みなさんは「STEM」という言葉をご存じでしょうか? Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字をとった言葉で、先進国のなかでも、日本はSTEM分野の仕事に携わる女性が圧倒的に少ないと言われています。

そこで、企業のSTEM分野で活躍している方々との交流を通し、「STEMの仕事をもっと身近に感じてほしい」「将来の選択肢を広げてほしい」という想いから企画されたのが、東京都主催の“女子中高生向けオフィスツアー”です。

東京都主催中高生向けオフィスツアー

連載4回目となる今回は、インフラやコンピュータ、通信、エネルギーなどの分野で事業を展開する、日本電気株式会社(NEC)で開催したツアーの様子をお届けします。

海底から宇宙まで
最先端の技術を提供
日本が誇るSTEM企業

日本電気株式会社(NEC)
オフィスツアープログラム

“社会と産業のDX”ってどんなことをしているの?

日本電気株式会社(以下、NEC)は、ITサービス事業と社会インフラ事業を主力に、海底ケーブルや衛星・探査機の開発製造など、海底から宇宙まで多岐にわたる分野に価値を提供している大手IT企業です。取引先も、官公庁や教育機関、製造、交通・物流、ヘルスケア・ライフサイエンスなど幅広い領域にサービスを提供しています。最近では、AIの活用によって農業環境を改善する農業DXや、世界最高の精度と評される顔認証技術などでも注目されている企業です。

オフィスツアーの様子

NECについての説明を真剣に聞く参加者たち

「ICTを使った未来」を考えよう! ワークショップでアイデア続々!

NEC本社ビルに集まった女子中高生は60名。参加者のみなさんは8グループに分かれて着席しました。まず行われたのは、参加者同士の緊張をほぐすためのアイスブレイク。テーマは、「ドラえもんのアイテムで一番好きなもの」。「アンキパンがいいな。試験勉強で一夜漬けの苦労をしなくていい(笑)」「ほんやくコンニャクが欲しい! 言語が伝わらない国に行ったときに使いたい」など、それぞれが好みのアイテムを発表していくうちに、自然と笑みがこぼれます。

オフィスツアーの様子

あっという間に緊張がほぐれ、各々の「好きなアイテム」についてで盛り上がりました

グループごとに話が弾んだところで、本題へ。
ワークショップのテーマは、「できたらすごい東京都の『××』の未来」。『××』の部分は『観光』『教育』『環境』『健康』の4つのテーマの中からグループで1つ選び、「ICT(情報通信技術)を使ったら、2030年の東京にはどんな未来が待っているか」について考えます。
与えられたワークシートを前に、全員が意見を出していきます。「できたらすごい東京都の『環境』の未来」をテーマに選んだグループでは、まず、現在の東京都の「良いところ」と「課題だと思うところ」を話し合いました。「良いところ」については『観光スポットが多い』『学校で生徒にタブレットが1台ずつ配布される』など。「課題だと思うところ」は『通勤・通学時間の満員電車』『学校の校庭が狭い』など意見が出ました。

オフィスツアーの様子

それぞれのテーマに沿って、ワークショップに真剣に取り組んでいました

そして、これらの「良いところ」を伸ばして「課題だと思うところ」を解決するという発想をもとに、「2030年の東京都は、ICTを使えばこうなる!」というプラン設計へ。

オフィスツアーの様子

「2030年にはどうなっているのかな」と、遠いようで近い未来について話し合いました

活発なディスカッションを終え、グループでまとめたアイデアの発表を行っていきます。

オフィスツアーの様子

「できたらすごい東京都の環境の未来」を選択したチームのワークシート

考えるテーマ
できたらすごい東京都の「環境」の未来

●現在の東京都の「良いところ」

  • 道にゴミが落ちていない
  • 緑が多い
  • 交通の便が良い
  • 水道水を飲める
  • 暑い日に避難できる

●現在の東京都の「課題だと思うところ」

  • CO₂
  • 人口密度が高い
  • 日照権(環境権)
  • ゴミの埋め立て
  • 人工的な自然の増加
  • 過剰包装
  • 環境汚染
  • 騒音

