妊娠前はわからないことがたくさん。プレママプレパパさんは、これから起こる出来事に楽しみや不安、悩みなどさまざまな感情が入り交じっているのではないでしょうか?

本連載では、夫婦の間に起こりうる新生児期の「認識のズレ」やそれらの埋め方を実際の夫婦にインタビュー。家事・育児を夫婦で”一緒にする”ことが、浸透しつつある昨今ですが、どうしてもお互いの認識の「ズレ」は生じてしまいがち。未来に起こるズレとそれらの埋め方をさまざまなご家庭の形から紐解いていきます。

今回は、3歳の娘さんと1歳の息子さんがいる義彦さん(32)と文音さん(32)に、これまでにあった考え方や行動のズレと、その解消法についてお話を伺いました。

ママとパパが考える優先順位や準備不足にズレを感じて……

文音さんと義彦さんの育児割合は2:1、家事は4:1といったところ。文音さんのほうが多く担当しており、義彦さんが手伝うようなスタイルになっています。

二人目が生まれ、文音さんが「今、手が離せないからお願い」と育児を依頼することが増えていた矢先、お互いの認識のズレを感じる場面がありました。

「掃除や料理、上の子のお世話などをしている時に赤ちゃんが泣いていると、音やにおいで明らかにウンチだとわかるんです。『ウンチしたみたいだね』と言ったのですが、夫は『そうだね』と言うだけで、自分から動こうとはしていなくて。『おむつを替えてほしい』と伝えました」

「これくらいわかってほしい」「察してほしい」と思いながらもお願いした文音さん。その後、義彦さんは「了解」と言いますが、なぜか自分の爪を切り始めてしまいます。それに対し文音さんは「すぐに替えないとおしりがかぶれちゃうこともあるので、『最優先事項なのになんで?』とイライラしてしまった」と話します。

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また、お風呂タイムにも「ズレ」がありました。義彦さんは、文音さんが夕飯づくりをしているのを気遣い、子どもたちを連れてお風呂へ。ところが、その様子を見て、文音さんは愕然としてしまいます。

「着替えや保湿剤など、お風呂から上がった後の準備を何もせずに行ってしまって。さらには、子どもたちのおもちゃも出しっぱなしで、着替える場所もない。結局夕飯づくりをやめて片づけていると、子どもたちが出てきてしまって。拭いたり着替えさせたり保湿したりとてんやわんや……結局夕飯はまったく作れませんでした」

しかし、義彦さんはよかれと思ってやった行動。文音さんは義彦さんを責めるのが心苦しく、イライラを飲み込もうとしてしまい、「言い出せずにさらにイライラが募る」という悪循環に陥っていました。

子どもたちが寝てから思い切って伝えることに

イライラが重なりながらも、「気づいてほしい」「察してほしい」と考えていた文音さんでしたが、思い切って義彦さんに告げることにします。子どもが生まれてからは、日中にケンカをしないよう、不満などは子どもが寝た後に伝えるようにしていました。

「おむつ替えのズレの時、夫は優先順位をわかっていなかったようなのです。おしりがかぶれてしまう意識も少なく、爪を切っていたのも『肌を傷つけないため』と思ったそう。夫の言い分を聞くと、一生懸命やろうとしていると知りました」

義彦さんも「自分では気づけていなかったことを気づかせてくれた」と文音さんの言葉を受け止めるようにしたといいます。

「イライラしていることはわかっても、理由がわからずにいたので、話し合いの場を作ってくれてよかったです」と義彦さん。

お風呂の不満も、子どもたちが寝た後に話し合いを。文音さんは、「準備をしてからお風呂に入ってほしいこと」や、「夕飯づくりがちょうど終わるタイミングで出てほしい」とリクエスト。

話し合いをしてから義彦さんは、おむつをすぐに取り換えるようになり、お風呂の準備やタイミングも劇的によくなりました。

その後も、文音さんが日中にイライラしていると「今日は何か言いたいことがあるのかも」と感じる義彦さん。普段はすぐに寝てしまうところを、その日は寝ないで待つようにしているそうです。

「えっ! そうだったんだ?」

インタビュー中に発覚した、義彦さんの優しさでした。

お互いの考えがわかり、思いやりが行動に

お互いのズレを話し合いで解消していったことで、相手の考えや気持ちがよりわかるようになったというお二人。これまで育児に細かく口出していた文音さんも、やり方を義彦さんに任せてみるようになりました。

「例えば、食事の時間や量、与え方は私なりにベストな目安があるのですが、それを強制せず、夫に任せてみました。最初はうまくいかなくて口出ししたくなりましたが、しばらくすると夫なりの与え方でうまくできるようになっているんですよね」

義彦さんも、細かく言われるより自分で工夫して慣れていくほうが快適な様子。また、話し合いの大切さも実感しています。

「話し合いをすることで、自分の行動を反省するのはもちろん、妻の気持ちや苦労を知って、ちょっとしたことでも感謝するようになりました」

感謝の気持ちを伝えるのはときどきだそうですが、「それがすごくうれしい」と文音さんは話します。

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最後に、お二人からプレママ、プレパパにメッセージをいただきました。

「ズレが起きた時には、伝えることが大事だと思います。父親と母親である前に、自分が好きになって結婚した人だと忘れないようにしています。記念日や結婚式は大事にしていて、できるだけ二人きりででかけるようにしているんです」と文音さん。

義彦さんも「子どもがいても、二人の時間を大切にすると円満でいられるのかなと思います」と同意見。

不満をすぐに話すようにしてから、イライラを翌日に持ち越すことがなくなり、「今後大きなケンカがあっても乗り越えられそう」とのこと。トラブルがあっても何とかしてきたという経験が、自信につながっていくのでしょうね。


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