ヤマハ発動機は、1679cm3の水冷V型4気筒エンジンをアルミ製フレームに搭載し、優れた加速フィーリングを備える新型「VMAX」を、2009年モデルとして欧米市場で発売する。VMAXは1985年の初代から独自のキャラクターで高い人気を得てきたモデルであり、今回が初めてのモデルチェンジにあたる。また、日本で正規に発売される予定はない。
1985年に米国向けに誕生した初代「VMAX」は、直線での優れた加速性能を具現化させるため1198cm3の水冷4ストロークDOHC・V型4気筒4バルブエンジンを搭載。マッスル感漂うボディやドラッグレースをイメージさせる太いリアタイヤなども個性を主張。発売以来、北米をはじめ、欧州・日本でも人気を獲得。カテゴリーを超えるエポックなモデルとして20数年にわたり販売が続けられた。生産累計も2007年末で約10万台となった。今回登場した新「VMAX」は、従来からの伝統とアイデンティティを受け継ぎ、最新の電子制御技術などによりすべてを一新して登場した。
新型VMAXは、強烈な加速フィーリング、パワフルなクルージング性能を達成するため、新設計の水冷4ストロークDOHC・65度V型4気筒4バルブエンジンを搭載。コンパクトな燃焼室を実現するため、カムチェーンの駆動は吸気側カムだけとし、排気側カムは吸気側カムからギアを介し駆動する方式を採用した。
フロント左右にエアインテークを設け、新気導入と個性的な外観を両立させている。なおこのインテーク部には、ヤマハ独自の耐食性のある調合材を使い、職人の手作業で磨き上げている。吸気ファンネル部には、ファンネル長を変化させて常に良好な吸気脈動を作り出す「YCC-I」を採用。燃料供給系にはインジェクションを使用している。これらにより最大トルクは166.8Nm/6,500rpmを発揮する。最高出力は公表されていない。
そのほか動力系の特徴としては、スリッパークラッチ(バックトルクリミッター)、シャフトドライブ、4-1-2-4マフラー&三元触媒、マグネシウム合金部品(クラッチカバー、ACMカバー、ドライブ軸カバー)などの採用がある。
車体には新設計アルミ製フレームフレームを採用。メインフレームは重力鋳造のアルミ中空材、リアフレームはCFアルミダイキャストと押出材の溶接構造とした。軸間距離は1,700mmとし(前モデル1,590mm)、直進安定性に配慮。フロントフォークは52mmの正立式。インナーチューブには酸化チタンコーティングも施される。リアはリンク式のモノクロスサスペンションを採用。前後ともフルジャスタブルの調整機能を装備する。
タイヤは専用開発の前後18インチとした。フロントブレーキは外径320mm、厚さ5.5mmのウェーブ形状ディスクを装着。対向6ピストンキャリパーをラジアルマウント方式にて装着する。マスターシリンダーはラジアルポンプ型。リアには外径298mm、厚さ6mmのウエーブディスクを採用した。また、新開発のリニア制御ABSシステム(3ポジションABS)を採用。リニアソレノイドバルブで液圧制御を行ない、違和感の少ない自然な制動フィーリングを達成した。
そのほかの特徴としては、2分割ラジエター、シート下に配置された樹脂製燃料タンク、ハンドル後方に装備された有機ELマルチファンクションディスプレイ(カウントダウン機能付きのストップウォッチ搭載)などがある。
主な仕様は、全長2,395mm×全幅820mm×全高1,190mm、ホイールベース1,700mm、シート高775mm、車両重量310kg、水冷・4ストロークDOHC V型4気筒エンジン、1,679cm3(ボア90.0×ストローク66.0mm)、最大トルク166.8Nm/6,500rpm、セル式スターター、タンク容量15L、タイヤ:前120/70-18R M/C 59V 後200/50-18R M/C 76V。