ベビー用品などを展開するピジョンは、「赤ちゃんにやさしい未来」の実現を目指して、日本全国の中学生を対象とした『赤ちゃんを知る授業―赤ちゃんにやさしい未来のために―(以下:赤ちゃんを知る授業)』を行っています。
この授業は、社会全体で育児を考え、赤ちゃんにやさしい行動につなげる取り組みとして、2021年9月から2024年9月までで合計約410校、約34,000名の生徒向けに実施されています。本記事では、2024年10月22日、かえつ有明中学校で実際に行われた出前授業の様子をレポートとしてご紹介します!
ママ・パパの苦労と、周囲の子育てへの理解の重要性を背景に実施
子育てしやすい社会づくりをサポート
この取り組みの背景には、現代の社会問題や子育てを取り巻く実情がありました。まずは取り組みを実施するに至った経緯や取り組みにかける想いについて、ピジョン株式会社 経営戦略本部 ブランドデザイン部の小野有紀さんにお話を伺いました。
―この取り組みを行うことになった背景を教えてください。
小野:私たちピジョンは、「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」という存在意義を掲げています。しかし現代においても、ママ・パパの中には子育てや出産に関して周囲から理解を得づらく、子育てをしづらいと感じている方がいらっしゃいます。
そこで、そのなかで自分たちに何ができるかを考えたときに、大人になる前の段階の子どもたちへの早期教育に関わりたいという想いに至りました。近年は少子化や核家族化が進み、赤ちゃんや育児にあまり触れずに育っていく子どもたちもたくさんいます。そのような時代だからこそ、授業を通して早期から教育を行うことで、赤ちゃんに関心を持ってもらい、育児への理解を深めて欲しいと思っています。さらには、困っているママ・パパのために中学生自らができることを考え、行動するきっかけを提供していきたいです。
調査で浮き彫りになった、
現代ママ・パパの実態とは?
周囲のちょっとした「気遣い」や「サポート」がママ・パパの助けに
赤ちゃんとのお出かけ時には、85%のママ・パパが苦労したと答えており、お出かけは大変と感じている状況が明らかになりました。そのなかで、お出かけ時に周りからの配慮や手助けがあって良かった・嬉しかったと答えたママ・パパは64%。多くの人が、周囲からの温かい声がけや行動に救われているということがわかりました。
<調査概要> 育児の苦労と周囲の理解の重要性に関する意識調査
調査対象:20~49歳で乳児(0~3歳)の子育てに携わっている全国の女性500名、男性 500名 合計1,000名
実施期間:2024年6月26日~29日実施
調査主体:ピジョン(株)
調査方法:Webアンケート形式
―この取り組みを通じてどのような未来を目指していきたいですか?
小野:私たちは「赤ちゃんを知る授業」を通して、赤ちゃんや育児を身近に感じてもらい、中学生による赤ちゃんへのやさしい行動を促すとともに、将来、生徒さん自身や周囲の方を通じて関わるであろう出産、育児への理解を深めてもらいたいと考えています。そうすれば、今よりもっと子育てのしやすい社会になります。そんな未来を実現させるため、この取り組みをもっと広げていきたいです。
「赤ちゃんを知る授業」を体験!
その内容と生徒たちの反応は……?
