィックスAPIとの連携などについて、詳細な情報が記載されている。
今回のリリースにあたりKhronosグループ代表のNeil Trevett氏は、「オープンかつクロスプラットフォーム標準のOpenCLは、Khronos APIエコシステムにおいて中心的な役割を演ずる次世代ソフトウェア開発のための基本技術だ。来年内には実装例を見ることができるだろう」と述べた。
米Appleソフトウェアエンジニアリング部門上級副社長のBertrand Serlet氏は、「Snow Leopardのあらゆるアプリケーションが、かつてはグラフィックスアプリケーションだけが使えた驚くべき計算能力を活用できるよう、アップルはOpenCLを開発した」と、2009年のリリースが予定されているMac OS Xの次期バージョンへの影響についてコメントしている。