空の旅や貨物の輸送など、現代の私たちの暮らしに欠かせない移動手段である航空機。「あたりまえ」の移動手段である航空機ですが、大型機であれば500名以上の乗客を乗せて、富士山の倍以上の高さをF1の倍近くの速度で飛行する、最先端技術の集合体であるということはご存知でしょうか?

今回はそんな最先端技術の集合体である航空機自体はもちろん、航空機の心臓とも呼ばれるエンジン、そして様々な機能を持つ装備品(ブラックボックス)のメンテナンスを行う「航空整備士」に注目! 国内航空大手ANAグループ整備部門「e.TEAM ANA(イーチームエーエヌエー)」に焦点を当て、その仕事と魅力を紹介します。

 

航空機整備のプロフェッショナル集団「e.TEAM ANA」

ANAグループは、国内線・国際線合わせて106の空港に就航しています。運行便数は1日あたり850便、1ヶ月あたりの利用者数はなんと約450万人! これだけの人々が利用するフライトの安全性や快適性を支えているのが、航空機の機体や部品が正常に機能するかどうかを点検・保守する「航空機整備」という仕事です。

一口に航空機整備といっても、航空機は1機あたり数百万点とも言われる膨大な数の部品で構成されており、エンジン、装備品(ブラックボックス)、そして客室内のエンターテイメントシステムに至るまで、さまざまな箇所をチェックする必要があります。いずれも先進技術の塊で、航空機整備には各分野における高い専門性が不可欠。そこで整備を実施する際には、航空機の機体、エンジン、装備品のそれぞれを専門とした「航空整備士」が、チームを組んで作業を行っています。

ANAグループでは航空機の機体整備、エンジン整備、装備品整備および整備関連の物流を担う7つの会社が、お互いに連携しながら航空機整備を実施しており、これらANAグループ整備部門7社を総称して「e.TEAM ANA」と呼んでいます。“e”はエンジニアリング(engineering)のeという意味で、一人ひとりが航空機整備のプロフェッショナルとして、互いを尊重し、“いい”チームを創り上げています。

 

ANAグループ整備部門「e.TEAM ANA」を構成する整備専門5社の仕事とは

「e.TEAM ANA」の7社は、エアライン2社(ANA・ANAウイングス)の整備部門と、整備専門5社(ANAラインメンテナンステクニクス・ANAベースメンテナンステクニクス・ANAエンジンテクニクス・ANAコンポーネントテクニクス・ANAエアロサプライシステム)で構成されています。ここでは、そのうち整備専門5社がどのような業務を行なっているのかを紹介していきましょう。

【1】ライン整備:ANAラインメンテナンステクニクス株式会社(LTC)

飛行機に乗っていると、空港を出発する前や到着した後に窓の外で機体をチェックしている人を目にすることがありますが、このような仕事を「ライン整備」と言います。ANAグループが就航する世界中の空港を舞台として、到着した航空機に不具合がないかを丹念にチェックし、次の出発までの限られた時間で必要な整備作業を実施します。ANAグループの整備部門の中ではANAラインメンテナンステクニクス株式会社(LTC)がこのライン整備を担当しています。

早朝に航空機の電源を入れて、その日1日安全に飛行できるかを点検する飛行前点検や、最終便到着後に1日飛び回った航空機に対して集中的な不具合修復等も実施します。法律上、このライン整備士が「この飛行機は安全に飛行できる!」という確認行為を実施してはじめて飛行機は空を飛ぶことができます。ライン整備は航空機整備の最終工程であり、航空機オペレーションの最前線でもある仕事だと言えるでしょう。

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【2】ドック整備:ANAベースメンテナンステクニクス株式会社(BTC)

空港内に設けられた格納庫(ドック)の中に航空機を入れ、航空機をすみずみまで点検・整備する仕事が「ドック整備」です。ANAグループでは東京の羽田空港にある格納庫を拠点として、ANAベースメンテナンステクニクス株式会社(BTC)が担当しています。

通常の定時整備に加え、一定期間経過した航空機の重整備(時間をかけて特に念入りに行う整備)も実施しており、4~5年ごとに実施される重整備ではおよそ60人体制で1ヶ月以上かけて整備を行うことも。整備マニュアルにしたがって確実に作業を行うことはもちろん、繰り返しの不具合がある機体には詳細な原因究明や特別な不具合処置を実施するなど、ANAが誇る世界トップクラスの航空機の品質を根底から支えています。

