日本の資源・エネルギーの安定供給確保とカーボンニュートラル社会の実現に向けて、資源・エネルギー分野における各種調査や開発に対する支援、環境保全などに取り組むJOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構、読み:ジョグメック)では、多くの技術系職員が働いています。技術者のキャリアパスとして、民間企業ではなくJOCMECで働くことを選んだ3人に、仕事のやりがいなどを聞きました。
2004年に独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構として設立され、2022年の法改正に伴って正式名称が「独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構」に変更されました。主な事業分野は、石油・天然ガス、金属鉱物、石炭、地熱、洋上風力、水素・アンモニア、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)の7分野です。また、各事業分野においてカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みも実施しています。
民間企業や自治体と連携して日本のエネルギーを支える
――まずは、現在の仕事内容について教えてください。
国内の国家石油・石油ガス備蓄基地を維持管理していくための修繕・保全工事の中長期保全計画の策定や、各基地の工事の予算査定、基地の安全性や効率性向上に向けた調査業務などを担当しています。資源エネルギー庁によって決められた予算に基づいて、各基地で必要な工事に優先順位を付けて、次年度に見送る工事などを判断します。
石油・天然ガスが貯留されている地下の貯留層を対象に、生産量を増やす技術の開発などを民間企業と共同で実施しています。コンピューター上で構築した貯留層モデルを使って、油やガスの生産量などをシミュレーションして評価しています。生産現場での新技術の実証試験にも取り組んでいます。
国内の地熱資源のポテンシャル調査を担当しています。調査地は地熱資源の豊富な北海道・東北・九州を中心に全国各地で実施しています。
――どのような方と関わって仕事を進めていますか?
地方自治体や地元の温泉事業者さん、自然公園・国有地を管理している環境省・林野庁などの関係省庁と調整し、調査を進めています。調査中は、調査会社さんと日報などを通して実施管理をしています。また、調査実施後はデータ不足やリスクなどのために調査を実施できない民間企業に報告書やデータを提供しています。
工事の予算査定や調査業務にあたっては、資源エネルギー庁や備蓄基地を操業している操業サービス会社、調査業務の委託先などと連携し業務を進めています。
地質や物理探査など、部署内のさまざまな技術者や専門家と一緒に仕事を進めています。共同研究プロジェクトでは、民間企業の技術者や専門家と協力し、技術検討や技術評価を行っています。
資源工学・地質学・機械工学など、大学院で学んだ研究を生かせる
――JOGMECに興味を持たれたきっかけを教えてください。
大学院の就職活動では、インフラなどの生活を支える仕事をしたいと考え、資源エネルギーに関わる仕事を意識するようになりました。そんなときにJOGMECを知り、石油から金属、地熱といろいろな分野に携われると思い興味を持ちました。
高校生の頃に、日本のエネルギー資源や金属資源の安定的な確保に興味を持ち、大学では資源に関して学べるところに進学しました。大学院で貯留層工学を専攻し、研究室にもJOGMECに入構した先輩が多くいたこと、JOGMECと研究室との共同研究プロジェクトに携わっていたこともあり、JOGMECでの仕事に興味を持ちました。
大学の就職説明会でJOGMECを知って、これまで学んできた地質学を活かせる仕事かも知れないと感じました。地熱資源があるかどうかの検討に地質学的な知見はかなり使われますし、OB訪問などで話を聞いていくうちに独立行政法人であるJOGMECでしかできない仕事があると確信しました。
――JOGMEC入構前に期待や不安などはありましたか?