ピジョンの「赤ちゃんを知る授業」では、教材を日本全国の中学校に無料で提供し、一部の学校には出前授業として直接ピジョン社員が赴いて授業を行なっています。今回取材したかえつ有明中学校で行われたのは、出前形式の授業。いつもと違う雰囲気に生徒たちも少し緊張気味のなか、授業が始まりました。
前半はスライドを使って、妊婦さんや赤ちゃんの特徴についてレクチャーが行われました。初めは、自分が赤ちゃんだった頃を振り返ったり、さまざまな状況で生まれてくる赤ちゃんの話を聞いたりして、誰もがかけがえのない存在であることに想いをめぐらせます。
次に妊娠時のお腹の大きさについて学習し、赤ちゃんの抱っこを体験。赤ちゃんへのイメージも鮮明になってきたところで、班ごとに実物大・実際の重さの赤ちゃん人形が渡されました。
赤ちゃんの行動の特徴を学ぶ場面では、実際の赤ちゃんの映像が投影されました。すやすや眠ったり、おもちゃを口に入れたりと、可愛らしい動きをする赤ちゃんの様子を見て、思わず微笑む生徒も多く見受けられました。
赤ちゃんが頻繁に母乳を飲むことや、気持ちを伝えたくて泣くことなどについても説明を受け、赤ちゃんを育てることの大変さも学びます。それを受けて講師から「誰もが親や周りの人にたくさん助けられて育ってきた」という話があり、生徒たちはひときわ真剣な表情で聞いていました。
授業後半には、体験やグループワークも行われました。
まずは妊婦体験。妊娠8か月頃の妊婦さんの身体の重さを体感できる妊婦ジャケットを着用します。
想像以上の重さに「重い!苦しい!」と驚きながら、しゃがんだり歩いたり、さまざまな姿勢をとってみます。しゃがんだ状態から立ち上がる際には、あまりの辛さから一斉に「うわ〜!」と声が漏れました。なかには、「着けたことを後悔し始めた……」と呟く生徒も。
感想の発表では、「腰がやられそうで、妊婦さんはこんなに大変なのかとびっくりしました」と、実感のこもったコメントがありました。
次に行ったのはベビーカー体験。赤ちゃん人形をベビーカーに乗せて、教室内を歩き回ります。
駅の改札の幅が再現された道を通る場面では、「わあ、ぶつかりそう!」と焦る様子の生徒たち。「普段何気なく通っている改札も、ベビーカーを押しているととても狭く感じられた」という感想も発表されました。
体験終了後にはグループワークが行われました。街で困っている妊婦さんや赤ちゃん連れの人を見かけたら、どんな手助けができるか、思いついたことを付箋に書いて貼っていきます。
考えたことをいくつかのグループに発表してもらうと、「ベビーカーを押している人が階段の前で困っていたら、荷物を持ってあげたり、スロープやエレベーターの場所を教えてあげたりする」「公共交通機関や飲食店で赤ちゃんが泣いていたら、いないいないばあをしてあげる、または赤ちゃんが落ち着けるように静かにしてやさしく見守る」などの具体的な行動案が出てきました。
授業の最後は、「これから街で困っている妊婦さんや子育て中の人を見たら、ぜひ気にかけてほしい」という講師からの呼びかけで締めくくられました。50分間という短い時間でしたが、幅広い内容が凝縮されており、生徒たちにとっても非常に充実した時間になったようです。知らなかった話を聞いたり、初めての体験をしたり、より密度の濃い時間に感じられたことでしょう。
授業を終えて、生徒や先生が感じたことは?
終了後、授業を受けた生徒3名と、この授業を導入された吉井小鈴先生に感想を伺いました。
*生徒から
妊婦ジャケットは着け外しができるけど、実際の妊婦さんは何か月もの間ずっと重い状態なのですごく大変だと思いました。横になるのも立つのも、何をするにも大変なので、手助けの必要性を感じました。 |
ベビーカー体験では、改札の狭さや、先まで見ながら歩かなくてはいけない難しさを感じました。これまで、街でベビーカーを押している人を見ても何とも思わなかったけど、これからは気にかけながら過ごしたいです。 |
赤ちゃん人形を抱っこしたとき、すぐに首がガタンと落ちてしまい怖かったです。すごく繊細だと思いました。そんな赤ちゃんをいつもお世話する人はとても大変だと思うので、困っている人を見たら積極的に声をかけたいです。 |
*先生から
学校の授業は教科書に沿って行うものなので、保育の単元で体験を取り入れることがなかなか難しいのが現状です。教具としても、たくさんの赤ちゃん人形やベビーカーを用意できるわけではないので、今回のような授業は生徒たちにとって大変貴重な機会になったと思います。授業を受けている生徒たちの様子を見て、赤ちゃんや育児に対しての興味関心がグッと高まったように感じました。『子育てってなんとなく大変そう』という状態から脱して具体的に理解することで、意識を変えたり、行動を起こしたりするきっかけになればいいなと思います。 |
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「赤ちゃんを知る授業」を受けた生徒たちからは、これからは困っているママ・パパを助けたいというやさしい言葉で溢れました。ピジョンでは今後、授業の対象を中学生以外に広げたり、地域と連携したりという展開も視野に入れつつも、まずはこの取り組みを広め、定着させていきたいとのことです。
子育てに対しての理解や、困っているママ・パパを助けたいという気持ちが広まれば、社会全体がよりやさしく、子育てしやすい世界に変わっていくはず。ぜひ知ることから始めてみてはいかがでしょうか?
早期教育で未来の社会に育児への理解を高める
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