都会の喧噪から距離を置きたい、のびのびと子育てをしたい、など理想の暮らしを思い描いたことはありますか? そんなとき選択肢のひとつとなるのが、地方への移住。とくに今、移住者が増え注目を集めているのが、福島県富岡町です。

なんと富岡町に住んでいる方の約半数が、町外からの移住者! 富岡町の魅力や、“住みやすさ”の秘訣を、実際に移住したお2人に、町で行っている方が多いという“チェアリング”をしたり、観光地を回ったりしながら伺いました。

お話を伺ったのは……
竹原さん
竹原 愛梨さん
⼀般社団法⼈とみおかプラス・移住相談員。島根県松江市出身。松江工業高等専門学校卒業後、原子力発電所の廃炉作業に携わるため福島県大熊町に移住した。2022年に富岡町に引っ越し、2023年9月より富岡町への移住サポートに取り組んでいる。
班目さん
班目 佳小里さん
⼀般社団法⼈とみおかプラス・移住相談員。福島県西郷村出身。福島工業高等専門学校でいわき市のまちづくりに携わった。卒業後は5年間東京都内で働き、2023年10月より、とみおかプラスで移住相談員として働いている。
チェアリングって?

海や公園、野原など、屋外に椅子を設置し、そこに座って自然を満喫したり、食事やお酒を楽しんだりするアクティビティ。リラックスや気分転換できると近年、話題になっています。

私たちが福島県富岡町に移住した理由

――本日はよろしくお願いいたします。まず、お2人が富岡町に移住した理由を教えてください。

竹原さん: よろしくお願いいたします。移住の理由は条件に合う物件が富岡町にあったからです。夫と二人暮らしなので、2LDKの物件をずっと探していて。内見をしたときの雰囲気や、町の様子がフィーリングに合ったため、富岡町に移住しました。

班目さん: 私は「福島の力になりたい!」という思いがきっかけです。中学生のときに東日本大震災があり、その後浜通り地区の高等専門学校に進学して変化の激しい景色に驚きました。被害の様子もそうですが、どんどん復興して街並みが変わっていく過程を目にして、「まちづくりに携わりたい」という気持ちが強くなったんです。自分にもできることがあるかもしれないと思い、移住を決めました。

――移住してみて、富岡町の印象はいかがでしたか?

竹原さん: 自分のため、そして町のために動く人が多いと思いました。積極的に新規就農に挑戦したり、交流イベントに参加したりと、フットワークの軽い人がたくさんいます。

班目さん: 仕事でもプライベートでもアクティブな方が多くて、私自身もエネルギーをもらっています。

竹原さん: 町そのものもアクティブですよね。私は帰還困難区域が解除されたばかりの2017年9月頃に富岡町を1度訪れたことがあったのですが、そのときはまだ震災の爪痕がかなり残っていて。でも住み始めてみると、景色が日々変わっていくアクティブな町だと気づきました。住宅やお店などの建物も作られていますし、居抜きで新しい施設もできていて、町を歩いているだけで毎日新鮮さを感じられます。

班目さん: 変化が多い一方で、自然豊かでのんびりした生活も満喫できますよね。のんびりとアクティブのバランスをうまくとって過ごしている人が多いと思います。

竹原さん: たしかに! 富岡町を一言で表すなら「のんびりアクティブ」といえるかもしれません。

――アクティブな町なんですね。富岡町のお気に入りスポットを教えてください。

班目さん: やっぱり海が大好きです。実は海の見える地域で暮らすのが初めてで。車で橋を渡っていると、視界が急に開けて海が目の前に広がる瞬間があって感動しました。友達や家族が来たら絶対に連れて行きますし、自分も仕事帰りに寄り道してその場所を見に行くくらい気に入っています。

竹原さん: 私も富岡漁港が気に入っています。ぼーっとして、心を落ち着けられる場所を私は「黄昏スポット」と呼んでいて、富岡漁港もそのひとつです。仕事帰りに漁港に寄って、車の窓を開けて波の音を聞きながら過ごす日もあります。ほっとできる場所が身近にあるのは、長く住むうえでの安心材料にもなりました。

班目さん: とみおかプラスで貸し出しているアウトドアチェアを使って、浜辺でのんびりくつろぐのもいいですよね!

