中国の国産検索エンジン最大手、百度(Baidu)はこのほど、CtoCの電子商店街市場に進出すると発表した。すでに独立した事業部門を立ち上げており、来年春をめどに、独立したドメインを持つオンラインショッピングプラットフォームを開設する。また、物流システムとオンライン決済システムの構築においては、M&Aを含め、協力パートナーを探していく考えを明らかにした

インターネットなど情報通信産業に関する調査研究を行っているiResearch(艾瑞咨詢集団)によると、2007年4月時点でCtoCの電子商店街ポータルサイトのユーザーは6,380万人、うち全体の49.2%にあたる3,141万人がショッピングポータルを訪問する前に検索エンジンを使っている。この調査結果から、検索エンジンがCtoC型オンラインショッピングと強い関連性を持っていることが分かる。

百度董事長(会長)兼CEO 李彦宏氏は、「当社は中国の検索エンジン市場で74.5%という圧倒的なシェアと、『百度空間』など世界最大規模の中国語インタラクティブ・コミュニティを保有している。これこそ当社がe-コマース市場に進出し、成功を収めるための最も信頼できる基盤となる」と述べ、自社の競争優位性を強調した。

同社によれば、現時点でも主要数社のCtoCのオンラインショッピングプラットフォームへのアクセス数の3分の1が百度経由だという。百度はこうした実績を踏まえ、中国で初めて「検索エンジンをベースとしたe-コマース(e-commerce based on Search Engine)」のコンセプトを提唱した。

百度副総裁の兪軍氏は、「当社はユーザーに、品揃えが豊富で、アクセス速度が速く、使い勝手もいいCtoCオンラインショッピングプラットフォームを提供していく」と語った。

この分野では先行するサイトとして、産業ポータルサイトなど各種電子商取引サイトを運営する阿里巴巴グループ傘下の「淘宝網」、IM(インスタントメッセージング)やポータルサイトを運営するネット企業大手騰訊傘下の「拍拍網」、大手ポータルサイト運営のTOM在線とeBayの中国法人であるeBay(中国)が合弁で設立した「易趣網」が有名だ。現在のシェアで言えば、淘宝網が約8割のトップシェアを持ち、拍拍網が続くが、かつてナンバー1だった易趣網も、9月のサイトリニューアルを機に巻き返しを図っている。百度は、この3社がしのぎを削る激戦区に新規参入する。電子商取引のCtoC市場における競争激化は避けられそうもない。