英Sony Ericssonは4日(現地時間)、同社社長のMiles Flint氏の退任を発表した。新社長にはソニーのコーポレート・エグゼクティブEVPで米Sony Electronics会長の小宮山英樹氏が11月1日付けで就任する。2004年の社長就任以来、携帯電話市場で同社を世界第4位まで成長させてきた功労者の突然の引退に、市場関係者はいくぶん戸惑い気味だ。

Flint氏はSony Europeの出身。Sony Ericssonの社長就任以来、WalkmanやCybershotを開発したソニーの技術力を携帯電話に採り入れ、音楽プレーヤー搭載モデルやカメラ付きモデルなど、ファッショナブルな携帯電話を次々市場に投入し、大きな成功を収めてきた。また、インドや南米といった今後の成長が期待できる市場にもいち早く目をつけ、製品ポートフォリオを拡大してきた同氏の功績は大きい。

"トップ3入り"も視界に入ってきた中での突然の引退宣言だが、Flint氏は「Sony、そしてSony Ericssonでのキャリアが17年近く経った今、公私共に新しい機会を求めてみたくなった。次のステップを決める前に今はすこし休息したい」とコメントしている。同氏は12月末までエグゼクティブアドバイザーとして同社に籍を置く。

新社長に就任する小宮山氏のソニーでの肩書きは「コーポレート・エグゼクティブ EVP、エレクトロニクスマーケティング、販売戦略担当」。欧米では"Dick"の愛称で親しまれており、そのキャリアの多くを北米で過ごしきた。今後はSony Ericssonの本社があるロンドンに活動の拠点を移す。Flint氏の退任を惜しむ声が社内外から聞かれる一方で、VAIOの北米展開を成功させた小宮山氏の経営手腕を評価する向きも多い。よりリッチなアプリケーションやサービスが携帯端末に求められる現在、得意の音声/映像技術でもって念願の"トップ3入り"を果たすことができるのか、同氏の舵取りに期待がかかる。