初めての妊娠。右も左も分からない。そんななかで、人はそれぞれの悲しみや不安、楽しみや喜びを経験していく。本連載は、初産を経験したママやパパの”妊娠中期・後期”にフォーカスを当て、ひとりひとりのトツキトオカに迫る企画です。「仕事」「夫婦関係」「メンタル」の面から見える、それぞれの妊娠中の心の動き。第5回は、ゲームソフトの開発・販売を手掛けるスクウェア・エニックスで、オンラインビジネスを推進・サポートする仕事を担当している松木仁美さんに話を伺いました。

  • 松木仁美さん プロフィール
    株式会社スクウェア・エニックスでEコマースやデジタル販売などのオンラインビジネスや、Webサイトの構築・制作を全社的に支援する部門に所属。同部門でスマートフォンアプリや会員制サイトの開発・運営を行っている。

松木さんは昨年第二子を出産し、現在夫と娘2人の4人暮らし。
今回は、第一子のお子さんを妊娠した5年前を思い出してもらい、妊娠中の不安や、職場や旦那さんに当時どう協力してもらったかなどをお話しいただきました。

出産経験者はいない部署。それでも支えてくれる周囲に助けられた

妊娠5~6ヵ月目になっても、つわりがつらかったという松木さん。朝から吐き気やだるさ、強い眠気があり、出勤時間が遅くなってしまったといいます。

「妊娠したことを周囲には伝えておらず、『勤怠が乱れて迷惑をかけている』と感じていました。弊社は裁量労働制なので決まった出勤時間が決められてはいないものの、チームで仕事をしている手前、『周囲の人が働いているのに、なぜちゃんとできないんだろう』と自分を責めてしまいましたね。」

  • 勤務時間自体は変わらなかったが、 皆が働いている時間に出社できないことに罪悪感を感じていたそう

どうすればいいかと悩んでいても、自分の力ではどうすることもできず悶々とする日々。しかし、妊娠7ヵ月頃から少しずつ体調がよくなり、仕事も本調子に戻ったため、自然と悩むことがなくなったそう。

「その時は、Webサービスとゲームのセーブデータをつなぐコンテンツを担当していました。労働時間も長く大変でしたが、その分やりがいも大きかったですね。また、安定期に入ったため、チームメンバーには妊娠を伝えました。おかげでたくさん協力してもらい、仕事がしやすかったです。」

松木さんの部署には出産を経験した人はいなかったものの、妊娠がわかってからは「できることあればやりますよ」と声をかけてくれるなど、常に気を遣ってくれたそう。また、産休に向けて徐々に仕事の引継ぎを行う松木さんにも周囲は協力的だったといいます。

「すべてを誰かに引き継ぐのではなく、案件ごとに人を変えて引き継ぎました。ただ、忙しさから、私自身しっかり引継ぎができていたとはいえず……。引継ぎ相手の方がミーティングを設定してくれたり、資料をまとめてくれたりしました。本当に助けられましたね。」

  • 産休間際に部署のメンバーがサプライズで用意してくれたメッセージ。 交流のある社員に加え、退職者からもメッセージを集めてくれたのだとか

妊娠8ヵ月の頃には、「子どもができたら、しばらく行けなくなるから」と有休を利用して夫婦で海外旅行に出かけることに。産科医に相談し、万が一のために現地の病院やかかる費用を調べるなど、準備万端で向かったそう。

「仕事で何かあったらと考えると不安で……。念のためにPCを旅行に持っていきました(笑)。しかし、結局会社にいるメンバーに任せることがほとんどで。今なら絶対持っていかないです(笑)」

周囲の協力のおかげで引継ぎはスムーズ、旅行もしっかり楽しめた松木さん。おかげで安心して産休に入ることができたものの、仕事がない状況に少し寂しく感じてしまったのだとか。

保育園の見学や家事の分担……夫の積極的な姿が不安を取り除いてくれた

部署での引き継ぎはスムーズに行ったという松木さんですが、夫婦間はどうだったのでしょうか。

妊娠5~6ヵ月の頃、転職することが決まっていた旦那さんに対して、「こんな時期に転職して、仕事が忙しくなってしまわないかな」と不安を感じていたといいます。

  • この時期は「つわりがなくていいな」と旦那さんを羨ましく思う日もあったそう

しかしその不安をよそに、旦那さんは転職前の有休を使って、妊娠中の準備を積極的に協力してくれたのだとか。

「妊娠7ヵ月目は、仕事が忙しい私に代わって、夫がいろいろと調べてくれました。保育園も一人で見学に行ってくれて、『パパが一人で来ることは珍しいのに、すごいですね』と保育園の先生に言われたみたいです。ただ彼は『それが当たり前』という感じでしたね(笑)」