国の機関としてエネルギーの安定供給に貢献するという大きな使命を担っているので、新規の技術開発など、民間企業ではリスクの高さから取り組めないことにもチャレンジできる可能性があることに魅力を感じました。
私は大学院で、機械工学系分野を専攻し空調機の熱交換機器を研究していたので、「JOGMECの事業と関連性が低く、自分の知識が役に立てるのだろうか」と不安に思ったこともありました。でも、しっかりとした研修を経て業務に就けたので、入構前の不安を払拭することができました。今ではJOGMEC職員では珍しい分野を専攻してきたことが、逆に強みにできると思っています。
カーボンニュートラルを追い風に新しい事業へチャレンジ
――技術系職員として働いて得られたやりがいを教えてください。
入構後にOJTを担当してくれた先輩から引き継いだボーリング調査が感慨深かったです。入構2年目で予算6億円という大きなプロジェクトを任せられて、当初は緊張しました。しかし、現場に通って調査の段取りを組んだり、関係各所に許可を頂いたり説明をしたりと当時は目の前のことで精一杯でしたが、自分が頑張った分だけ仕事が進み、現場が始まったときは達成感がありました。
直接目で見て確認できない地下の様子について、仮説を立ててシミュレーションし、その結果が実際の現場試験で得られたデータと整合したときには大きな達成感を味わえました。若手の間から大きなプロジェクトを任せてもらい、それが将来の日本のエネルギー安定供給に役立つことだと思うと、とてもやりがいを感じます。
備蓄基地を安全に管理し、緊急時には石油・石油ガスを放出できる体制を維持することが使命ですが、基地で事故などを起こすことなく1年を終えられたときには、本当に良かったなと思いますね。
――それぞれに高い専門性のあるお仕事をされているのですね。どのように専門性を高めているのでしょうか?
新人研修やOJTなどの基礎的な研修だけでなく、国内外の専門家や大学の先生などを講師に招いた短期講座や、海外の技術者を招いた長期研修に参加するなど、働きながら専門性を高める機会がたくさんあるので、そうした機会を活用しています。
JOGMECのベテラン社員が開催する巡検(フィールドワーク)もありますよね。そういう場では、現場ならではの学びが得られます。また、資格取得にも補助金が出るので、専門性を高めるモチベーションを維持しやすいと思います。
私は入構2年目に、3カ月の石油備蓄基地研修に参加し、現場の業務を体験しました。この経験があったからこそ、工事の予算査定において自分の意見を言えるようになったと感じています。
――2022年11月に法改正があり、JOGMECが扱う事業領域が広がりました。普段の業務に変化はありましたか。
再生可能エネルギーは今まさに追い風の分野なので、新しい企画が進められていて、JOGMECも法改正に伴って、その動きが加速した印象はあります。一つは洋上風力事業の追加です。セントラル方式の一環として、JOGMECが風況や海底地質構造等を調査します。私が所属する地熱部門では、海外事業課で海外の開発プロジェクトに日本企業が参加する場合に資金提供できる制度ができました。海外の大規模開発のノウハウを将来的に日本に還元してもらうことを意図しており、民間企業を後押しする機運が高まっていると感じます。
エネルギー事業本部の中では、二酸化炭素を地下に貯留するCCSや、新エネルギーとして水素・アンモニアを扱う新たな部署が立ち上がり、さまざまなプロジェクトを実施中です。地上設備にもより広い視点が必要で、業務範囲が広がったことで新卒・中途採用ともに、幅広い人材を増やしています。現在、私は従来の石油・天然ガス開発を扱う部署に所属していて仕事内容に大きな変化はありませんが、いち技術者として、CCSなどの新しい分野も学んでいかなければならないと考えています。
資源備蓄本部では、カーボンニュートラルに向けて石油や天然ガスの代替となるエネルギーにどのようなものがあるのか調査しています。水素やアンモニアなど、国内のエネルギーがどのように代替されていくかによって、エネルギーインフラの在り方も大きく変化していくので、新しいインフラの検討も始まっていますね。
働きながら学び、成長していく。JOGMECで描く未来図
――今後JOGMECで働いていく中で、どのようなビジョンを描いていらっしゃいますか。
