新しいキャリア、新しい場所…。新しいことにトライするには、苦難や苦労がつきものです。ただ、その先には希望があります。本連載は、あなたの街の0123でおなじみの「アート引越センター」の提供でお送りする、新天地で活躍する人に密着した企画「NewLife - 新しい、スタート -」。今回は、サッカー元日本代表・加地亮さんにお話をうかがいました。
主戦場はキッチン。カフェを縦横無尽に駆け回る
「毎日バイトに来ているような感覚です」。こう笑って話す加地亮さん。1998年にセレッソ大阪に入団したのを皮切りに国内外のクラブを渡り歩き、サッカー日本代表としてFIFAワールドカップに出場したこともある名ディフェンダーの現在の一日は、朝の掃除からスタートします。
大阪府箕面市で加地さんご夫婦が経営するカフェ「CAZI CAFE」のコンセプトは「子連れで気軽に来られるカフェ」。2棟の古民家をリフォームした店内の一角にはキッズスペースも設けられ、特にランチタイムは子連れ客で賑わっています。いくつもの小鉢が並ぶ定食など、季節の食材を使用した料理の数々が好評です。
営業時間中の加地さんの主戦場はキッチンで、ひたすら皿洗いに没頭します。混雑時には加地さん自らオーダーを取ることもあり、訪れた人々から驚かれることもしばしば。フィールドからカフェへ場所を移しても、縦横無尽に駆け回る姿は今も変わってはいません。
接客に緊張。慣れないカフェ運営に戸惑いも
「朝9時にお店に行って掃除やテーブルのセッティングなどの雑用から始め、小鉢の盛り付けも担当します。夕方にはいったん自宅に戻って子どもたちの世話や家事に時間を費やし、再びお店に戻ってディナーの営業。片づけが終わる頃には23時を過ぎていることが多く、家に着くのは0時くらい。仕事の大変さを実感する毎日です」と、加地さんは多忙な日々を過ごしています。
まだ現役だった2011年7月、奥さんの発案で「CAZI CAFE」をオープン。その後、加地さんは昨年2017年限りで現役を引退しました。実に20年間にも及ぶ長いプロサッカー選手人生でした。
「もしかしたら、まだ数年は現役を続けることができたかもしれません。けれど、トップパフォーマンスを1年にわたって維持する自信を持つことができず、引退を決断しました」 |
「自分に妥協したくない」。そこにはプロとしての意地と誇りがあったのです。そして、今年の2月から「CAZI CAFE」に本格的に携わるようになったのですが、最初は戸惑いも多かったといいます。
「働き始めたばかりの頃は『接客』にとても緊張していました。これまでサッカー選手としてファンの方々とは接していましたが、店員とお客さんとの関係性とは全く違います。『質問にきちんと答えられるかな』と、ビクビクしていましたね(笑)」 |
また、普段からお酒を口にしない加地さんは、ビールサーバーの使い方や上手な注ぎ方がわからず、ドリンク作りにも四苦八苦。すべてをゼロから勉強し、カフェ運営の“いろは”を習得していきました。
パフォーマンスを最大化するために目の前のルーティンワークをいかに工夫するか
そんな加地さんは、サッカー選手だった当時から結果よりもプロセスを重んじていたそうです。
「しっかりと準備すれば、結果は必ず付いてきます。思うような結果が出なければ、そこに至ったプロセスを前向きに見直せば良い。だから、プロに入ってからは落ち込むことも無かったですね。技術の上達を目指し、自分なりに考えを巡らせて実践していく過程に楽しさを見出していましたから。パフォーマンスを最大化するために目の前のルーティンワークをいかに工夫するか、この考え方はどんな仕事にも通じるのではないでしょうか」 |
サッカー一筋だった加地さんがカフェという異分野の新天地でも活躍できているのは、これまでの経験に裏付けされた地道な努力の賜物。さらに、その背景には「お客さんに喜んでもらいたい」という、サービス精神がありました。三人兄弟の末っ子として生まれ、母子家庭で育った加地さん。女手ひとつで育ててくれた母親の背中から、人に尽くす尊さを教わったといいます。
先ほど引退の経緯に触れ、「妥協を許さない、プロとしての意地と誇りがあった」と書きました。しかし、それもさることながら「自分のプレーを喜んでくれるファンの期待を裏切りたくない」という思いが加地さんにはあったのかもしれません。
新たな挑戦の繰り返しが、自分の可能性を広げる
「どんな環境に身を置いても、自分を信じて努力し続ければ、どこかで花が開きます。そういった人は、必ず誰かが見てくれているものです。ですので、あまり先を見過ぎてしまって、今という瞬間をおろそかにしてはいけないと思っています。未来は、今の積み重ねですから」 |
引退を意識し始めた時期においても、セカンドキャリアについては漠然と思い描いていたくらいで「今を精一杯生きる」という意識の方が断然強かったといいます。これからも、カフェでの仕事を軸にさまざまなことにチャレンジしたいと意欲的。淡路島にある奥さんの実家の民宿を継ぐことも視野に入れつつ、常に何事にも全力で取り組むことで、自分に合った生きる道を模索したいと語ってくれました。
「『とにかくやってみよう』の精神で行動を起こしたら、100%の全力を出し切る。そうすれば、結果はどうであれ、経験の質が飛躍的に上がり、次につながります」 |
人生をかけて新たな挑戦を繰り返していくことこそが、自分の可能性を広げる唯一の方法なのかもしれません。今、カフェ経営者とサッカー解説者の二足のわらじを履く加地さんですが、その慌ただしさとは裏腹に、充実の表情を見せてくれました。
「今ではお客さんと会話するのがとても楽しくて。岡山など遠方から箕面まで来てくれるファンの方々もいて、本当にありがたいですし、自分は恵まれているなと思いますね」 |
長く現役を続けられた秘訣を聞いてみると「妻や子どもたち、家族のサポートがあったから」という加地さん。周囲への感謝の気持ちを忘れず、物事をポジティブに捉えて行動する。だからこそ加地さんは、新たな挑戦をするたび、ますます輝きを増しているのでしょう。
アート引越センターは、一件一件のお引越に思いをこめて、心のこもったサービスで新生活のスタートをサポート。お客さまの「あったらいいな」の気持ちを大切に、お客さまの視点に立ったサービスを提供していきます。
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