NEXCO東日本の「高速道路事業を通したSDGs/CSRへの取り組み」に迫る本連載。第5回は、千葉工事事務所で施設工事を担当する髙濵菜摘さんにインタビュー。現在、NEXCO東日本では首都圏中央連絡自動車道(以下、圏央道)の大栄ジャンクション(以下、大栄JCT)と松尾横芝インターチェンジ(以下、松尾横芝IC)間に新しく道路を建設中。そこに設置される施設事業への取り組み、地域の方々との触れ合い、工事事務所には数少ない女性社員としての目標など、お話を伺いました。
圏央道(一般国道468号/大栄 JCT~松尾横芝 IC)の建設工事を実施中。首都圏~成田国際空港方面へのアクセス性向上などが期待される路線として注目を集めている。
髙濵 菜摘さん
2018年、NEXCO東日本入社。新潟支社施設課にて、県内事務所の施設管理などを経験後、東京湾アクアライン管理事務所に異動。海底トンネルの防災設備など、施設の機械職分野を担当し、2023年7月からは、千葉工事事務所で圏央道 大栄 JCT~松尾横芝 IC 間/京葉道路 京葉市川 PA(上り線)の施設工事を担当している。
千葉工事事務所の仕事内容とは
千葉エリアならではの道路事情
――髙濵さんは、千葉工事事務所で施設工事を担当しているということですが、具体的にはどのような業務を行っているのですか?
圏央道の大栄 JCTと松尾横芝 IC間に、新しく環状道路を建設中です。このプロジェクトにおける施設工事の設計、発注、管理を担当するのが施設工事班の仕事です。たとえば、料金所まわりの照明や、渋滞や事故などをお知らせするための情報板、トンネルの防災設備などの設置、また、京葉市川 PA(上り線)の建築工事などを行います。
――施設の工事作業に実際に取り掛かるのは、土木工事完成後ということですか?
そうです。現在、担当工事区が進めている土木工事の進捗を見ながら、施設工事班は、土木工事完成後すぐに仕事に取り掛かれるように準備を整えている状態です。
――現段階で決まっている施設工事の、特徴的な例を教えてください。
料金所のETCレーン付近に設置される照明は、これまでは一般的に10メートル以上のものを採用していましたが、今回は高さが低めの5メートルほどの照明を設置します。
高さが10メートル以上の照明の場合、点検の際に高所作業車が必要になるので、点検中はひとつのレーンを閉鎖しなくてはいけません。つまり、点検している間は、お客さまの車はそのレーンを通れなくなってしまいます。
――高さが低い照明を採用すると、その問題を改善できるのですか?
はい。照明の位置が低ければ、作業車がなくても、足場に登って点検ができます。そうすれば、レーンを閉鎖せずに済むのです。千葉エリアは交通量が多いので、レーンはできるだけ閉鎖せずに車が通れる状態にしたいという思いで、今回のプランを実行することになりました。
――圏央道 大栄 JCT~松尾横芝 IC 間の新設道路が開通することで、利用者にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
圏央道は、大栄 JCTから、茨城県、埼玉県、東京都、神奈川県に向けてグルッと環状でつながっています。また、圏央道と各県から首都圏に向かう主要な道路は連結しているので、関東圏と都心を行き来する際に大変重要な役割を果たしています。
今まで未開通だった大栄 JCT~松尾横芝 IC 間の道路が完成すれば、千葉県内の圏央道は全部つながり、交通の分散が見込めるようになるのです。特に、都心と千葉エリアをつなぐ京葉道路は渋滞が多いことで知られていますが、交通が分散されると、その問題は改善されると予想されています。
千葉工事事務所が実践するSDGs/CSR
――この工事が完了すれば、交通の利便性が高まりますね。NEXCO東日本のSDGs/CSR活動コンセプト「地域をつなぎ 地域とつながり 未来につなげる」を、まさに叶える道路なのでは?
本当にそうだと思います。道路の沿線地域には、すでに物流や産業の拠点、交流の拠点、住宅団地などの整備が進められています。地域が活性化すると雇用機会の拡大も期待されます。新しい道路が開通すると環境がどんどん変わっていくので、その始まりを担っていることに大きなやりがいを感じます。
――今回の施設工事にあたり、SDGs/CSRの観点で取り組まれていることはありますか?
新しくできる料金所は無人式なのですが、点検で訪れる担当者のためにトイレがあるといいのではという議論になり、サステナブルなトイレを設置することにしました。流された汚水が処理装置内を循環すると、微生物によって水と炭酸ガスに分解されることで、再び洗浄水として使用することができるという仕組みのトイレです。下水道と汲み取りが不要で、施設ごと設置するだけで使えるので、水を無駄にしません。環境に配慮しているうえ、下水道を新たに引き込む必要がなく、維持管理も少ない長年にわたって持続可能なシステムです。
NEXCO東日本だからこそ得られるやりがいとは?
