ルノー・日産アライアンス(企業グループ)は29日、同アライアンスの環境問題に対する公約であるゼロ・エミッション車の実現が、大きく近づいたと発表した。すでに発表しているとおり、日産は2010年度までに米国と日本に電気自動車を投入する。さらに2011年度には、ルノー・日産アライアンスがイスラエル、およびデンマークにおいて電気自動車の量販を行なうという。
ルノー・日産アライアンスでは、電気自動車のほかに燃料電池車の共同開発を行なっており、現在2車種のプロトタイプモデルを先行開発している。日産のFCVのさきがけである「X-Trail FCV」(FCV: Fuel Cell Vehicle: 燃料電池車)は、すでに2年以上にわたり実車での試験を実施しており、日本においては自治体へのリース例も複数ある。
ルノーのプロトタイプ「セニック ZEV H2」はアライアンスによる最新開発モデルであり、同社の「グラン セニック」をベースとしている。同プロトタイプは、日産の開発による燃料電池スタック、高圧水素貯蔵タンク、コンパクトリチウムイオンバッテリーを採用している。また、床下にFCVの構成部品を配置できるよう設計されているため、大人5人に十分な車内スペースを確保するとともに、ルノーおよび日産の電気・電子システムの統合を可能にしている。
両FCVは、水しか排出しないという燃料電池コンセプトの実現に向けて、共同で開発されている。日産は6月から9月にかけ、欧州6カ国において「X-Trail FCV」のデモ走行を行なう。ルノーは、6月後半にバルセロナで開催される環境ワークショップにて「セニック ZEV H2」を展示する予定である。