妊娠前は分からないことがたくさん。プレママプレパパさんは、これから起こる出来事に楽しみや不安、悩みなどさまざまな感情が入り交じっているのではないでしょうか?

本連載では、夫婦の間に起こりうる新生児期の「認識のズレ」やそれらの埋め方を実際の夫婦にインタビュー。家事・育児を夫婦で”一緒にする”ことが、浸透しつつある昨今ですが、どうしてもお互いの認識の「ズレ」は生じてしまいがち。未来に起こるズレとそれらの埋め方をさまざまなご家庭の形から紐解いていきます。

今回は、1才半の息子さんを持つ朋子さん(24)と正弘さん(24)に、お二人が直面した「ズレ」とその解決策を伺いました。

新生児のお世話、知識や経験の差でズレが生じて……

結婚した当初、家事は正弘さんのほうが得意だったというご夫婦。子どもができて朋子さんが専業主婦になってから、お互い対等に家事や育児をするようになったそうです。

ただし、正弘さんの仕事がある平日は、どうしても朋子さん中心に。休みの日には正弘さんがすべての家事をするというバランスで、お互いに大きな不満もなくやりくりしています。

そんなお二人ですが、ときには育児の「ズレ」を感じることもあったそう。まず教えていただいたのは肌の保湿のことでした。朋子さんは事前に、「赤ちゃんの保湿はたっぷりと」という情報を仕入れていたのですが……。

「育児書やInstagram、ネットの記事などを参考に、保湿剤はたくさん塗るようにしていました。特に息子は乾燥肌だったので、塗りすぎくらいでちょうどいいと考えていたんです。でも、お風呂上がりのケアを夫がしてくれるときには、薄くしか塗っていなくて……」

たっぷり塗ってほしい、と伝えてはいたものの、「塗りすぎじゃない?」と思っていた正弘さん。その後、赤ちゃんの肌にじんましんができ、お医者さんに診察してもらうと「肌の乾燥が原因」と言われてしまいます。

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また、寝かしつける時にも「ズレ」がありました。寝かしつけは朋子さんの担当。20分ほどの授乳を経てやっと寝かしつけられたと思った矢先、正弘さんの声で起きてしまう……ということがあったそうです。

「夫婦で話していると、急に声が大きくなることがあるんです。それで子どもが起きてしまい、寝かしつけをやり直し。夫に何度『声のボリュームを抑えて』と言っても直らなくて、喧嘩することもありました」

普段の癖で、つい大きな声で話してしまう正弘さん。怒った朋子さんは、寝かしつけの後にしばらく無視するなど、夫婦仲が険悪になることもあったと言います。

理由が分かればすぐ直す。直せないものは「ごめんね」

育児の知識や経験に差があったため生じてしまったズレ。でも、朋子さんと正弘さんはお二人ならではの解決策や対処法で乗り切りました。

まずは、保湿剤の量について。子どものじんましんを見て、正弘さんはすぐに量を見直しました。

「病院で『乾燥している』と言われて僕がケアするときに、保湿剤が足りないのだと原因が分かりました。僕はもともと頑固なところがあるのですが、ちゃんと理由が分かれば納得します。それからはたくさん塗るようにしました」

このことから、朋子さんも「理由に納得すれば変わってくれる」と気づきます。それまでは、説明しないまま「なんで分かってくれないの!?」とイライラすることもあったそう。今では、しっかりと理由や根拠を添えて要望を言うことで正弘さんもすぐに直す努力をしてくれるため、息子の前でも笑顔でいられることが増えたと言います。

一方、寝かしつけ後に大きな声を出してしまうのは、今でもたまにあるそう。しかし、その後のフォローが変わったといいます。

「今も完全には直らなくて、子どもが起きてしまうことはあります。でも、最近は声を出してしまった後に『あっ、ごめん!』とすぐに気づいて謝ってくれるので、怒ることは減りました」

家族が笑顔でいられるように

仕事が休みの日には正弘さんが家事を担っていることもあり、家事や育児の分担は明確に定めず、その日によって臨機応変に変えているそう。お互いのやり方を尊重するのもコツだとか。

「たとえば離乳食のあげ方などで私とはやり方が違う場合、主人にも『こうしてほしい』と思うことはあります。でも、子どもにとってもいろいろなやり方があっていいと思うので、特に指摘はしません」と朋子さん。

また正弘さんは「基本的に大変なのは朋子さん」と感じているため、できることは率先してやるようにしているそう。

「仕事で疲れていることもありますが、家事・育児の疲れとは違う。毎日妻が担ってくれている家事を、休みの日は僕が担当して、妻には少しでも休んでもらえればと思っています」

正弘さんは、普段から朋子さんの足をマッサージしたり、朋子さんの欲しかったものを「今度これ買おうか?」と提案したりするなど、普段から家庭のムードがよくなるような振る舞いをしている様子。

朋子さんから見ると、いつも変わらない正弘さんの態度にとても助かっているのだそうです。

「私は落ち込むと黙って殻に閉じこもるタイプ。育児に疲れると他人と話す機会がない分、ますます内向きになります。そんな私を見ても、いつも通り話しかけてくれるのでとてもありがたいです。しょうもないことで笑わせてくれるので、暗い気持ちも忘れてしまいます。私が明るい気持ちでいられれば、子どもの笑顔も増えるんですよね」

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お互いを思いやっているお二人。コミュニケーションで気を付けていることはあるのでしょうか。

正弘さん「僕自身は、このまま家族3人が笑顔でいられるように、と常に考えています。笑えなくなった時が怖いので、常に笑っているために、何をすればいいか考えますね」

仕事の合間にLINEのやり取りをしたり、ビデオ通話で子どもと話したりしているそう。朋子さんによると、家族のムードメーカーのような存在なのだそうです。

正弘さんの明るさと、朋子さんの日ごろの家事・育児。それぞれに感謝をしながら、お互いを尊重しているお二人。「笑顔が一番」と考えるところもあわせて見習いたいですね。


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