「地域をつなぎ 地域とつながり 未来につなげる」をSDGs/CSRコンセプトに、安全で安心な高速道路事業を展開しているNEXCO東日本。当連載では、同社のさまざまな職種の皆さんに、「高速道路を通したSDGs/CSRへの取り組み」についてお話を伺っています。
第6回は、仙台管理事務所で管理業務を行っている中田光さんが登場。入社わずか2年ながら「縁の下の力持ち」として実力を存分に発揮している中田さんが考える、高速道路事業の魅力とは?
東北自動車道と山形自動車道の維持管理と料金サービスの業務を行う。東北最大の都市で、スムーズな利用を提供するべく、日々の管理を徹底している。冬場は地吹雪への対応にも気を配っている。
中田 光さん
大学時代は、アメリカンフットボール部のスタッフとして、チームを勝利に導くための裏方業務を担当。就職活動中、社会の基礎となるインフラ業界に興味を抱いたことから、2023年、NEXCO東日本に入社。入社後も仙台管理事務所での管理業務において、学生時代に身につけた「先を見据えて物事を組み立てる力」を発揮している。
仙台管理事務所の仕事内容とは
常に先を見据えて準備をする
――中田さんが勤務されている、仙台管理事務所の業務内容を教えてください。
東北自動車道の白石IC~一関IC間と、山形自動車道の村田JCT~宮城川崎IC間の、道路と橋梁の維持管理を行っています。そのなかで、私は事務職としてソフト面を担当しています。たとえば、自治体の方より工事の要望をいただく場合には、その内容に関して協議を行い、整った内容において「道路使用許可」の手続きを行います。また、「道路へ長期的に物を置きたい」などの申請を受け付ける「道路占用許可」といった業務なども担っています。
――「道路に物を置く」とは、どういうことですか?
たとえば、電力会社が高速道路の敷地内に「電柱を設置したい」と要望をいただくようなケースです。高速道路における占用は、最終的に高速道路機構(日本高速道路保有・債務返済機構)から許可をもらう仕組みになっていますが、この申請は、東北支社(仙台管理事務所をはじめ、東北地方を所掌する上部機関)経由で行うため、これに必要な準備を進めています。
――なるほど。申請関係の業務が多いということは、基本的にオフィスワークなんですね。
はい。ですが、例外的なものだと不動産管理の業務があります。高速道路に隣接するお宅から「高速道路からの枝が伸びてきているので切ってほしい」などの要望を受けることがあるのですが、このような場合には、実際にそのお宅へ伺って剪定作業を行っています。
――中田さんは事務職のご担当ですが、現場に出向くこともあるのですね。
そうなんです。現場や打ち合わせ先に足を運ぶ機会も多く、そこで得る知識や経験をデスクワークに活かしています。自分の目で実際に確認してみないとわからないことが多いですから。入社以前は、就職したらパソコンに向かう時間が多いのだろうと思っていたので、現場に出られることにはプラスの意味でギャップを感じていますし、モチベーションが高まります。
――仙台地域ならではの業務、というのはあるのでしょうか?
管轄するエリアの北部では、冬になると「地吹雪」がよく起こります。積もった雪が風で舞って吹雪になり、視界が悪くなるので、運転している方にとっては追突事故を起こす危険性が高まるんです。そういった事態に備えるために、毎年、地元の警察、消防署、病院関係者の方々と訓練会を行っています。もしもに備えて、発生前からしっかりと準備をしておくことが大切なんです。
――NEXCO東日本には「地域をつなぎ 地域とつながり 未来につなげる」というSDGs/CSRコンセプトがありますよね。地域の皆さんに安心して高速道路を利用していただくためにも、万が一に備えた取り組みは大事なのですね。
非常に大事です。何よりも、渋滞や事故などのトラブルがまったく起こらない状態が一番望ましいです。渋滞を起こさないための工夫は可能なので、できるだけそういう事態にならないよう早めの行動を心がけています。
――渋滞を起こさない工夫とは、具体的にはどういうことですか?
たとえば、工事のために車線規制を行う際、お客さまへ最適な車線運用を促すために道路には矢印のマークや誘導板を設置するのですが、協議の時点で「どのような考えで、誘導板などをそこへ設置するのか」といった根拠を明らかにするようにしています。そのうえで、私たちが「ここは結構カーブがきついから、お客さまのために誘導板はもっと手前に設置した方がよいのでは?」などのように、先に気づければ渋滞を軽減する可能性を高めることができます。事故についても同様で、特に冬であれば雪が降る時期に向けて体制を早くから構築しておくなどにより、迅速な対応につなげることができます。このように、前もって調整や準備をしてお客さまが困ることのない状態を作ることが理想的なことだと考えています。
事故の初動対応でお客さまが安心。役に立ててよかった!
