老舗国内PCメーカーの「エプソンダイレクト」は、一般向けのPCだけではなく製造業に向けたPCも多く生産しています。長期間にわたって継続採用する顧客も少なくありません。なかでも京都に本社を置く分析・計測機器メーカーの株式会社堀場製作所には30年近く継続採用されています。なぜそれほど長く愛用されているのでしょうか。堀場製作所の担当を訪ね、エプソンPCの魅力を語ってもらいました。
世界に誇る分析・計測装置のリーディングカンパニー
――最初に堀場製作所様の事業内容と、お二人のご担当を教えてください。
当社は1945年に創業した、業務用の分析・計測機器を開発、製造、販売するメーカーです。製品はおもにメーカー・大学・官公庁・工業試験所・医療機関の研究室や工場などに納めており、品質管理や素材の研究開発などに利用されています。
テレビドラマやニュース番組などで登場人物が操作したり、背景に映ることがあるので、見ればわかる人もいるかもしれませんが、一般の消費者が直接目にする機会はほとんどないと思います。
当社は、「エネルギー・環境」「バイオ・ヘルスケア」「先端材料・半導体」の3つのフィールドで事業をグローバルに展開しています。エネルギー・環境フィールドの自動車排ガス測定装置や、先端材料・半導体フィールドで主に半導体製造装置向けに供給するマスフローコントローラーなど、世界トップシェアを誇る製品を数多く持っています。
私と越川が所属している部門は、3つのフィールド全てで分析装置や測定装置などを開発しています。その中で私達の担当は、鉄鋼や非鉄材料に含まれる炭素・硫黄・酸素・窒素・水素といった元素を分析する装置で、主に鉄鋼メーカーで鉄鋼の品質管理や新素材の開発・研究に使われています。
西方はチームのまとめ役で、お客様の要望を聞き出して開発メンバーに落とし込む役割です。私は開発メンバーの一人としてソフトウェアエンジニアリングを担当しています。
――貴社ではエプソンPCをどのような目的で利用しているのでしょうか。
当社は部門ごとにPCなどの採用機材を選定しており、私達の部門では30年近く前からエプソンPCを採用して、お客様に納品する装置への組み込みに利用しています。
現在はデスクトップPCの「[AT998]」と、ノートPCの「[NJ4400E-2]」を装置に応じて使い分けています。デスクトップPCは工場など現場向けの装置への採用が多く、ノートPCは研究室向けの装置への採用が多いです。
私達が担当している装置は、基本的に自社製のマイコン基板を内蔵していて、計測や分析そのものはマイコンで行い、エプソンPCは装置を制御するUI操作に使用しています。制御用のアプリは自社製で、分析した結果をディスプレイに表示したり、プリンターで印刷したりするのがPCの役割です。
詳細なグラフをリアルタイム表示で確認するといった、グラフィックの処理にはGUIが必要です。そのため、マイコンに処理させるより、PCを使ったほうが効率的なのです。そこで、安価で入手性が良く、顧客にも馴染みやすい、Windows OSを搭載したPCが適しています。
エプソンPCの採用、きっかけは偶然、継続は必然
――専用の産業用PCではなく、汎用PC(民生用PC)を導入しているんですね。
私達の部門でも、産業用PCをまったく導入していないわけではなく、耐環境性能が求められる顧客には導入しています。ただ、それほど多くはありません。産業用PCを準備するには汎用PCの3倍くらいのコストが必要なので、耐環境性能が厳しく求められない顧客では汎用PCの方が適しているということです。
――汎用PCのなかでも、エプソンPCを導入したきっかけを教えてください。
エプソンPCを選んだきっかけですが、実は偶然です(笑)。30年ほど前にPC/AT互換機(DOS/V機)とWindowsが登場しましたが、まだ選択肢は多くありませんでした。そこで外資系のDEC(Digital Equipment)製PCを採用し、その後DECの日本法人の日本DECとセイコーエプソンが提携。DEC・EPSONのダブルブランドから、現在のエプソンPCになっていたという経緯なのです。
――選択肢が増えたなかでエプソンPCを採用し続けているのは、どのような理由がありますか?