もともと、情報収集が好きだという旦那さん。妊娠中の赤ちゃんの様子がわかるアプリも、旦那さん自らインストールしたり、さらにはインターネットから、家事の分担表を見つけ出し、松木さんに家事分担の提案もしてくれました。

また、妊娠中に足のむくみがひどかった松木さんに、旦那さんはフットマッサージをしてくれたといいます。

「私の誕生日にバスソルトやマッサージオイルをプレゼントしてくれたので、それをきっかけにマッサージをしてくれるようになりました。仕事が忙しかったり、妊婦が行けるマッサージ店がなかなかなくて困っていたので、とてもありがたかったです。実は、今でもやってもらっています(笑)」

  • 愛用のむくみ対策アイテムは、足の指を広げるソックスとマッサージ棒。妊娠中は、他にもたくさんのグッズを持っていたのだそう

他にも妊娠中、お酒の匂いに敏感になってしまった松木さんのために、飲酒を控えてくれるなど、旦那さんは常に松木さんを気遣ってくれました。

旦那さんが転職した後も、仕事が急激に忙しくなることもなく、生活に大きな変化はなかったとのこと。妊娠中、夫婦間は終始良好だったと、松木さんは当時を振り返っていました。

初めての出産。何も分からなくて、不安と疲れでヘトヘトに。

部署に先輩ママがいなかったこともあり、妊娠初期から「ちゃんと産まれるだろうか」と漠然とした不安があった松木さん。しかし、周囲が妊娠報告を温かく受け入れてくれたり旦那さんとの旅行でリフレッシュできたことで、前向きな気持ちになれたといいます。

幸い大きなトラブルもなく、お腹の子の経過も順調。そして迎えた出産予定日。産まれる気配のない状況に、松木さんは再び落ち着かない日々を過ごすこととなりました。

「人によって破水から始まる、陣痛から始まる、といろいろ聞いていたものの、どのようなものか分からなかったんです。少しの痛みで『陣痛かな!?』と思ったり、いつ破水や陣痛がくるのか不安を感じたり、夫の仕事の予定が気がかりだったりと、産まれるまでずっとそわそわしていました。結局2週間後に促進剤を使ってやっと産むことができました。」

  • 3,700gの大きい赤ちゃんを自然分娩で出産。 「大変だったけれど、安心した」と松木さんは話します

出産までの2週間は不安を払拭するために、インターネットでよく調べ物をしていたという松木さん。気になるケースをずっと調べてしまい、寝不足になるなど、へとへとに疲れてしまったんだとか。

「仕事もないので延々とスマホを見続けていました。今思えば、インターネットで調べすぎたのもよくなかったかもしれません。2人目を育てていると、子どもによってまったく違うことに驚くほど。『人それぞれ』ということを念頭に、育児書などの本を参考にしたり、専門家に相談したほうがよかったなって思いますね。」

急な陣痛・破水に備えて
新世界で、一歩一歩。「陣痛バッグ」

妊娠中、さまざまなことに何度も不安を感じてきた松木さん。その度に周囲の人々が積極的に助けてくれたおかげで、安心して出産を迎えることができました。「自分でなんとかしよう」と努力することも大切ですが、思い切って人に任せてみることで、解決に繋がることもあるかもしれませんね。

最後に、前回インタビューした小坂和さんからの質問「夫に家事をどこまで手伝ってもらいましたか?」に答えていただきました。

「もともと一緒に仕事をしていたこともあり、建設的に会話ができる関係ができています。家事は掃除などを中心に、いろいろと協力的にやってもらいました。これは今も変わらないですね。」

松木さんが次の方に聞きたい質問はこちら。

  • 「妊娠中、一番大変だったマイナートラブルはなんですか?」

こちらの質問は、次回の方にお聞きします。第6回の連載をお楽しみに!

※本記事はオンライン取材をさせていただき、写真はスクウェア・エニックス様にご協力頂きました


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