将来、備蓄基地で備蓄する資源が変わることもあると思います。そうした変化に対応できるような体制にしていきたいと考えています。基地によっては、放出までに時間を要してしまうところもあります。その時間を短縮する試みも今後は考えていきたいですね。新しい取り組みには法整備が必要になることもあるので、資源エネルギー庁や関係部署と連携し務めたいです。
カーボンニュートラルが求められる時代になってきても、社会を支えるエネルギーとして石油や天然ガスが担う役割は引き続き重要であると考えています。日本のエネルギー安定供給に貢献できるような大規模な油ガス田開発プロジェクトに携わりたいと考えています。
まずは、現在携わっているプロジェクトで日本の資産になる新規の地熱貯留層を発見したいです。最近では、さまざまな要因で地熱発電の調査が進んでいない場所がまだあるなと強く感じています。技術開発や助成金・債務保障制度、地熱開発の重要性などを各ステークホルダーに正しく理解してもらうことが重要で、自治体や各団体に向けた勉強会などを実施して理解を深めていただく機会を作っていきたいです。
――お仕事の面でのやりがいについてたくさん聞かせていただきましたが、ワークライフバランスの面で、お仕事以外の充実はいかがですか。。
出張などが続いて忙しいときもありますが、自分でスケジュールを考えながら午前休を取ったり、テレワークしたりと、働き方は柔軟に調整できます。また、職員同士で助け合おうとする組織文化があるなと感じます。例えば、今年の4月に男性の課長代理が、11月からは男性の課長が育児休暇を取得していて、みんなでその分の仕事をフォローし合っています。
職員同士の仲が良いのもJOGMECの特徴かもしれません。公式な部活動や有志で集まったクラブもあり、私は業務後にスカッシュや、休日はSUP(サップ)部に参加しています。部活などの活動を通じて、普段はあまり話す機会のない方と交流できるのがありがたいです。
同期の繋がりも強く、一緒に遊ぶこともあります。私と石渡くんは同期なのですが、北海道で3カ月間の現場研修に参加したときには、他の同期とスケジュールを合わせて遊びに来てくれました。 別の同期が鹿児島に研修に行ったときには、私も石渡くんとその同期の元へ遊びに行きましたね。
私と藤間さんは野球部に所属していて、先日は石油関係の企業と実施する野球大会があって参加してきました。運動部以外にも「石の会」という鉱物や化石好きの集まりもあります。私も参加していますが、月1回集まって、鉱物関連のイベントなどで手に入れた珍しい鉱石などを持ち寄って楽しんでいます。
――とても充実している様子が伝わってきますね。最後に読者にメッセージをお願いします。
国が関わる組織なので、外部の方からは「縦割り」のイメージが強いかもしれませんが、トラブルがあった際も組織を横断して解決を目指そうとしますし、柔軟に動ける人が多いです。人事からも定期的なアンケート調査などを通じて、働く私たちのことを知ろうとする姿勢が感じられるので、そういう意味でも働きやすい環境だと思います。
これまでの経験と新たに学んだことを合わせて活かせる職場だと思います。従来の石油・天然ガスに加えて、水素・アンモニアなど新しいエネルギーの知見が求められているので、さらに幅広いバックグラウンドを持つ人材が求められていくと思います。JOGMECに興味を持たれたなら、働く場所としてぜひ検討していただきたいですね。
私のように、漠然としたイメージを持って入構したとしても、働きながらさまざまな技術や知識を得られます。仕事に対する情熱をしっかりと伝えることができれば、きっとJOGMEC入構への道が拓けると思います。研究分野や専門性を問わず、興味を持たれたら採用に応募してみてください。
新卒・中途を問わず、多彩な人材をJOGMECでは募集中!
座談会でのお話から、JOGMECでは学生時代に学んできたことの延長線上で働く方も、新たにJOGMECで知識を得て働く方も、多彩な人材が揃っている組織だということが分かりました。
エネルギーや資源にまつわる仕事や、カーボンニュートラル推進事業などに関心を持ったならば、ぜひJOGMECの採用ページをチェックしてみてはいかがでしょうか。
[PR]提供:独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構