  • 富岡漁港

  • 仏浜海岸でのびのびする竹原さんと班目さん

竹原さん: 漁港なので船に乗って釣りも楽しめますし、混んでいないのでのんびりできます。景色も最高で、町民みんなのプライベートビーチです。

班目さん: あと、とみおかワインドメーヌの展望台も、いい景色ですよね。

竹原さん: 展望台からは畑と海が一望できて、富岡町の魅力が詰まった景色を堪能できます。

班目さん: とみおかワインドメーヌは「富岡町でワインを作る」という新しい事業に取り組んでいて。2024年に「とみおかワイナリー」を創業しようと、畑の拡張やブドウの植樹を進めています。

  • とみおかワインドメーヌの展望台

  • 夏のとみおかワインドメーヌに実ったブドウ

竹原さん: 夜の森の桜も絶景です。春になると桜がまるでトンネルのように頭上を覆って、幻想的な景色になるんです。春は「桜まつり」というイベントもあって、各地から集まったよさこいチームの踊りも楽しめます。去年は2日間で2万人を超える来場があったと聞いています。震災前から続いている、富岡町を象徴するイベントなんですよ。

班目さん: 冬になると桜の木にイルミネーションが施されます。夏は新緑も見られますし、1年中楽しめますよ。

  • 桜の木に想いを募る2人

  • 春、満開になった夜の森の桜

竹原さん: いつでも桜を味わえる、富岡町ならではのスイーツもあるんです。2023年8月にオープンした「BAUM HOUSE YONOMORI」では、「さくらもちバウム」を1年中売っていて。米粉バウムクーヘンのお店で、富岡町産のお米「天のつぶ」を100%使用しています。ここのバウムクーヘンが大好きで、来年の春は、夜の森公園で満開の桜を眺めながら食べたいです。

  • 「BAUM HOUSE YONOMORI」の「さくらもちバウム」

班目さん: 公園には遊具もあるので、子ども連れの保護者の方にもおすすめのスポットです!

  • BAUM HOUSE YONOMORI

  • 夜の森公園でバウムクーヘンを食べながら話す2人

竹原さん: スーパーやホームセンターなどが集まっている「さくらモール」の近くにも、「富岡わんぱくパーク」という子ども向けの屋内施設があります。富岡町は子どもの遊び場が充実しているので、子育てがしやすいと思いました。

班目さん: あとは「とみおかアーカイブミュージアム」も気に入っています。虫の標本や縄文時代の土器など、さまざまな展示物があるうえに、バックヤードをいつでも見学できるんです。

アーカイブミュージアムでは、あくまでも町の歴史の1ページとして震災を扱っています。縄文時代からの富岡町の歴史なりたちから今に続くまちづくり、日常の営み、そして現在までを知ることができるので、時間を忘れて見入ってしまいます。富岡町を知るには打ってつけのスポットです。

移住前から支援が手厚い! 子育て世帯にやさしい制度も

――富岡町には移住支援の制度がたくさんあると伺いました。主な制度を教えてください。

竹原さん: 移住を検討している方に向けた制度では「ふくしま12市町村移住支援交通費等補助金」と、とみおかプラスで行っている「お試し住宅」がおすすめです。

班目さん: 「ふくしま12市町村移住支援交通費等補助金」は福島県の制度で、移住先の下見や、お仕事や物件を決めるときの交通費・宿泊費の補助に使えます。実際にかかった交通費と制度の基準額を比較して、低い方の金額がもらえるんです。たとえば東京都から来る場合、基準額は8000円。多くの方にご利用いただいている制度です。

――お試し住宅とは、どのようなものでしょうか?

