コンビニエンスストアやドラッグストアで誰もが一度は見たことがあるだろうシックのカミソリ。そのカミソリを販売するのはウェットシェービング業界で国内トップシェアをもつ『シック・ジャパン』だ。同社は「もっとも革新的なビューティーグルーミングカンパニー」を目指し、現在変革の真っ只中にある。
そんな同社を率いるのが、2022年8月に入社し代表取締役社長に就任した後藤 秀夫氏だ。後藤代表が就任して以来、シック・ジャパンは次々と革新的な取り組みを打ち出し、業界のリーディングカンパニーとしてノンストップで成長を続けている。
そんなシック・ジャパンはどういった企業なのか。変革の先に何を目指すのか。後藤代表にお話を伺った。
ウェットシェービング市場で28年連続シェア1位(*1)の『シック・ジャパン』
――まず、ご経歴について教えてください。
大学卒業後はジョンソン・エンド・ジョンソンに入社し、営業として働いていました。その後、何度か転職を経験していますが、基本的にはグローバルカンパニーでマーケティングやマネジメントの職務を担当し、キャリアを積んできました。日本だけでなく台湾や韓国のチームをマネジメントしていたこともあります。カテゴリとしてはスキンケア、メイクアップ、ヘアケア、ヘアカラー、ボディケア、フレグランスなどのビューティー分野を幅広く経験しました。ビジネスモデルも、コンシューマ、ラグジュアリー、プロフェッショナル、そしてECなど一通り経験してきました。
――さまざまな領域でご活躍されてこられたのですね。ちなみになぜビューティー分野だったのでしょうか。
スキンケアを通して得た体験がすばらしいと感じたのがきっかけです。ジョンソン・エンド・ジョンソンで働いていたときスキンケアビジネスに触れる機会があったのですが、そこで肌の調子が良くなったり、見た目が変わったりすると、なりたい自分に近づけたり、新しい自分を発見できたりしました。ビューティーには人を変える力があると知り、そこからずっと興味をもってやってきました。
――シック・ジャパンはどのような会社ですか。
シック・ジャパンは100年以上の歴史を誇るウェットシェービングブランド「シック」の日本法人です。日本では1960年からビジネスを行っており、国内でのシェアは28年連続1位(*1)を維持しています。現在はエッジウェルパーソナルケア(*2)のグループ企業であり、日本での売上規模はグループ全体で2位、利益率は1位です。そのため、日本は戦略的にも重要な国となっています。
――長きにわたりシェア1位を維持し続けている理由は?
長年シェア1位を維持できている理由には、製品のクオリティの高さも関係していると考えています。特にカミソリは一度使って気に入るとユーザーもブランドスイッチせず、ずっと使い続ける傾向が強いんです。その点で、シェアを維持するには製品のクオリティが重要ですし、我々もそこにこだわってイノベーションを起こし続けてきました。消費者を起点としたイノベーションと高い品質が理由だと考えています。
男性向けビューティー市場には大きな可能性を感じている
――後藤代表は2022年8月にシック・ジャパンの代表に就任されましたが、なぜ代表になろうと思ったのでしょうか。
シック・ジャパンの動き次第で日本のビューティーのトレンドに影響を与えることもでき、それはとてもおもしろくてワクワクすることだし、大きなやりがいがあると感じたのです。
男性にとって髭剃りは欠かせないルーティンだと思いますが、先ほど申し上げたようにシック・ジャパンは日本のウェットシェービングにおけるシェアが約50%とトップです。日本は電気シェーバーを使ったドライシェービングと、カミソリを使ったウェットシェービングのシェアがだいたい半々なので、ざっくり計算すると日本の全男性の4分の1がシックの製品を使ってくださっていることになりますね。それだけ多くの日本人男性にリーチしている会社なので、代表というダイナミックなポジションなら、より世の中を突き動かす事ができるのではないかと思い興味をもちました。
また、エッジウェルパーソナルケアグループ内での売上規模が大きいこともあり、シックは日本法人にかなり権限委譲がなされています。たとえば、製品開発やビジネスプランの策定、マーケティング施策などについても、日本法人は独自に進めています。これは外資系企業では非常に珍しいことです。そうした点も代表に就任する上で魅力に感じたことでした。
――日本法人が権限をもっているからこそ、日本人に最適な製品をスピード感をもって開発できるわけですね。
そうですね。カミソリについては基本的に米国本社のラボで開発していますが、日本法人の開発部門も本社とやりとりをしつつ日本向けの製品開発を進めています。日本人と欧米人では肌質も異なるし、香りの嗜好も違いますから、日本人に向けて日本で開発できるというのは大きなメリットです。
――これまでに携わられてきたビューティー分野の中でもシック・ジャパンは特に男性向け製品を扱っていますが、「男性向けビューティー」というカテゴリについての見解を教えてください。
男性向けビューティー分野には非常に可能性を感じています。ビューティーというと、女性向けの市場が大きいイメージがありますが、近年は男性向けの市場も大きく伸びています。これはコロナ禍の影響も大きいと見ています。オンライン会議が浸透した結果、画面に映った自分の顔を見る機会が増え、男性の美意識も向上したのです。また、SNSなどで発信する際、自分の写真を載せるなら美しく見せたいといった意識も出てくるでしょう。コロナ禍とデジタル化による自分自身のプロモート、この2つの動きが男性向けビューティー市場の拡大を後押ししていると分析しています。
後藤代表就任をきっかけに組織が大きく変革
――後藤代表が就任されてから、シック・ジャパンでは様々な改革が進められてきたとお聞きしています。どのような点に力を入れて改革されているのかを教えてください。