●2030年の東京都「ICTを使ったらどんな未来が待っているか?」

  • ゴミを再利用し、建築資源などとして活用する
  • プラチック包装の生産の見直し(環境への貢献度をAIが計算し、表示する)
  • 観光地など、人が集まるところに集中的にゴミ箱を設置する(AIで分析)
  • 建物を建てるとき、周りへの影響をAIが計算して伝える

他にも魅力的なアイデアが続々と発表され、女子中高生の発想力と情報整理力、プレゼン力に、NECのみなさんもとても驚いていました。

オフィスツアーの様子

どのグループも魅力的なプレゼンを行っていました

レインボーブリッジを眺めながら仕事!? 世界最高峰の顔認証技術も体験!

ワークショップの後は、オフィス見学に。本社ビルは地上43階、地下4階で、高さが180メートルもあります。12階までが吹き抜け構造になっていて、そのスケールに圧倒されます。

まずは、11階にある食堂と売店へ。お会計をする際は、レジで顔認証もしくは社員証を提示するだけで決済が可能です。 最先端技術を提供するメーカーならではのシステムに、参加者のみなさんは感激していました。

オフィスツアーの様子

「お財布がいらないんですね!!」と驚く参加者たち

次は36階へ。社員のみなさんが仕事をしているオフィススペースを通り抜け、ビルの反対側へ向かいます。社員の方々が一ヵ所に集まっているわけではなく、いろいろなところでゆったりと仕事をしている様子が印象的です。NECでは社員の席は決まっておらず、その日の気分で好きな場所を選び、仕事が出来るそうです。

オフィスツアーの様子

「窓際の席で景色を見ながら仕事したいな」と、景色を楽しむ参加者

広い食堂、レインボーブリッジやお台場が見渡せる場所など、思い思いの場所で仕事をしている様子を見て、女子中高生からは「この景色を見ながら仕事してみたい!」などと声が上がっていました。

広々とした快適なオフィス空間を見学した後は、世界ナンバーワンの顔認証技術の体験ブースへ。まずは顔を撮影し、そのデータをもとに、「宅配ボックスへの荷物の預け入れと取り出し」を体験しました。

オフィスツアーの様子

顔認証技術を体験する参加者

自分の顔を登録した参加者が宅配ボックスの前に立ってみると……、すぐさま認証され、扉のロックが解除されました。

オフィスツアーの様子オフィスツアーの様子

「すごい! 開いた!」と大興奮の様子

鍵を使ったり暗証番号を入力したりする必要がないストレスフリーな流れに、中高生からは「すごーい!」と歓声が。

他にも、顔認証で決済したり、ゲートを開錠したりする体験も。ゲートでは立ち止まることなく、通り過ぎるだけで顔認証が行われ、その精度の高さとスピードに全員が驚いていました。

オフィスツアーの様子オフィスツアーの様子

「本当に立ち止まらなくても認証されるんですね!!」

女性社員のお二人からメッセージ「積極的に挑戦を!」

オフィスの見学と顔認証体験を終え、再びワークショップを行った会場へ。最後のプログラムは、女性社員のキャリア紹介と質問会です。

最初に登壇したのは、レジリエンス事業部門ファイアレスキュー統括部所属の梶原ほのかさん。

オフィスツアーの様子

レジリエンス事業部門ファイアレスキュー統括部所属 梶原ほのかさん

梶原さんは、全国の消防本部のうち4割が導入しているという消防指令システムの構築SEを担当しています。「救急車や消防車を現場に向かわせ、人々の命を救うと同時に隊員の命を守ることを第一に考えています」と、仕事への使命感を語りました。
梶原さんがNECへの入社を決めた理由は、就職活動時に軸としていた「社会への貢献度」「会社の雰囲気」「福利厚生の充実(育休の制度など)」の3つがすべて揃っていたから。さらに、就職活動中に多くの社員の方々と会話をした際、仕事の話を楽しく熱く語る人が多かったからだそう。「他の企業も訪問しましたが、社員の仕事への熱量の高さはNECが断トツ」だったんだそうです。

オフィスツアーの様子

「みんなが熱い想いや誇りをもって仕事をしていることが伝わってきたんです」

Q.

