カメラパパがストックフォトサービスで副収入を目指す当連載も4回目。今回は、スポーツフォトグラファーのアダム・プリティさんに取材できる機会を頂きました。これまでに数々の賞を受賞し、5回にわたるオリンピックの撮影のほか、LIFEマガジンやTIME誌といった著名な雑誌や広告写真にも多数実績があり、世界で活躍するフォトグラファーのひとり。特に水中写真を得意としており、そのエネルギッシュで息を呑むような瞬間を捉えた作品は見るものを(もちろん私も含め)常に魅了し続けています。

今回は「ストックフォトで“コツコツ“副収入を得るでSHOW」特別版として、僭越ながらわたくしが「トーシローパパでもできる!かっこいい写真の撮り方」について具体的な実践方法とヒントを伺いました。

アダム・プリティさん。ユーモラスで気さくな良い方でしたよ~

――まず最初に、たくさんのスポーツ競技の中で一番好きなものと一番撮影が難しいものは?

スポーツ写真をもう20年以上続けているので、さまざまなスポーツ写真を撮ったけれどやっぱり水泳が一番好きだね。水の動きには多様性があって撮りがいがあるし、もちろん得意というのもあるけれど水がもたらすマジックな瞬間が好きなんだ。僕は負けず嫌いだから水中のイベントで自分が呼ばれていないというのは嫌というのもあるかな(笑)。

453655676, Adam Pretty/ Getty Images

そして一番難しいのはサッカーだね。いつどこで何が起こるかわからないし、水泳のように限られた空間ではなくコートがとても広い。それなのに撮影できる場所は決まっているから、つい追いかけるのに必死になってしまうよ」。

526572544, Adam Pretty/ Getty Images

――アダムさんは、写真を撮る前準備としてどのようなことを行っていますか?

ネットが広まる前は、本などでいろんなフォトグラファーの作品を見て研究したよ。あまり馴染みのないスポーツの場合は競技そのもののバックグラウンドを調べたり、選手の家族やコーチに話を聞いたりもしていた。

中でも会場の下見をするのが重要だね。事前に入念な計画を立てて、どのようなアングルでどんな写真が取れるのかイメージを作ってから撮影に臨むんだ。僕は単純に「瞬間を撮る」というニュアンスよりも厳選した背景やライティングの画角の中に、表情や動きを伴った「選手が入り込んでくる瞬間」を最高の組み合わせで抑えるというイメージでシャッターを押すことが多い。

ただ選手を撮ればいいということではなく、それぞれの要素がうまく組み合わさるように全体を捉えることが自分のこだわりだね。

――初心者がいい写真を撮れるようになるには?

初心者がよく陥りがちなのが、やたらめったらにシャッターを切ってしまうこと。最近のデジタルカメラは本当に性能が向上していて、1秒間に14回シャッターが切れる機種もあるんだけど、タイミングを見計らって一枚一枚をしっかり構図を考えてシャッターを切る習慣をつけることをオススメするよ。

僕も、もちろんシャッターを押し続ける時だってあるけれど、競技によってはそれでも追いつかない(マジっすか!!) 時がある。フレームとフレームの間のシャッターチャンスを逃さないために、あえて連写を選択しないんだ。そういう意味ではカメラだけに頼るんじゃなくて自分の腕も必要になってくるね。「偶然の一枚」という考え方を否定するつもりはないけど、それじゃあ上達していかないしね。

撮影の上でもう一つ重要になってくるのが編集作業。一枚一枚自分の作品を確認し選んで編集する、ここにしっかり時間をかけてほしいと思うな。カメラを構えている時は夢中で連写してしまいがちだけど、撮れば撮るほど編集作業にも無駄な時間がかかってしまう。 想いのある一枚なら退屈な編集作業でも苦痛にならないはずだよ。

僕の経験でも同じ場所、同じ被写体、同じ瞬間に撮った他のカメラマンの写真が全く異なる作品に仕上がっていたということが多くある。それは編集方法の違いでもあるし、テクニックや感性の違いでもある。編集作業は丁寧かつ冷静になって進めることが大切だと思うよ」。

502712914, Adam Pretty/ Getty Images

160672756, Adam Pretty/ Getty Images

――アマチュアパパにでも真似しやすい、もう一工夫できるヒントがありましたら教えてください。

写真はやはりライティングが重要だね。外で写真を撮るときは、曇りの日の方が実は光の条件がとてもいい。初心者は曇りだからと撮るのをやめちゃう人が多いんだけど、人物写真こそ曇りにチェレンジしてみるといいと思う。

他には……例えば子供と公園に行って撮影するシチュエーションを想像してみると、まず園内をゆっくり観察して被写体の後ろになにが写るのかを観察して、背景になる場所を決める。あとは子供を走り回って追いかけるのではなく、その場所で構えていて被写体がそこに収まるのを待っているのがいいんじゃないかな。

でも、自然体で撮れればベストだけど、特に子供の場合カメラに向かって走ってきちゃったりして一対一で撮るのってとっても難しいこともある。そんな時は協力者、たとえばお母さんに手伝ってもらって気を引いてもらうとか、広角レンズを使って離れたところから撮ってみるとか、撮影会が終わった瞬間をねらってシャッターを押すと良い。子供って気を抜いた瞬間にいい表情したりするし、メイキング写真とかって逆に面白いかもしれないよ。

Craig Golding

――最後にアマチュアパパに一言オナシャス!

「とにかくたくさん撮っておけ」というのは日本の文化というか思想なのかな? そういう意味でいうと僕はやっぱり一枚一枚を大切にしたいという気持ちがある。オーストラリアでは一番お気に入りの写真を冷蔵庫に貼るという習慣があるけれど、母が選んだ写真が僕の撮ったものだと「yes!」って思うよ。確かに失敗したら何も残らないなんてリスクはあるけど、だからこそ価値があるような気もするな」。

「adoring father」(子煩悩な父親)。アダム氏のtwitterアカウント(@porkchoppretty)自己紹介部分に書いてある一文。子供の写真の話をするときにとてもニコニコと楽しそうに話をするのが印象的で、懸命に子供にカメラを向けている「パパ」の姿が容易に想像できて、微笑ましい気持ちになりましたよ。

下手な鉄砲なんとやらとはよく言ったもので、初心者ほどとりあえずたくさんシャッターを押した方が……と思っていたけど、入念な下調べと経験の蓄積とで、焦ってシャッターを切らなくても余裕をもっていい写真が撮れるようになるんでしょう。愛ある被写体への撮影には、これまた愛がある……と最後にカッコいいこと言ってみましたが、みなさんも、一枚の写真に対する意識を一度見直してみてはどうでしょう。

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