このほかにも客室改修(客席・機内エンターテインメントシステムの刷新)や、パイロット、航空整備士が訓練に使用するフライトシミュレーターなどの訓練機器を整備など、幅広い業務を担当しています。

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【3】エンジン整備:ANAエンジンテクニクス株式会社(ETC)

「エンジン整備」は、航空機の心臓とも言われるジェットエンジンを、いつも完全な状態に保つためにメンテナンスを行う仕事。ANAグループでは、東京の羽田空港にあるエンジンメンテナンスビルを拠点として、ANAエンジンテクニクス株式会社(ETC)が担当しています。

ジェットエンジンは先端技術の粋を集めて作られており、数万点におよぶ部品で構成されています。エンジン整備では、それらを一つひとつの部品にまで分解して洗浄、検査、修理を行い、再び組み立て、テストセル(試運転施設)に搬入。そこで実際にエンジンの試運転を行い、エンジンの性能が適切に発揮されているか確認します。

目に見えない劣化や損傷も見逃さないよう、ときにはブラックライトや顕微鏡などを駆使して検査することも。膨大な点数の部品から不具合を見つけ出してミクロの精度で修復する必要があるため、エンジン整備には知識や高い技術力だけでなく、細密さも求められます。

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【4】装備品整備:ANAコンポーネントテクニクス株式会社(CTC)

航空機から取り外されたコックピットの計器や無線機器、機体を動かすための油圧部品、機内で映画やビデオを放映するモニターなどの装備品を、細かく分解して整備するのが「装備品整備」です。

ANAグループでは東京の羽田空港のコンポーネントメンテナンスビルと長崎の諫早市を拠点として、ANAコンポーネントテクニクス株式会社(CTC)が担当しています。同社では航空機の安全飛行に重要な役割を果たす「電気・電子・客室装備品」や「発電機・油圧・空圧装備品」、映像・音楽コンテンツのデータ変換や編集、番組編成などまで担う「機内エンターテイメント製作」、航空機整備作業に欠かせない計測器の校正を行う「計測器校正」といった幅広い分野で高い専門性を発揮し、空の旅の安全性や定時性、快適性を支えています。

整備の際は、装備品ごとに異なる資格を持った整備士が一人で最初から最後までの工程を担当。最初に外観点検や機能試験を実施して初期状態を確認したら、分解、洗浄を行い、不具合のある部品の交換や調整をして組み立てます。最後に再度機能試験を行って正常に機器が作動していることを確認します。全工程を一人で行うための責任感はもちろん、幅広い専門知識と技能が求められる仕事です。

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【5】整備物流:ANAエアロサプライシステム株式会社(AAS)

飛行機を整備する際に使用する航空機部品や工具、技術資料などを適切に管理し、整備作業を円滑に実施するために必要不可欠な仕事が「整備物流」です。ANAグループでは東京の羽田空港を拠点としてANAエアロサプライシステム株式会社(AAS)が担当しています。主な業務は「物流コントロール」、「航空機部品・整備用工具の管理」、「物流オペレーション」、「技術情報の管理」です。

その中でも「物流コントロール」は、航空機に必要な部品や工具を最短最速で必要な場所に届ける仕事。世界中の部品や工具の在庫数をモニターして、最低在庫数を下回ったら適切に補充を行い、航空機に不具合が発生してもすぐ修復できるように備えておくことも重要な役目です。
また「技術情報の管理」では、日々更新される技術情報などを保守管理し、航空機整備マニュアルの正確性や最新性を維持しています。

物流をキーワードとして幅広い業務を担当するためには、物流に関する専門知識はもちろん、航空機の運航オペレーションに関する知識も求められます。

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充実した教育体制で航空機整備のプロフェッショナルを目指す

ANAグループのフライトの安全性や快適性を支えている航空整備のプロフェッショナル集団「e.TEAM ANA」。航空機整備の現場では各分野における高い専門性やハンドスキルに加え、航空機を操作するオペレーションのスキルも必要になります。「e.TEAM ANA」では充実した教育・訓練体制で、たとえ航空機の専門教育を受けたことがない方であっても、航空機整備のプロフェッショナルを目指すことができます。

入社時の基礎教育はもちろん、難関国家資格とも言われる一等航空整備士や航空工場整備士の取得にむけた専門訓練など、一人ひとりの成長に合わせた体系的な教育・訓練を実施しています。

ANAグループの安全運航を支える航空整備士は、他人にも誇れる素敵な仕事です。航空機に興味がある方、自身の成長にやりがいを感じる方は、この機に航空整備士の仕事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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[PR]提供:全日本空輸株式会社