班目さん: とみおかプラスの建物に併設されている住居です。お試し住宅に宿泊しながら、移住後の生活をシミュレーションできて、おひとりでも、家族連れでもご利用可能です。

竹原さん: 利用料は無料で「富岡町移住体験プログラム」がセットになっています。移住希望者の要望に合わせて、とみおかプラス職員が内容をカスタマイズし、半日ほどかけて富岡町を案内するプログラムです。

班目さん: 今年度は20組ほどの方にご利用いただきました。仕事を探しに来た方は県の就職支援をしている人とつなげたり、起業希望者には商工会を紹介したりと、プログラムの内容はさまざまです。

  • 「とみおかプラス」と建物に併設されている「お試し住宅」

竹原さん: 移住希望者が富岡町への解像度を高められるよう、柔軟にプログラムを考えて実施しています。その甲斐あって、参加者の方からは「すごくよかった!」、「富岡町のことをたくさん知れた!」と感想をいただいています。

――子育て支援も充実しているそうですね。

竹原さん: 「出産記念手当金」「子育て世帯奨励金交付制度」「乳幼児・子ども医療費助成事業」「ひとり親家庭医療費助成事業」など、さまざまな制度がありますが、いちばん珍しいのは町内の小中学校に通う子どもの教育費無償化だと思います。子育て世帯の方には必ず案内している支援制度です。

私も富岡町に住んでから知った制度なのですが「まじか!」と驚いて(笑)。通学費だけでなく、給食費や制服代、通学カバン、上履き、修学旅行費など、充実した支援がうけられます。

班目さん: 実費額で出るものが多いので、とても手厚いです。

竹原さん: 移住相談に来られた方にこの制度を紹介すると「いいですね!」と言ってもらえます。もっとたくさんの方に知られてほしい制度です。

班目さん: 子育てに前向きになれるような制度なのだと、ほかの方の反応を見ていても思いますね。よく社会問題になっている給食費も、富岡町では心配いりません。

竹原さん: これから自分も子育てをする日が来るかもしれないので、支援制度には期待しています。この町にずっと住もう、と思える安心材料のひとつです。

――起業される方に向けた支援制度もあるのでしょうか。

班目さん: 今年度は、福島県や町独自の起業支援が充実しています。既に、この起業支援制度を使って、地域に根差した飲食店や小売店を起業した方もいます。

竹原さん: しかも商工会が伴走型で支援してくれるのも富岡町の特徴です。補助金をもらうかどうかに関わらず、困ったことがあれば商工会が相談に乗ってくれます。

班目さん: 創業だけでなく、震災前から富岡町で営業していたお店が事業再開の補助金を使って富岡町で営業を再開しています。 富岡町に新しい風を吹かせてくれる方、富岡町を支え続けてくださっている方、どちらも活躍できる場所と支援があるというのが、富岡町の強みになっているのではないでしょうか。

――頼りになりますね!

竹原さん: 起業に関してアドバイスをくれる方がたくさんいますし、町の人とのつながりもできるので心強いと思います。

班目さん: もちろん富岡町への移住者は、起業する方だけではありません。職業選択の幅広さや、求人数の多さも魅力的です。

竹原さん: 富岡町は官公庁の町でもあるので、国や県の出先機関で働いている人もいて、職業の選択肢は多いと思います。新しい産業団地を整備したり、工場ができたりと、職種の幅が以前より広がっています。新しい風が吹いていますね。

班目さん: 求人情報もどんどん増えています。

竹原さん: ほかには農業関連の支援制度もあります。独立営農をめざす方に向けた「とみおか『新たな担い手』応援事業」「とみおか『農業研修』応援事業」町内で農業をする方に経費の一部を補助する「がんばる農業支援事業」などです。

班目さん: 「ふれあい農園」で、野菜作りを楽しんでいる町民もいます。月300円(税込み) で1区画(6m×3m)の畑が借りられて。農具がそろっているので初心者にもやさしいです。

竹原さん: 私も1区画借りて、夫婦で野菜作りに挑戦しています。今はまだ土を耕しただけで終わっていますが(笑)。産業振興課主催のセミナーで家庭菜園のやり方を教えてもらえるので助かっていますよ。

支援制度について、詳細はこちら

「JOIN移住・交流&地域おこしフェア2024」で富岡町を感じよう!

