富士通は、メインフレームのアプリケーションに手を加えることなく、オープン環境やWebからアクセスすることを可能にする連携ソフト「Interstage Host Access Service V10」を本日から販売すると発表した。

ソフトウェア事業本部アプリケーションマネジメント・ミドルウェア事業部 部長 安部雅英氏

ソフトウェア事業本部アプリケーションマネジメント・ミドルウェア事業部 部長 安部雅英氏によれば、メインフレームのユーザーには、独自アプリケーションのため出張先など出先からアクセスできない等利用範囲が限定される、業務が独立し切り替え運用で非効率という不満があるという。一方で、メインフレームの技術者の不足、安定稼働しているアプリケーションに敢えて変更を加えたくない等、アプリケーションの修正に対しては消極的な理由もある。

ユーザーのメインフレームにおける課題

ソフトウェア事業本部 基盤ソフトウェア事業部 事業部長 藤岡和人氏

そこで富士通では、メインフレーム業務のSOA対応を進めてきた。ソフトウェア事業本部 基盤ソフトウェア事業部 事業部長の藤岡和人氏は「ビジネスノウハウの蓄積、高信頼性、堅牢性のメインフレームと、最新のテクノロジが搭載されたオープンシステムをうまく組み合わせることが最善の解である。メインフレーム業務の継続利用を保証しつつ、SOAの考え方に基づき、ITシステム全体を最適化していく」と述べた。

メインフレーム業務のSOA対応

Interstage Host Access Serviceでは、メインフレームに対して、2つのアクセス方法を提供する。1つはエンタープライズ・サービスバス(ESB)を利用し、SOAの考え方に基づき、メインフレームのアプリケーションをオープン環境からWebサービスとして活用する方法。もう1つは、Interstage Host Access Serviceが提供するメインフレーム業務画面への入出力を行うJava APIを利用する方法だ。このAPIを利用することで、従来のエミュレータ画面とは異なる自由な画面設計が可能になり、柔軟なフロント業務システムの構築を支援するミドルウェア「Interstage Interaction Manager」のAjaxフレームワークと連携することで、業務画面のリッチクライアント化も実現できるという。

SOA環境からの利用とWebアプリケーションからの利用

SOA環境からの利用

Webアプリケーションからの利用

そして、両方のアクセス方法に欠かせないが、シナリオ機能だ。シナリオとは、メインフレームの一連の業務操作を制御するためのオブジェクトだ。このオブジェクトを作成するには、シナリオエディタを利用し、メインフレームの一連の業務操作を行って、シナリオエディタに画面情報を記録。そして記憶された情報(開始行数と桁数および終了行数と桁数)をもとに、利用したい入出力項目を定義していく。この項目を利用し、オープンサーバからメインフレームにアクセスするというものだ。

シナリオエディタ

Interstage Host Access Service V10の動作環境は、Windows Server 2008で、価格はプロセッサライセンスとなっており、1,300万円からとなっている。対象メインフレームOSは、OSIV/MSP、OSIV/XSPとなっている。

他社のメインフレームへの対応については、技術的には対応可能だが、今後の状況を見て検討するということだ。