教育分野におけるICT活用は、これからの日本を支える大切な取り組みだ。小・中学校を対象とした「GIGAスクール構想」はもちろん、デジタル人材の育成を目的とした「高等学校DX加速化推進事業」いわゆる「DXハイスクール」といった具体的な支援策も次々と施行されており、その動きはさらに活性化している。
今回紹介する学校法人須磨学園は、いち早く1人1台のパソコンやスマートフォンを配布するなど、積極的なICT教育に取り組んできた経緯がある。同校のDXハイスクール事業を活用したデジタル環境の整備にユニットコム(パソコン工房)が深く関わったというので、その経緯や狙いを伺ってみたいと思う。
生徒一人ひとりの自己実現を目指して
須磨学園は「to be myself,... なりたい自分になる。そして…」をテーマに、生徒一人ひとりの自己実現を目指す学校法人だ。中学校の校長も務める理事長の西 泰子氏のもと、校風を愛する中学生、高校生らが集う校舎からは常に明るい声が聞こえてくる学園となっている。
2024年度の難関国公立大学への合格者数は139名と、全国的に見てもトップクラスの進学率を誇り、水泳部、陸上競技部、ソフトテニス部などの運動部や、吹奏楽部や競技かるた部、ESS(English Speaking Society)部などの文化部も全国大会で優秀な成績を収めるなど、文武両道を実現している。
中高一貫生が行く研修旅行では、海外の高校や大学を訪れ、学校交流や異文化交流をおこなうほか、Microsoft社、ボーイング社といった世界的企業の見学や、NASA、ナショナルギャラリー、スミソニアン博物館、オルセー美術館、ルーヴル美術館なども訪れ、生徒たちは多感な時期にグローバルな視点を養うという。これからの日本を背負うことができる人材を数多く輩出するための取り組みを続けているのが須磨学園の特長といえる。
「ICT教育に関しては、コロナ禍以前から取り組んでおり、プログラミングなどの授業を積極的におこなってきました。生徒一人ひとりにWindows PCを配布するなど、ICT教育の環境づくりも実施していました。そんななか、補助金事業としてDXハイスクールが始まるということで、この取り組みは本校にとっても、ICT教育をさらに活性化させる良い機会になるのではないかと考えました」と語るのは須磨学園の情報インフラを支えるマルチメディア部 部長の日野氏だ。
かつてMicrosoft社の新技術担当副社長を務め、その後アスキー社を創業した西 和彦氏が学園長であり、須磨学園は以前から制パソコン・制携帯(制スマホ)というものを導入している。コンピューターにゆかりの深い校風を持っているのも須磨学園の特徴であり、日本全体がICT教育を取り入れる以前から、取り組みを始めていたのも頷ける背景があるのだ。
「DXハイスクールの採択校になることで、短期的には生徒個人のデジタルスキルの向上につなげていくためのデジタルスキルワークショップを導入したいと考えていました。例えば、医療や建設業界での採用が増えているVRやMR、3Dプリンターの活用を考えています。中長期的な取り組みでは、デジタルイノベーションのリーダーシップを発揮できるような人材育成を目指したいと考えました。生徒たちが総合的かつ柔軟なスキルを習得し、正しい意思決定能力を持つための地盤づくりをしたいと思います」と語るのは、同じくマルチメディア部の土居氏だ。
DXハイスクールの採択校となり、同校の狙いを具体化するために必要なのは、高いデジタルスキルを学ぶための充実した環境だ。須磨学園ではマルチメディア室(情報教室)を、新たにハイレベルなICT教育が実践できる環境に刷新するという構想のもと、2023年末より準備を始めることになった。
大きく刷新されるマルチメディア室
「マルチメディア室を作り変えるにあたり、『全部ひっくり返す』くらいの気持ちで改良をしたいと考えました。机、椅子といった備品を含め、総入れ替えをするような設計図を作り、何度も理事長・学園長と話し合いながら構想を練っていきました」と語る日野氏。
その際、備品やデバイスの選定や調達、工事や設置などのサポート全般に選ばれたのはユニットコム(パソコン工房)だった。
