ストレージベンダー最大手の米EMCは1月14日(現地時間)、データセンター用のストレージ装置としては初となるSSD(Solid State Drive)を発表した。同社の大規模ストレージ「Symmetrix DMX-4」用のオプションとして用意され、その高パフォーマンスを武器に、データベースや金融関連など高速処理が求められる用途を主なターゲットとする。提供開始時期は2008年第1四半期末ごろを予定しており、73GBと146GBの2種類のSSDがラインナップされている。
NANDフラッシュをベースにしたSSDやハイブリッドHDDはすでにコンシューマPCの世界ではメジャーになりつつあり、モバイルPCや携帯電話などを中心に、すでに製品への採用がスタートしつつある。これら製品ではSSDの高速性もさることながら、通常のHDDよりも少ない消費電力で動作し、バッテリの持続時間が長くなることが人気の秘密となっている。現状では32~64GBのSSDで数万円と、通常のHDDと比べるとバイト単価の面で不利だが、そうしたデメリットを加味してもなお、SSDに対して熱い視線が注がれている状況だ。
そしていま、コンシューマの世界で盛り上がりつつある技術がエンタープライズの世界にも進出しようとしている。EMCではSSDの高速性に着目し、データベースなどの高速データ処理や、高い処理負荷と高速レスポンスが要求される金融トランザクションなどの分野でそのメリットを活かそうとする。同社によれば、SSD 1台で15,000RPMのファイバチャネル(FC) 対応HDD 30台分のパフォーマンスに相当するという。また近年のデータセンターでは省電力と環境問題を考慮したグリーンITが1つのキーワードとなっているが、SSDはこうした分野でも効力を発揮する。1TBのデータ保存時で、SSDは通常のHDDと比較して38%ほど電力消費量が少ないという。また単位時間あたりのトランザクション処理にかかる消費電力では、98%もの低電力効果が見込めるとEMCは述べている。
EMCでは、SLC(Single Level Cell)と高速コントローラの組み合わせでSSDの高速処理を実現したという。またSymmetrix DMX-4のアレイ内で既存のFCやSATAベースのHDDと組み合わせることも可能で、管理ツールを用いてさまざまな形でプロビジョニングや設定変更が行える。これにより、大量データ保存や高速処理など、用途に応じてストレージアレイ内のドライブを使い分けられる。