妊娠前はわからないことがたくさん。プレママプレパパさんは、これから起こる出来事に楽しみや不安、悩みなどさまざまな感情が入り交じっているのではないでしょうか?
本連載では、夫婦の間に起こりうる新生児期の「認識のズレ」やそれらの埋め方を実際の夫婦にインタビュー。家事・育児を夫婦で”一緒にする”ことが、浸透しつつある昨今ですが、どうしてもお互いの認識の「ズレ」は生じてしまいがち。未来に起こるズレとそれらの埋め方をさまざまなご家庭の形から紐解いていきます。
今回は、6カ月の息子さんを育てる隆之介さん(30)と朱音さん(27)に、育った環境の違いによるズレを教えていただきました。
育った場所でこんなに違う? 時間の使い方のズレ
沖縄で育った隆之介さんと、長野で育った朱音さんは、結婚して沖縄に住むことに。ところが、育った環境の時間感覚にズレがあり、朱音さんは戸惑ってしまいます。沖縄では日が長いためか、隆之介さんの毎日も夜が遅くて朝も遅かったのだそう。
「もう寝るよ~」と朱音さんが声をかけても、しばらく起きたままゆったりしてしまいます。そのため、翌朝は当然ながら起きられません。出かけるまでの行動もゆっくりしていると感じたようです。
「子どもは朝の6時半くらいに起きてしまうので、夫がいつまでも寝ているとイライラしてしまいます。赤ちゃんのリズムが整わないし、朝ごはんも食べさせなくてはいけないのに……」
朱音さんのイライラには、実は理由がありました。
「生まれる前、夜泣きをしたらどちらが対応するかと話し合ったことがありました。二人とも夜中に起きているのは大変だから、『私が夜中のお世話をするから、あなたは寝ていていいよ』と言ったところ、『じゃあ俺が日中はお世話するよ』と言ってくれました。それなのに朝になっても起きず、そのうえ時間ができると昼寝をしようとするのにも不満でした」
ほかに、朱音さんは隆之介さんの“アンテナが立っていない”ことにも不満だったのだとか。「赤ちゃんの体が大きくなってきたから新しい服が必要」「哺乳びんも次のステップのものが必要」などと先を見越している朱音さんからは、隆之介さんが無頓着に見えます。
「買い物時に『どっちがかわいい?』と相談したいのに、上の空で“から返事”なんです。『興味ないの?』とがっかりしてしまって……」
朱音さんは、日中ずっと子どもと一緒にいる自分に比べ、隆之介さんが小さなことに気付かないのは仕方ないとわかってはいます。でも、相談したときには、せめて親身になってほしい、と思っていたのです。
隆之介さんは興味がないわけではないものの、「男親ってこんなものなんじゃないのかな?」というのが正直な思いでした。
奥さんの言葉を素直に受け止めて心がけを変えた
朝なかなか起きられない隆之介さんには、朱音さんが告げた言葉が心に響いたそう。
「『子どもが生まれたんだから、自分主導じゃなくて、息子主導で動かなくちゃ』と言われ、ハッとしました」
これまでの行動は、自分主導だと反省した隆之介さん。意識を変え、ある程度は早く活動できるようになったのだとか。今もまだ「しっかり起きられているとは言い難い」とのことですが、息子さん主導で活動するという意識は高まっています。
買い物のときに興味を示せなかったことは、ほかの家庭のパパを目にしたことで、大いに反省することになりました。
「ほかのご夫婦が服を選んでいるのを見て驚きました。お父さんが子どもとたくさん会話しながら『これがいいんじゃない?』『こっちがかわいいかな』と積極的に選んでいたんです。その様子を見てから、自分を振り返って反省しました」
隆之介さんに加えて、朱音さんも言い方に工夫をするように。「飲む量が増えて、今の哺乳びんのサイズだとすぐに飲み切って1回分だと足りなそうだから、大きいサイズにしようと思っているんだよね」と情報を付け加えるようになりました。そうすると、キャッチアップしきれていない隆之介さんも自分の意見を言えるようになります。
また隆之介さんも、これまでは事前にネットで調べた情報を伝えていましたが「ネットで調べたらこう書いてあったよ」と結論付けるのではなく、その情報を自分のフィルターに通し、自分の意見を加えて伝えるようにしたのだそう。
そんなお互いの歩み寄りにより、ズレは少しずつ解消しています。
努力して行動や言い方を変えてくれているのがわかる
「できるだけため込まずに、その都度言うようにしています。私が言ったことを理解して、自分なりに行動に移して努力してくれているとわかると嬉しいですね」と朱音さん。
隆之介さんも、朱音さんの変化に感謝の気持ちがあるそう。
「頭ごなしに『これ違うでしょ』というのではなく、『こうしてほしかったな』と受け取りやすいように言ってくれるので、お互い歩み寄れていていいのかなと思います」
また、慕っている職場の先輩からの言葉も、隆之介さんの心がけに影響を与えています。
「『男親は忙しくて子育てできないと思いがちだけど、子どもが小さい期間は一瞬で過ぎてしまう。とにかく楽しんだほうがいい』と言われたんです。だから、一緒にいられる時間は大切に過ごすようにしたい。それが夫婦もいい関係でいることにつながるんじゃないかと思います」
プレママ、プレパパの頃から「夜泣きをしたときにはどうしよう」と話し合いができていた二人ですが、それでも隆之介さんはもっと調べておけばよかった、と考えています。
「子どもの月齢に応じて必要なものを、ママと共有して一緒に考えられるパパは理想ですね。自分はできなかったですが、出産前からそれができればママも嬉しいだろうと思いました」
赤ちゃんが6カ月と言うこともあり、「まだまだこれから」というお二人。これからも試行錯誤しながら、家族にとってベストなやり方を見つけていけそうですね。
[PR]提供:ピジョン