――髙濵さんの業務における充足感を教えてください。
工事事務所への勤務は、自分自身で希望を出しました。何もないところにゼロから設計して施設を作る仕事に携わりたいと思ったからです。今は工事に向けての準備として、設計業務の管理などを行っています。お客さまの利便性や設備の維持管理の向上につながる取り組みができると、達成感を得られますね。
――髙濵さんは、支社の施設課、管理事務所を経て、工事事務所で仕事を始められました。今までの業務にはなかった工事事務所ならではの魅力は何でしょうか?
千葉工事事務所施設工事班の社員は3人で、そのほかに、グループ会社の施工管理員の方々が5人。普段は、この8人体制で仕事をしています。また、作業の内容によっては、土木担当の部署にお願いして建設事業を進めることもあります。土木担当の方から学ぶことは多いです。しかも皆さんアグレッシブで、すごく元気なんです(笑)。こちらを引っ張ってくださり、いつも刺激をいただいています。
このように、自分の部署以外の人たちと力を合わせて事業を進めることが多いので、学びが増えて楽しいです。それと、工事事務所には女性より男性のほうが多く在籍しているのですが、だからといって、仕事をしづらいと感じたことはありません。これからも委縮せず、いろいろなことを吸収しながら成長していきたいです。
――そもそもですが、髙濵さんはなぜNEXCO東日本に入社されたのでしょうか?
学生時代は理数系の科目が得意で、大学では理工学部機械工学科に在籍していました。そこで材料力学の研究をしていて、エネルギー系の仕事にも興味をもっていたのですが、長年勤務できる会社に入りたいという気持ちが強くNEXCO東日本の採用試験を受けました。最近は、新卒入社のときに転職を前提に考えている人が多いと聞くのですが、私は昔ながらの考え方なのか、入社したらずっと同じところで働きたいと思っていたんです。なので、やりがいがあり、かつ安定している企業を希望しました。
――入社前は予想していなかったNEXCO東日本の魅力を教えてください。
私の専門は機械職なのですが、今では建築工事や電気設備工事に携わることのほうが多くなっています。この貴重な経験はNEXCO東日本に入社したから味わえていることで、いろいろな技術の知識を身につけられて嬉しいです。それと、上司や先輩が想像していたより優しいことにも驚きました(笑)。
――何か具体的なエピソードはありますか?
学生の頃は、社会はとても厳しく仕事を始めると怒られることが多いのだろうと思っていたんです。それが実際は、たとえば打ち合わせの席などで先輩や上司は私に「何でもいいから、とにかく発言をするように」と言ってくださいました。そういう席では、新入社員は声を出しづらいのですが、機会を与えてくださったおかげで打ち合わせでもどんどん発言できるようになったんです。
――風通しのよい社風なのですね。そのなかでも特に「千葉工事事務所に来てよかった」と思うことはありますか?
地域のイベントに参加することが多く、近隣に住む皆さまと交流できるのがとても楽しいです。最近ですと、成田山の参道で行われる成田伝統芸能まつりで事業のPRをすることができて、お祭りにいらした方々に「今、高速道路の工事をやっているんですよ」とお伝えすると「早く完成するといいね」などのお言葉をいただきます。このような触れ合いはこの工事事務所ならではの経験なので、来てよかったなと思います。
――事務所の皆さんが一体となって、PRを行っているのですね。
そうなんです。大栄 JCT~松尾横芝 IC 間の、市町村のゆるキャラをプリントしたポロシャツを作って、それを事務所のみんなで着てPRしていることもあります。ポロシャツは普段事務所で仕事をするときに着ている社員も多く、一体感が生まれていると思います。和気あいあいとした雰囲気で楽しいです。
NEXCO東日本が実現する、これからのSDGs
――NEXCO東日本でのキャリアビジョンを教えてください。
私が在籍する施設工事班の上司は、どんどん新しい提案をする方です。私は経験不足もあって同じようなことはできていないのですが、いずれ自分もそういう風になりたいと思っています。具体的に今の工事の話をすると、パーキングエリアの設計に関してはこれから着手する部分もあるので、たとえばトイレに関しては、女性ならではの発想でプランを考えて設計に反映するなど、自分のアイデアを出していきたいです。これからもチャレンジを重ねながら、キャリアを積んでいきたいです。
――将来が楽しみですね!
はい。やる気をもっていろいろな挑戦がしたいです。そのためにも、まずは圏央道の建設事業を頑張りたいと思っています。新しい道路ができることで、地域の皆さまはいろいろな場所に行きやすくなり、訪れたエリアの魅力に触れることができます。私が担当している仕事は観光振興にもつながっていると思うと、社会貢献もできていることに喜びを感じます。
NEXCO東日本のSDGsとCSRまとめ
・圏央道 大栄 JCT~松尾横芝 IC 間に新設道路の建設で渋滞緩和に貢献
・沿線には、物流、産業、交流の拠点の整備がスタート。地域活性化も期待
・地域の方々との交流を通し、環状道路の魅力をPR
・女性社員ならではの目線で、利用者の満足につながる施設作り
[PR]提供:東日本高速道路株式会社