まず、2023年10月にオフィスをリノベーションが完了し、その際、製品の研究開発を行うためのラボスペースとお客様との商談の際にも実際に製品を試せるスペースを兼ね備えた「ビューティーグルーミングスタジオ」を社内に新設しました。コンシューマの業界においては、初の試みだと思います。今までは製品のテストや評価を行うために本社に製品を送ってフィードバックを待つ必要があったのですが、社内にラボができたことでそうしたテスト等が行えるようになりました。開発のスピードが上がっただけでなく、セールス部門・マーケティング部門・研究開発部門とのシナジーが向上しています。
通常、研究開発拠点は本社とは別の地域に置かれていることが多いのですが、新しいオフィスのおかげで各部門すばやい連携を叶えることが出来ています。
――後藤代表が就任されてから、企業のパーパスやビジョンも作られたそうですね。
パーパスやビジョンの設定は私が代表に就任してまず最初に行いました。実はそれまでシック・ジャパンにはパーパスやビジョンが設定されておらず、会社としての方向性が社員に提示できていませんでした。そうした全体の指針がないままだと、シェア1位という実績が逆に足枷となってしまい、「無理せず現状維持でいこう」と、挑戦が生まれない可能性もあります。そんな状況が続けば、いつか成長が鈍化してしまうと考えました。
そこで、まずはパーパスとして「Make beauty grooming joyful」を設定しました。これはエッジウェルパーソナルケアグループのパーパスである「Make useful things joyful」をアレンジしたものです。我々シック・ジャパンの存在意義は「ビューティーグルーミングを通して一人でも多くのお客様にワクワク感と幸せを感じて頂ける毎日を届ける」と設定しました。同時に、カミソリだけでなくケア製品などの周辺領域も含めてラインナップを拡充し、「カミソリカンパニー」を脱して「ビューティーグルーミングカンパニー」をビジョンとして目指すことも明言しました。私が代表に就任してからの1年半、こうしたパーパスやビジョン、バリューをじっくりと時間をかけて社内に浸透させました。また、シック・ジャパンの社員としての行動指針として「People first」「Move forward」「Listen up speak up」「Own it together」という4つのバリューの重要性も改めて強調しました。
――パーパスやビジョンを浸透させるためにどのような施策を行っているのでしょうか。
社員との密なコミュニケーションです。私が代表に就任してから、まず社員全員と1on1での面談を行い、四半期に一度はラウンドテーブルという形で社員と話す機会を作っています。また、本社だけでなく支店にも頻繁に足を運び、積極的にコミュニケーションを図っています。そうした場で、会社の方向性や戦略、パーパスやビジョンについて繰り返し伝えることで、共感が生まれてかなり定着したと感じています。
――社員の方にそれだけしっかりとメッセージが行き渡ると、良い組織文化が生まれそうですね。
そうですね。たとえば失敗を恐れずチャレンジするというカルチャーは、バリューの1つである「Move forward」から生まれたと思います。バリューとして設定されているということは、会社がそれを推奨しているということですから、社員も恐れず挑戦できるわけです。
カミソリの会社から「ビューティーグルーミングカンパニー」へ
――シック・ジャパンの今後について展望を教えてください。
会社そのものについては、シックという社名を聞いたときに「カミソリの会社」ではなく、「ビューティーグルーミングカンパニー」だと思ってもらえるようになるのが目標です。そのためにもシェービングカテゴリはもちろん、その周辺のケアカテゴリにもポートフォリオを広げていきたいと思っています。
また、アジアはビューティーに関して高いポテンシャルをもつ市場ですが、エッジウェルパーソナルケア全体で見ると、まだまだアジア市場におけるビジネス機会が不足しています。今後はシック・ジャパンとして、そうしたアジア市場でも存在感を発揮していきたいですね。
着任してこの1年半でパーパスやビジョン、バリューはかなり定着してきました。このことは実績にも好影響を与えていて、今期もすでに目標を上回る実績出ていたり、社員の姿を見てもビューティーへの意識の高まりが感じられたりしています。また、オフィスもリノベーションを機に執務室を2フロアから1フロアにまとめたことで、部署間のコミュニケーションも以前より活発になり、コラボレーションしやすい環境が生まれています。この流れを維持しつつ、さらに社員の意識を向上していけるよう努めていきたいですね。
――シック・ジャパンで一緒に働いてほしい人や、シック・ジャパンにぴったりだと思う人物像について教えてください。
まずはパーパスやビジョンに共感してくれる人。そして、4つのバリューに即した行動を取れる人です。そういう人はシック・ジャパンに入っていただけると、大きく成長できると思います。それから、ビューティー業界の経験がある人や、ビューティーに興味のある人にもぜひ来ていただきたいです。
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ウェットシェービングで28年間シェア1位(*1)を維持し続けるシック・ジャパン。同社は業界のリーディングカンパニーでありながら、その地位に甘んじることなく変革を続けている。今後はビューティーグルーミングカンパニーとして、さらなる成長と発展が期待できそうだ。
(*1)28年連続国内ウェットシェービング販売シェアNo.1:インテージ SRI +カミソリ市場(ホルダー、ディスポーザブル、替刃)1995年11月~ 2023年10月各年メーカー別累計販売金額
(*2)「Schickシェーバー」で知られるコネチカット州シェルトン拠点の大手消費財メーカー。シェーバーのほか、ウェットシェービング、日焼け止め、スキンケア、などパーソナルケア用品を製造している。北米、日本を始めとして、中南米、アジア、オセアニア、ヨーロッパ、中東、アフリカなど、全世界で50ヵ国以上の市場でグローバルにビジネスを展開中。
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