きっかけこそ偶然でしたが、継続はきちんと検討した結果です。Windows 95以降、当社製装置の制御は多くが汎用PCに切り替わり、導入台数も一気に増えました。ただそれは当社だけのことではなく、多くの業界で一斉に起きた現象です。そうなると大手PCメーカーに『こういう仕様のPCがほしい』と要望を出しても、他の顧客のニーズとも合致しないとなかなか応じてもらえず、融通の利く返事がもらいづらくなりました。
また当社の日本国内のお客様は、全国各地にいらしゃいます。装置を24時間ずっとお使いいただいている現場も多数ありますが、装置が故障すればラインが止まってしまいますから、それがたとえどんなに遠隔地の工場であっても迅速に対応できなければなりません。
そこで、当社と同じくらいの規模でサービス拠点を持っていて、しっかりと保守対応をしてくれ、細かなオーダーにも応えてくれる小回りの利く国内メーカーが必要だと考えました。エプソンは高品質でカスタマイズが柔軟ですし、プリンターメーカーとして多くの拠点も持っている。ですから、必然的に変えなかったのです。
――ほかに気に入っているところはありますか?
壊れにくい点や価格面ももちろん評価しています。モデルチェンジのタイミングを当社の希望通りに調整してもらえるところも嬉しいです。1年に何度も基本仕様を変更して顧客に動作確認を求められると、現場での検証に毎回時間を取られて困ってしまいますから。エプソンは同じ仕様を安定して納めてくれるので助かっています。
現場では本格的な産業用PCと汎用PCの中間くらいの製品が求められている
――エプソンに今後期待されることをお聞かせください。
防塵防滴などにある程度強いPCのラインアップがほしいです。多少値段が上がっても、耐環境性能で優れている製品は我々の業界で引き合いがあります。ただ、本格的な産業用PCは当社にとっては高価過ぎる場合が多いので、既存の産業用PCと汎用PCの中間の価格帯の製品があると嬉しいです。
最近はサブスクリプション型のサービスが増えている点が悩みになっています。当社の装置は通常ネットワークに接続せず、ほとんどがオフラインで使われます。
サブスクリプションのためにネットワークにつなぐと、ウイルスチェックやファイアウォールなど、オフラインならば不要なアプリが必要になり、PCのリソースを使われ、動作が安定しないリスクも増えます。当社のお客様からこうした相談があった際、当社としては逐次エプソンに相談するしかありません。このレスポンスはスピードアップしてもらえるととてもありがたいです。
この問題を減らすには、今後は『Windows 10 IoT Enterprise LTSC(以下、IoT OS)』をベースにした必要最小限のOSも、視野に入れていかなくてはならないかもしれないと考えています。
あとは、HDMIやUSB Type-Cなどの比較的新しい規格はケーブルが抜け易いため、簡単に抜けない仕組みを用意してもらえると助かります。こういうところはPCメーカーならではの工夫ができるところではないかと期待しています。
デスクトップPCは、レガシーのインタフェースも残しつつ、新しいインタフェースにもタイミング良く対応してほしいですね。変わらないところを価値としつつも、しっかりとニーズに合った製品を生み出していく。今後もエプソンらしい製品を作ってほしいです。
――ありがとうございます。
コストカットやダウンダイジングを考えている製造現場や研究室にとって、エプソンダイレクトのPCは解決策につながる提案材料として大いに活用できそうです。
※マイクロソフト (Microsoft、Windowsおよび Windows ロゴ) は、マイクロソフト グループの企業の商標です。
※HDMI、HDMIロゴ、High-Definition Multimedia Interfaceは、米国およびその他の国々における、HDMI Licensing, LLC.の商標または登録商標です。
※USB Type-C®およびUSB-C®は、USB Implementers Forumの商標です。
[PR]提供:エプソンダイレクト