NTTドコモは5日、携帯電話の新シリーズ発表に伴い、新サービスとして「iコンシェル」を発表した。新シリーズの「目玉」(永田清人プロダクト部長)のサービスで、山田隆持社長は、従来の携帯電話を「何々ができるケータイ」と表現。それに対してiコンシェルによって「何かしてくれるケータイ」になると話した。

山田隆持社長

永田清人プロダクト部長

携帯電話は、これまで通話やメール、ネットなど、さまざまな機能を追加して生活をより豊かにする「生活支援」のツールだった。これが「~できるケータイ」だ。ただ、こうした端末はユーザーが能動的にその機能を使わなければならない。

それに対して「~してくれるケータイ」は、ユーザーの行動を支援してくれ、ユーザーに適した情報などを端末側が提供してくれる、というもの。これによってケータイを「パーソナル化」するのが今回の「iコンシェル」だ。ドコモでは「ケータイがまるで執事やコンシェルジュのように、お客様一人一人の行動をサポートするサービス」と表現する。

究極のパーソナルケータイを目指すiコンシェル

ケータイが執事になる

iコンシェルでは、羊のキャラクター「ひつじのしつじくん」が待受画面に現れ、プッシュで送られる情報が画面に表示されるので、それにアクセスすることで詳細情報が得られる仕組み。情報は、ユーザーの生活エリアや趣味嗜好に合わせたものが配信される。

利用イメージ。情報やスケジュールがプッシュで配信される点が特徴

実際に情報が配信されたところ。プッシュで自動配信される

ケータイをパーソナライズ化するために、iコンシェルでは端末内に保存された情報を利用する。具体的には、電話帳データ、スケジュールデータ、おサイフケータイを利用したクーポンサービス「トルカ」のデータを利用する。

提供コンテンツは当初から200コンテンツ以上

コンテンツプロバイダの一例

端末内のこれらのデータをまずドコモのサーバにアップロードし、それにドコモが把握している契約者情報などを加え、エージェントエンジンが解析。そうして取得された情報をユーザーに配信する仕組みだ。サーバに保存された情報はドコモからの見アクセスされ、情報を提供するコンテンツプロバイダ側には情報は渡らないようになっているそうだ。

サーバにデータを預けることでパーソナライズ化を実現する

配信される情報は「インフォメーション」「iスケジュール」「トルカ」「電話帳」の4種類。「インフォメーション」では、自宅の最寄り駅(設定で変更可能)の鉄道運行情報やッ渋滞情報、警報などの気象情報、地震情報など、当初は56コンテンツが提供される。

ドコモから提供されるインフォメーション

「iスケジュール」は、端末のカレンダーにアーティストのライブなどイベント情報を自動で登録し、プッシュで最新情報に更新してくれるサービス。例えば月末になると来月の予定が自動で更新され、入力されるほか、ビデオレンタルをするとその返却日が待受画面に表示され、スケジュールにも自動登録される、といった機能が提供される。

端末のカレンダー。レンタルDVDの返却日が登録されている

「トルカ」は、店舗で取得したりネットからダウンロードしたトルカに対し、最新の情報に更新するサービス。「電話帳」は、サーバに保存した電話帳に店舗の番号があった場合、自動的にその店の営業時間や住所などの情報を入力してくれるというもの。

トルカは自動更新されるので、常に最新の情報が利用できる

インフォメーションやiスケジュールなど、当初は210のコンテンツを用意。今後順次拡大していく考えだ。

また、待受画面に出てくる執事役(デフォルトはひつじのしつじくん)は「マチキャラ」と呼ばれ、コンテンツプロバイダが提供するキャラクターに変更することも可能だ。現在、ドラえもんやキティといったキャラクターに加え、iアバターとして自分でマチキャラを作成することもできる。iアバターでは、アニメ「機動戦士ガンダム」の人気キャラ・シャアの制服とマスク、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のキャラ・綾波レイのプラグスーツなど、約1,000点のさまざまなアイテムでキャラクターを作成できるようにした。

作成できるiアバターは、iコンシェル以外でも利用できるようになる

現時点では、集積される情報自体が少ないため、iコンシェルで提供されるサービスも限られたものになっている。ドコモ側では、電話の履歴やGPSによる位置情報など、利用できる情報はさまざまあるとし、今後もこうした情報の利用からパーソナル化の推進を検討していく考えだ。

iコンシェルの利用には対応端末が必要で、今回新発表された端末22機種の内、13機種が対応する。利用には月額210円が必要。コンテンツによってはさらに月額料金が必要なものもある。