――入社以降、特に印象に残っている仕事を教えてください。
新卒で入社後、1ヵ月間の研修を経て、今の部署に配属されました。そして、配属から1、2週間ほどしか経っていないタイミングで、とても大きな経験をしたんです。管轄エリア内のインターチェンジで「樹木を切ってほしい」という依頼が入ったので、私を含む社員3人でそこに向かいました。作業が終了して、管理事務所へ向かう帰路で事故現場に遭遇したため、その初動対応を3人で行いました。
――初動対応とは?
事故で停車しているお客さま車両の後ろに、まず私たちが乗っている道路巡回車(黄色のパトロールカー)を停めました。そして、車線上に降りて、後方から来る他のお客さま車両がさらに追突することがないように、旗を振って事前回避するように合図を送ったり、発煙筒を焚いたりしました。加えて「ここで事故が起きています」と周囲がわかるように、誘導板を設置し現場の安全を確保しました。
――入社早々に、そういう経験をなさったとは! なかなかできない経験ですね。
突然のことだったので焦りましたし、次々に来る車のスピードにも驚きました。ただ、私たちが柔軟に対応できたことで、お客さまがとても安心した表情をされていたんです。その経験が私にとっては大きく、お役に立てたことが大変嬉しかったです。
NEXCO東日本だからこそ得られるやりがいとは?
――中田さんは、今年で入社2年目と伺っています。そう思えないほど落ち着いた雰囲気をお持ちなので、慌てることなく仕事を進めていらっしゃる印象を受けます。
いえいえ、そんなことはまったくないです。上司や先輩方に教えていただきながら取り組んでいます。それに自分で考えて提案する業務も多く、しっかり私の考えを聞いていただいたうえで、先輩方はアドバイスをくださいます。技術的な面でわからないことがある場合は、工務を担当している社員に質問をしてアドバイスをもらうこともありますね。頼りやすく、一緒にいて楽しい人が多くて、休みの日はみんなでバーベキューをすることもあるんですよ。
――中田さんが、NEXCO東日本に入社を決めた理由を教えてください。
就職活動を始めた頃に、社会の基礎となるインフラの部分に興味を持ち始めことがきっかけです。自分はもともと、表舞台に立つより裏側で何かを支えることが好きなので社会人になってからもそういう仕事をしたいと思ったんです。
――学生時代も“縁の下の力持ち”のポジションにいることが多かったのですか?
大学時代はアメリカンフットボール部に「選手」ではなく「スタッフ」として所属していました。組織を一歩引いた立場で見て、戦略部隊としてチームの目標に貢献する部分にやりがいを感じていましたね。そのような経験を積んだうえで就職活動をスタートして、弊社にOB訪問をしたところ、私と同じように「運動部でスタッフをしていた」という先輩にお会いしたんです。そこで、組織を間接的に支える魅力を教えていただいて、私もここで頑張ってみたいと決心しました。
――アメフト部のスタッフ時代は、チームの勝利のために、さまざまな情報を仕入れて戦略を練る日々だったと思います。その経験は、現在の管理業務に役立っていそうですね。
おっしゃる通りです。スポーツの場合、試合本番を迎えるまでにどのような準備をするかがとても大事です。それは仕事も同様で、目標に対してやるべきことはたくさんあるので優先順位をつけてスケジュールを組みます。このように、先を見据えながら物事を組み立てる作業にやりがいを感じるんです。余談ですが、大学時代は「宗教画はなぜ構図が似ているのだろう?」ということに興味を持ったことから、美術史を専攻していました。何か仮説を立てて検証するプロセスは、もともと好きなのかもしれません。
NEXCO東日本が実現する、これからのSDGs
――それでは最後に、中田さんが今後NEXCO東日本で挑戦したいことや目標を教えてください。
今、海外と日本の高速道路の違いに興味を持っているので、たとえば「国によって高速道路の法律や文化には違いがあるのか」など、海外まで視野を広げて高速道路について勉強したいと思っています。というのも、アメリカを旅行したときに高速道路を走って驚いたことがたくさんあったんです。たとえば、道幅が広くて日本と全然違うんだな、と。ドイツのアウトバーンを始め、世界にはさまざまな高速道路があります。それらについて学習して、日本の高速道路に何か取り入れられることはないかを調べたいですし、ゆくゆくは弊社の海外事業にも携わりたいと思っています。
――目標が叶うといいですね。
はい。そのためにも、まずは地域の皆さまに高速道路を継続的に安心して使っていただけるよう、日々の業務と勉強に励んでいきたいです。
NEXCO東日本のSDGsとCSRまとめ
[PR]提供:東日本高速道路株式会社