デジカメとスマートフォンの普及によって、「写真を撮る」ことを趣味にするのも、それを発表するのも格段に手軽になりました。発表の場は数多くありますが、選択肢のひとつとして、自分のポートフォリオを作るかたわら作品を販売できるストックフォトサイト「iStock by Getty Images」(以下、iStock)があります。
「iStock」の特徴は、審査を通過すればプロ・アマ問わず作品を登録可能で、国内のみならず世界各国で販売される可能性があるというところ。グローバルなサービスですが、2015年から日本での本格展開も発表され、これから参加者がどんどん増えていきそうな状況です。
この連載では、日本での本格展開にさきがけて「iStock」に参加している人々にインタビューし、iStockへ写真を提供する理由やその楽しさ、醍醐味について教えていただきます。第4回は、長年フォトグラファーとして仕事をされているt_kimuraさん。ストックフォトとの出会いは……。
コントリビューター名: t_kimura iStock内ポートフォリオはこちら 居住地: 東京都 カメラ歴: 20年 愛用しているカメラ: CanonEOS5D_Mark3 ※この写真はt_kimuraさんがiStock上でアイコンとしてつかっているものです |
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――現在のご職業や生活スタイルを教えてください。
15年近く、フリーランスでフォトグラファーをしています。広告や雑誌、新聞、ウェブ等、様々な媒体で撮影をしていますが、東京を中心に、神奈川、千葉、埼玉など、関東近郊での撮影がほとんどです。
――どれくらいの期間、iStockに写真を提供していますか? また、写真提供をはじめたきっかけについても教えてください。
iStockをスタートさせた2010年当時、メインの仕事以外での写真の販路を探していました。そんなとき、知人からiStockの存在を聞き、やり始めた次第です。迷うことはなかったですね。話を聞いただけで興味が沸きましたし、また、そのころもiStockのようなストックフォトのサイトがいくつかあったのですが、実際にサイトを見てみると、iStockがもっともクリエイティブに富んでいました。運命と言えば大袈裟ですが、自然とiStockを選んでいました。
――iStockへの写真提供のために、どのくらいの時間をかけていますか? また、撮影と選別、加工などの工程のうち、一番力を入れているのはどの部分ですか?
最近は、通常の仕事が忙しく、iStockにほとんど時間を割けていないのですが、マメにアップしていたころは、1日に2~3時間、多い日で5~6時間やっていました。もっとも力を入れているのは、加工の部分です。使ってもらってこその写真なので、いかに綺麗に仕上げるか。そこがポイントとなります。物理的なホコリの除去を筆頭に、トーンやエッジの仕上がり等、気を配らなくてはいけない部分は多いですね。
――ご自身のポートフォリオの作品傾向や、テーマとしている被写体などを教えてください。
定番のコンセプト写真。これが作品の基本でしょうか。奇をてらった写真は、注目は集めても、なかなか関心は寄せてもらえません。iStockは、撮影者の内に秘めたものを表現する場ではなく、相手のことを考える場だと考えています。ダウンロードした写真を扱う人たちが、いかにストレスフリーで作業できるか。使いやすい素材を提供することを心がけています。
――これまで提供してきた写真の中で最も反響が大きかった(売上あるいはアクセス数が多い)ものは何でしたか?
空白の黒板の写真です。何の変哲もない写真が売れるなんて! と、これはかなり予想外でした。単なる黒板ですからねぇ(笑)。ただ、この黒板の写真をきっかけに、自分の撮る"幅"が確実に広がりました。
――iStock(またはストックフォト)に写真を提供していて、一番楽しいこと/嬉しいことは何ですか。
通常の仕事とは違い、iStockは顔が見えない取引です。そのため、自分の写真が、どこでどう使われているのか、知ることもありません。だからこそ、ここでこう使われているのかも、ああ使われているのかもと、夢が広がりますよね。もちろん、想像力もたくましくなる(笑)。
――最後に、これからiStockへの写真提供にチャレンジしようとしている人たちへ一言お願いします。
自信満々でアップしたのに、まったく写真が売れなかったり、逆に、意識していなかった写真が売れたりと、これがiStockの面白いところです。それゆえ、なかなか思うように写真が売れず、くじけそうになることもあると思います。でも、どのようなことをやっても、困難はつきもの。だったら、先ずはスタートしましょう。そして、続けましょう。壁にぶち当たっても、続けていれば、自然と道は開けているはずです。
とにかく撮影を続ければ、道が開けますよ! と力強いメッセージをくれたt_kimuraさん。何事もポジティブに捉えるその姿勢は、同じように撮影を楽しむ方には心強く写るかもしれません。
次回も、iStockに取り組む人へその「醍醐味」を聞いていきます。
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