大手携帯電話メーカーのNokia(フィンランド)は10月1日(現地時間)、地図データサプライヤの米NAVTEQを買収することで合意したことを発表した。買収金額は約81億ドルで、取引は現金で行われる。買収は規制当局の承認などを経て、2008年第1四半期に完了を見込む。昨年来、地図・GPS分野を強化してきたNokiaだが、この動きをさらに強化するものとなる。

NAVTEQは地図データを提供する企業で、カーナビ、Webアプリケーションなどで採用されており、PND(Personal Navigation Device)メーカーのGarmin(ケイマン諸島)などを大手顧客に持つ。地図データの提供のほか、交通情報、コンテンツ事業として「Traffic.com」も運営している。2006年の売上高は5億8,200万ドル。

Nokiaは今回、NAVTEQの株式を1株78ドルで買い取る。買収金額は合計で、約81億ドルになるという。

NokiaはNAVTEQを買収することで、地図データを自社で持つことになる。携帯電話メーカーである同社は、GPS・地図サービスをカメラ、音楽に次ぐ携帯電話アプリケーションと位置付けており、昨年よりこの分野にフォーカスしている。すでに、独gate5などの企業を買収しており、GPSを搭載したハイエンドモデル「Nokia N95」のほか、GPSを搭載しナビゲーションにフォーカスした携帯電話「Nokia 6110 Navigator」、カーナビ「Nokia 330 Auto Navigation」などを投入している。

また、8月に発表したインターネットポータルサービス「Nokia Ovi」でも、地図サービス「Nokia Maps」を主要アプリケーションとして含んでいる。Nokiaでは、地図情報を無料で提供し、シティガイドなどの付加コンテンツから収益を得る戦略だ。

今回の買収についてNokiaは、位置情報認識サービスを強化し、コンテキストと地理情報を理解したインターネットサービスを早期に市場投入できると説明している。買収後もNAVTEQの事業は独立した事業として運営され、顧客に対してこれまでどおりのサービスを提供していくという。

今年7月には、大手PNDメーカーのTomTom(オランダ)が、地図データサービス企業でNAVTEQの主要ライバルであるTele Atlas(オランダ)買収を発表しており、NAVTEQの動きが注目されていた。また、TomTomのライバルであるGarminは、欧州市場強化に向けて欧州各国で拠点を立ち上げているところだ。

GPSを搭載したハイエンドモデル「Nokia N95」

GPSを搭載しナビゲーションにフォーカスした「Nokia 6110 Navigator」