――1月13日~14日に東京ビッグサイトで開催される「JOIN移住・交流&地域おこしフェア2024」についてもお伺いできればと思います。出展を決めた理由を教えてください。

竹原さん: はい。より多くの方に、美しい風景と豊かな自然に囲まれた富岡町を知っていただきたいからです。富岡町の存在を知ることで、町に関連したニュースやイベント、特産品などが日頃からみなさんの目に留まるようになり、移住候補地のひとつになれば、と思っています。

――今年はどのようなブースを出すのでしょうか。

班目さん: 富岡町を知ってもらえるようなブースを準備しています。町の様子は来ないとわからないと思いますし、震災の影響で福島の情報がアップデートされていない方もまだまだいるはずです。町の様子や景色などがリアルに伝わるよう、展示物を作っています。

竹原さん: 今年は昨年に比べて移住専門員が2名増えたので、3人体制でみなさんをお迎えできます。「どんとこい!」という気持ちで行きますので、ぜひ相談に来てください!

班目さん: Iターン、Jターンの経験者もいるので、首都圏にいる方と同じ目線でお話しできることもあると思います。

竹原さん: あと、今回はノベルティーとして、富岡町の景色を楽しめるような付箋を新しく作りました。さらに「マイナビニュースの記事を読んだ」と言っていただけた方には、オリジナルトートバッグもお渡しします!

  • ノベルティーのトートバッグ

――かわいいグッズですね。ブースにはどんな方に来てほしいですか?

竹原さん: 移住や二拠点生活など地方暮らしに興味がある人、地域に貢献したい人、地方で起業したい人、農業を始めたい人、地方での子育てに興味がある人……どんな方でもウェルカムです! 漠然とでもいいので「何かしたい」と思っているエネルギッシュな方もお待ちしています。

班目さん: まちづくりに参加したい人にも、富岡町をおすすめしたいです。富岡町は町民を巻き込んだまちづくりの計画をしており、「意見が伝わりやすい町」「自分の歯車が大きい町」と言われることもあります。

強い思いを持って起業をしている方を応援してくれる風土もあって、漠然とした不安を解消してくれるような支援制度も充実しています。自分のやりたいこと、志のある方は、きっと風土に合うと思うので、まずは「JOIN」に遊びに来てください!

竹原さん: 個人的な欲をいえば、20代~30代の若い人にも興味を持っていただけたら……! 富岡町に移住された際は、ぜひお友達になりたいです。

――最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

班目さん: 富岡町は、やりたいことや志を持っている方が、のびのびと過ごせる町です。仕事ではあまり関係がなくてもプライベートでまちづくりに携わるなど、自分なりの選択がしやすい場所。そういう居場所を求めている方や、のんびりと暮らしたい方に、富岡町を知っていただければと思います。

竹原さん: 富岡町は一度、住民がゼロになりました。今はまちづくりの途中段階で、そこに携わることができるのは、めったにない経験だと思います。日々新たな挑戦ができ、やりがいも感じられるはずです。

自分もまちづくりに参加したいと思う人、自然が豊かな場所でのんびり暮らしたい人など、求める生活のイメージに合わせて暮らせます。みなさんの「とみおかくらし」をさまざまな角度から応援する制度も紹介しますので、ブースに足を運んでいただけると嬉しいです。

班目さん: お試し住宅もありますし、交通費の補助もあるので気軽に来て、移住を検討できると思います。

竹原さん: 東京駅から富岡町までは特急で約3時間なので、比較的来やすいと思います! 「ちょっと気になるな」という軽い気持ちでもいいので、ぜひイベントや富岡町に遊びに来てください!

――本日は、どうもありがとうございました!

「のんびりアクティブ」な富岡町! 移住の不安は相談で解消!

変化のまっただ中にあり、新たなチャレンジができる富岡町。豊かな自然とアクティブな人々とともに、自分に合ったライフスタイルを送れます。移住準備のための交通費補助や、子育て支援などの制度も充実。新天地での生活につきものの不安を解消してくれます。

1月13日~14日の「JOIN移住・交流&地域おこしフェア2024」では、今回インタビューに答えてくださった竹原さんと班目さんを含め、3名の移住専門員が相談に乗ってくれるとのこと。ノベルティープレゼントもあるので、ぜひ富岡町のブースをのぞいてみてはいかがでしょうか。

富岡町への移住について、詳しくはこちら

[PR]提供:福島県富岡町/一般社団法人とみおかプラス