KDDIは、au携帯電話サービスの新たな割引プラン「誰でも割」を9月1日から導入する。新規契約時でも基本料金が半額となり、さらに基本料金に含まれる無料通話分はそのまま継続されるため、料金プランによっては基本料金よりも無料通話分が多くなる場合もある。契約には2年間の継続契約が必要。
KDDIコンシューマ事業統括本部長の高橋誠氏 |
誰でも、いきなり基本料金が半額に
これまでauでは、「年割」という形で、長期利用者に対して段階的な基本料金の割引サービスを提供してきた。さらに家族で加入すると基本料金が25%割引になる「家族割」を導入、年割と同時に使うことで、加入1年目は36.5%、11年目以降は50%を割り引いていた。家族割以外では、個人ユーザーが「MY割」、法人ユーザーが「法人MY割」によって年割+家族割と同じ割引サービスが受けられるようになっている。
これに対して新たに導入する誰でも割は、加入1年目から基本料金が50%引きになるサービス。特に新規契約者への恩恵が大きく、1年目はこれまで36.5%だった割引率が50%に引き上げられる形だ。
たとえばCDMA 1X WIN端末向けの料金プランでは、プランSSはMY割(1年目)で月額2,400円のところ、誰でも割では1,890円になり、そのうち無料通話分はそのまま1,050円となるため、実質的な基本料は840円となる。プランMになると、MY割(同)で月額4,400円が3,465円になり、無料通話分は4,252円なので、基本料金よりも多く利用できるというわけだ。
家族割のうち、家族間の通話料金の割引、Cメール無料、無料通話分の分け合いは誰でも割と併用できる。
誰でも割は2年間の継続利用が前提で、途中解約には契約解除料として9,975円が必要となる。MY割はもともと2年間の継続契約なので、9月以降は自動的に誰でも割に移行される。法人MY割は店頭か電話で誰でも割に移行できる。それ以外のユーザーは、窓口で契約するか、8月中旬以降はEZwebからも契約手続きが可能だ。
20日からは先行受付を開始。現在同社が実施中の「ダブルde定額チャンス」キャンペーンの適用条件にMY割が追加されるので、MY割を契約して、9月から誰でも割に移行すれば、現在のキャンペーンの恩恵も受けられる形だ。
MNPを盛り上げ、ドコモに対抗
KDDIコンシューマ事業統括本部長の高橋誠氏は、「いきなり半額はかなり思い切った」と話す。誰でも割は、これまでは11年以上使ったユーザーでないと受けられなかった半額サービスを、新規契約者や利用期間の短いユーザーでも受けられるようになる。通常、ほかの事業者も同様に長期契約者に高い割引率を設定し、長期利用者の囲い込みを図っていたが、誰でも割により「ケータイを変えられない理由はなくなった」(高橋氏)。
昨年から始まった携帯電話の番号ポータビリティ制(MNP)だが、今上期では事業者間の移動が一段落しており、高橋氏は誰でも割でMNPを再び盛り上げたいとの考えを示す。
携帯電話の料金プランは複雑で、割引サービスをどのように適用すれば最も特なのかが分かりにくくなっている。高橋氏はこれに対し、「目先の数字ばかりが踊っていないか」と指摘、分かりやすさを追求した結果、誰でも割の提供を決めたという。
誰でも割の導入で、今年度は200億円の減収を見込むが、先般NTTドコモが「ファミ割MAX」「ひとりでも割」の投入を発表したことが、誰でも割の発表のタイミングを早めたという。「ドコモに対しては2番目のチャレンジャーとしてきちっと対応していく」(同)。
ソフトバンクモバイルの割引サービス「ホワイトプラン」に対しては、"料金が定額となるホワイトプラン同士の通話が30%程度で、ほかの相手にも電話をかける"という一般的な使用状況を想定した場合、全プランにおいてダブルホワイトよりも料金が安く、ホワイトプランでは、月50分以上通話する場合に料金が安くなるとの試算を示している。
ソフトバンクモバイルでは、他社の新料金プランに対して、24時間以内に対抗策を発表すると公約しており、誰でも割についても対抗してくると見られるが、高橋氏はこれらのプランの契約数がそれほど多くないとの認識から「個別に対策を打つ必要はない」(同)と余裕を見せる。
長期利用者へは別の施策を、新サービスもさらに投入
これまで、長期利用者ほど基本料金が安くなることが同じ事業者を使い続ける理由になっていたが、誰でも割でこのメリットがなくなったため、auの長期利用者へのサービスは事実上失われた。
これに対してauは、長期利用者に対して新たなサービスを導入する意向で、「よりメリットの出るようなサポートを提供する」(同)考えだが、現時点でどのような内容になるかは明らかにされなかった。
auでは今上期は新端末の投入はあったものの、新サービスの投入はなかった。高橋氏も「上期はサービスをためていた」と認めている通り、ドコモが「DoCoMo 2.0」として新サービスの追加や大々的なプロモーションを行っていることに対し、具体的な対抗策を打ち出してこなかった。
しかし現在、複数の新サービスを準備しているとのことで、誰でも割に引き続き、他社への対抗策を随時投入していく予定だ。