NECに入るために、大学生のうちにやっておくといいことを教えてください。

A.

私は理工学部卒ですが、どちらかというと理系は苦手。もともとSE職に就くことは考えていませんでした。NECに入るからといって、ITの知識がないといけないわけではありません。それよりも、『私は学生時代に〇〇なことに取り組んだので、この会社には〇〇な部分で貢献できると思います!』と言えれば十分。自分が興味をもっていることを積極的に行って、そこで感じた物事をいろいろな人にアウトプット出来るようになるといいと思います!(梶原さん)

次に登壇したのは、プラットフォーム・テクノロジーサービス事業部門の中島由貴さん。

オフィスツアーの様子

プラットフォーム・テクノロジーサービス事業部門 中島由貴さん

中島さんは新卒で入社後、航空機の航法を支援するアンテナの設計や、航空機が滑走路で離着陸する際のアンテナの設計に携わっていました。現在はNECの強みである生体認証を活用した製品の企画販促を担当し、さまざまな分野への活用に向けてチャレンジを重ねています。
「最先端技術に携われ、誰かの役に立てていると実感できることが、仕事のやりがい」だと言います。

Q.

自分が考えたアイデアは、どれぐらいの割合で採用されますか?

A.

製品機能の一部として採用してもらうことは、よくあります。若手だからとか、キャリアが浅いからということで採用されないことは、全くありません。お客様が求めていることの芯を捉えているアイデアであれば、取り入れてもらえる確率が高いです。(中島さん)

オフィスツアーの様子

「チャンスは、年齢やキャリアに関わらず平等に与えられています」

Q.

学生時代に取り組んでいたことはありますか?

A.

趣味の旅行に行く際、積極的に計画を立てるようにしていました。複数のプロジェクトが並行して進むことがあるのですが、そのとき、学生時代に逆算して旅行プランを立てていたことが役立っていると感じています。このように、どんなことも、追求していくと仕事上のスキルとして発揮できる面が出てくるのです。みなさんも、ぜひ、さまざまなことに挑戦を! そして、多くの人の話に耳を傾けて吸収して、視野を広げていってください。(中島さん)

オフィスツアーの様子

中島さんの話を興味深そうに聞く参加者たち

刺激にあふれた今回のオフィスツアー。終了後も多くの参加者が会場に残り、社員のみなさんに、目を輝かせながら質問をする姿が印象的でした。

オフィスツアーの様子

社員の方々に積極的に話しかける参加者が多く見られました

参加者の感想は?

最初から最後まで、とても意欲的に取り組んでいた2名の学生さんに、今回のツアーの感想を聞いてみました!

参加者

働きやすい環境のオフィスで、社員の方々が誇りをもって仕事をしていらっしゃる様子に刺激を受けました。ワークショップは活気があって楽しかったです!

参加者

友達に誘われて来ました。私は文系の教科のほうが好きで、自分の目指す場所はまだ決まっていないのですが、今回のツアーで教えていただいた仕事の内容はすごく面白そうです。進みたい道の候補がひとつ増えました!

NECで活躍する社員から 中高生に向けてのメッセージ!

NECは2022年度より中高生を中心とした未来の仲間を対象に、ITを活用して未来を体感し、将来のキャリアとして働くイメージができるよう、オフィスツアーやワークショップなどを体験する企業訪問プログラムを実施してきました。今後も、様々なテクノロジーや本プログラム等の活動を通して、NEC 2030VISIONで掲げる「自由で開かれた学びの機会」の創出を目指していきます。

次回のオフィスツアーは「コクヨ株式会社」お楽しみに!

コクヨ株式会社

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