北陸の温泉地として有名な石川県加賀市。歴史ある街並みをイメージする方も多いかもしれませんが、実はスマートシティ化を進める先進的な街というのはご存じですか?
その進化のきっかけは、加賀市が抱える課題の解決のため。加賀市は「消滅可能性都市」に認定されるほど、人口の減少が問題になっています。
そんな加賀市について、まずはマンガで紹介していきます。
登場人物
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えいすけくん/27歳
東京生まれ東京育ち。びいたくんとは新卒入社で同じ会社に入社した仲のよい同期。 |
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びいたくん/27歳
石川県加賀市出身で地元愛が強い。就職を機に上京をし、現在は都内で勤務をしている。 |
興味津々のえいすけくんは、びいたくんとともに、初めて加賀市を訪れることに。1月30日開催のイベント「加賀モビリティ・イノベーションに関するラウンドテーブル」に参加することにしました。
イベントに潜入…革新的な取り組みに驚愕
イベントのテーマは、加賀市の課題解決のための「モビリティ・イノベーション計画」について。「モビリティ・イノベーション」とは、車の自動運転などの新たな技術を用いた革新的な取り組みのことを意味します。
左:加賀市役所イノベーション推進部 中村聡
右:デジタルカレッジKAGA 齋藤和紀
加賀市の課題とは
イベントでは、まず初めに加賀市が抱える課題についての説明がありました。
最も大きな課題は、人口の減少。2014年の日本創成会議にて「消滅可能性都市」の認定を受けるほど、深刻な事態になっています。過疎化が進み、さらにコロナ禍で観光客も激減。人口のピークだった40年間と比べて7割程度にまで人口が減ってしまっています。
そこで加賀市は一大発起。先進テクノロジーの導入と、人材の育成の2本柱により、市内企業の生産性や技術開発力の強化を図ることにしました。
なるほど、その先進テクノロジー導入の1つが『モビリティ・イノベーション』なんだね!
現在の加賀市は、過疎化により市街地や都市機能が分散しているため、移動は車がメイン。しかし、車を自身で動かしにくい高齢者や障がい者、観光客にとっては、不便さがあります。また、人口減少により、タクシードライバーも不足。移動の不便さという課題を解決し、街全体の活性化を図るためには、モビリティ・イノベーションが欠かせないのです。
課題を解決するための加賀市の取り組み
「移動最適化都市」を目指す加賀市は、市民や観光客が移動しやすい交通体系を実現するため、さまざまな施策を始めています。
●乗り合いタクシー「乗り合い号」のAIオンデマンド導入
誰でも利用できる乗り合いタクシーの「乗り合い号」に、分散した地域を繋ぐ横断便を追加し、エリアを拡大。さらに、AIオンデマンドを搭載し、いつでも呼んでどこへでも乗れるシステムの導入を計画しています。すでに自動運転化の計画も進行中です。
今年の3月以降には、自動運転のデモ走行が計画されているんだって。これなら移動のしやすさだけでなく、ドライバー不足という課題も解消できるね
また、市民同士で乗り合えるライドシェアや、子どもの交通無償化、スクールバスの拡充も進めています。
●ゴミ収集車の自動化
加賀市が掲げる「モビリティ・イノベーション」で、見逃せないのが「ゴミ収集車の自動化」。過疎化が進んだことでゴミ回収場所が少なくなり、住んでいる場所によっては、車で捨てに行くほど遠くまで運ぶ必要がある場合も。
その課題を解決するため、ゴミ収集車を自動運転化させるプロジェクトが始まりました。
「エコモビ」と名付けられた自動運転ゴミ収集車。軽自動車の規格に収まるサイズで、各住宅へと自動で動き、ゴミを回収してくれます。さらに、アプリで走行場所がリアルタイムで確認でき、渋滞や通学時間を避けながら既存の道路通行を妨げないようなシステムになるのだとか。これなら自宅でタイミングを確認しながら効率的にゴミを捨てることができます。
デザインも先進的で、ゴミ箱を入れやすい高さや夜間や弱視の方でも観やすい配色などさまざまな工夫がされています。
来年に実証実験が予定されており、全国の地域からも注目が集まっています。
雪国ならではのスノーポールなどの路上設備をトレースして、自動で運転させるんだね。見た目も合理的な作りなのにカッコいい!
さらに、根本の人口減少という大きな課題に対する取り組みとして、加賀市はたくさんの取り組みをしています。
●人材育成
今回イベントを開催した「加賀市イノベーションセンター」も、人材育成施策として開設。誰もが無料で利用でき、新たなビジネスが生まれる拠点として期待されています。また、リスキリングの助成や働きやすい環境のための子育て支援など、働く人の学びと成長を推進しています。
無料で使える施設があるなんて、いいなぁ。オシャレだし、自然の景色に囲まれながら仕事できるのは、理想的! リモート勤務できるし、故郷に戻るのも悪くないかも……
能登半島地震によって浮き彫りになった必要な災害対策
災害に関するモビリティ・イノベーションについても紹介されました。
●ドローンや空飛ぶクルマの有効活用
加賀市は、空飛ぶクルマやドローンの実証実験も積極的に行っています。そのため、災害前から3Dマップのデータがあったことから、地震による崩落現場の復興に、迅速な対応ができたのだとか。
甚大な被害が発生した能登半島では、ドローンによる物資輸送が始まっており、今後さらに空を使った移動や輸送は有効な活用ができると期待されています。
ドローンの操縦や開発などのエンジニアの育成も加賀市は率先して進めているんだね。広い土地を活かして、実証実験のサポートもしていくんだって!
さらに、避難所や避難者、物資の在庫のためのデータベース開発と実装によって、効率的な管理を可能にしたり、津波の避難所をリモートで開閉できるか検討したりと、今回の震災によって、有事における街のスマートシティ化も進めています。
有事が起こって気づけたこと……加賀市の空のモビリティの発展が社会を変える!
加賀市の先進的な取り組みについて知ったえいすけくんとびいたくん。イベント終了後、登壇者であり加賀市役所職員である、中村聡さんにお話を伺いました。
まさに、今日のイベントのテーマですね。実は、私も加賀市出身なんです
なるほど、今まで陸地での移動しか考えていなかったから、不便さがありましたが、空を移動するなら物理的な距離が近ければ、隣接する場所に気軽に観光ができますね
うんうん。平時はもちろんですが、先ほどのイベントで震災などの有事にも役立つと言われていましたし、モビリティを発展させることは加賀市にとっても、社会にとっても有意義なことですね
ありがとうございました。これからの加賀市の発展、とても楽しみです!
新しい取り組みにチャレンジする加賀市。2月16日のイベントも要チェック
人口減少という課題のある加賀市ですが、この問題を抱えている市町村は全国に多数あります。また、「モビリティ・イノベーション」によって解決を図る加賀市の取り組みは、日本だけでなく、社会全体の課題を解決する糸口にもなるはず。
そして、今回の「加賀モビリティ・イノベーションに関するラウンドテーブル」は、「モビリティ・イノベーションシンポジウム」として、2月16日に第2弾のイベントを開催予定。モビリティを中心とした社会実装の実現をテーマに語り合います。
全く新しい取り組みにチャレンジする加賀市から、今後も目が離せません! 先進的な取り組みとともに、加賀の温泉と広大な自然、そして海と山の幸を堪能しにいらしてみませんか?
[PR]提供:デジタルカレッジKAGA