「ユニットコム(パソコン工房)さんとはハードウェアの調達などで兼ねてからのお付き合いもありましたが、今回の計画をご相談したところ全社を挙げてサポートしてくださるというお返事をいただきました。もちろん、ご提案いただいた内容に関しても、私たちの理想を実現するために熟慮されたもので、コスト的にもギリギリまで抑えていただいた内容と感じました。ほかにも数社お声がけし比較検討をさせていただいた結果、ユニットコム(パソコン工房)さんにお任せするという決断に至りました」と日野氏は振り返る。
こうして、須磨学園とユニットコム(パソコン工房)による、マルチメディア室を刷新する活動が始まった。
「今回の刷新で特徴的なところとして、液晶モニターをノートPCの画面の上に設置するというアイデアがありました。これを実現するためのモニターアームの選定1つにしても試行錯誤で何台も試しましたが、ユニットコム(パソコン工房)さんの協力のおかげで最終的に生徒にとって使いやすく安全な環境が構築できたと思います」と土居氏。
マルチメディア室では、1人1台のハイスペックノートPC48台と、PCの上部には21.5インチモニターが設置された。
「上下のデュアルモニターに関してですが、これまでの授業で不便だった部分を改善するために生まれたアイデアです。今までは生徒2人に対して1台の液晶モニターが与えられ、そこに教員の画面が投影される仕組みでした。生徒は教員の画面を参考に、自分たちのPCでプログラミングを行うのですが、その際に見間違いや打ち損じといった単純なミスが多かったのです。それを回避するのに視線や首の動きが最小限になる上下配置を採用してみたのですが、これが正しかったのか、生徒たちの反応もとても良いです」と土居氏は笑顔で語る。
マルチメディア室の刷新は採択校に選定された2024年の春からはじまり、室内の改装や設備の搬入を経て、ネットワークの敷設やデバイス類のセッティングが完了したのは2024年の8月だった。
「生徒たちが最初に部屋に入ったとき、『あれ? この部屋であっている?』と困惑したほど、大きく環境が変わりました。先ほど触れた上下2画面のデュアルモニターはもちろん、1人1台のハイパフォーマンスPC、さらに3Dプリンターなども設置され、デジタル教育の現場としてかなり充実した施設になりました」と日野氏は手応えを語る。
「マルチメディア室に設置されたPCは、ディスクリートグラフィックス(dGPU)を搭載した本格的な仕様です。VRや3D CADといった、社会に出た際に即戦力となるような、かなり本格的なICT教育までこなせる環境が実現できたと思います」と土居氏も言葉を続ける。
DXハイスクール事業への環境整備をサポートするユニットコム
マルチメディア室の完成により次世代のICT教育を目指す須磨学園。
「私が持っている情報教育の印象は『勉強』というものではなく、活動をするなかで自然に身につけていくものだと考えています。日常的にICTに触れるなかで、何かに『面白いな』と思ってもらえるだけでも良いと考えています。興味を持つようになり、作る側に行ってみたいと思ったところから、プログラミングでもなんでもトライしてみればよいのです。ICTを実感できるマルチメディア室も出来あがったので、この施設をうまく活用し、本校から1人でも多く、『作る側』の人間になれる人が生まれたらよいなと考えています」と土居氏は今後の構想を話してくれた。
「これまでハードウェアがなかったために、よい体験が出来なかった生徒も多かったと思います。今回、マルチメディア室を刷新したことで、その点では大きく解消することができるのではないでしょうか。あとは私たちが、土居のいう『面白い』と感じさせるテーマを提供し、まずはICTを楽しんでもらえればと思っています。そして、ユニットコム(パソコン工房)さんには今回も大いに助けていただきました。今後は普通教室にもICT機器を導入する案も出ていますので、そちらに関するご提案もお待ちしております。ほかにも、デジタル教育について幅広い知見を提供していただけるとうれしいですね」と最後に日野氏は語ってくれた。
ユニットコム(パソコン工房)は今後も須磨学園の取り組みをサポートしていく。
SUMAGAKUEN
学校法人 須磨学園
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