ベゼルそのものが、まさに宝石。誰もがそのビジュアルに圧倒されたOCEANUS Manta「OCW-S6000JC-2AJR」。それはまさに「宝飾のOCEANUS」だ。今回はその深く、青く煌めくベゼルを製作、監修した宝石研磨職人、小松一仁氏にお話を伺った。

  • 小松一仁氏

OCEANUS Manta「OCW-S6000JC-2AJR」の詳しい情報はコチラから

一点ものの作品でなく、高品質の製品を量産する

小松氏は、高度なダイヤモンド加工技術で世界的に有名な山梨県甲府市の企業「小松ダイヤモンド工業所」の2代目だ。カシオとは2021年にG-SHOCKの最高峰MR-Gシリーズの25周年限定モデル『華婆娑羅(はなばさら)』「MRG-B2000BS-3AJR」で協業経験があり、このときはコバリオン(※)製のベゼルを研磨、製作した。

  • MR-G 25周年記念限定モデル「MRG-B2000BS-3AJR」『華婆娑羅』※https://news.mynavi.jp/article/20210506-1883475より

そして、小松氏がベゼルのカッティングと研摩を手がけた最新作がOCEANUS Manta「OCW-S6000JC-2AJR」(以後、「OCW-S6000JC」と表記)だ。24面ファセットカットサファイアのベゼルリングに、職人の手でランダムにカットを施すことで、光を複雑に屈折、反射する。ちなみにファセットとは切子面のこと。ダイヤモンドでよく耳にするブリリアントカットも、ファセットカットのひとつだ。

  • ベゼルはまさに宝石のよう! 「OCW-S6000JC-2AJR」

小松氏の工場で仕上げられたベゼルはブルーのグラデーションIPで着色。キラキラと輝く波とどこまでも青く澄んだ海が瞬間的に凝固(ぎょうこ)して、そのまま宝石になったようだ。

  • 青く揺らめく光をたたえた波間のようなサファイアガラスベゼル

  • サファイアガラスベゼル加工の手順。小松氏の工場には無色透明のブランク状態でベゼルリングが運び込まれる

「OCW-S6000JC」は世界で350個の限定生産。この複雑な多面カットのベゼルを均一の品質で350個揃えるなんて、考えただけでも気が遠くなりそうだ。

小松氏「その点は、私からの提案をもとにカシオのデザイナーさんと話し合いながら決めました。こういった内容なら可能です、というところを正直に、デザイン、予算、納期についてしっかりと詰めて行きました。私は宝石職人といっても、高価な一点物を作る作家のようなタイプではありません。うちはもともと、製品の仕様をしっかりと決めて、それを高いレベルで維持しながら生産するという産業的なスタイルが得意なんです

それは先代である父、一男氏の仕事に対する姿勢でもあった。小松氏は言う。(予算と納期の調整は必要ながら)「仮にこれが1,000個の発注だったとしても、うちの工場は同じ品質で対応できます」と。

あらためて、ベゼルの形状を見てみよう。美しいカット面がきわめて浅い角度で無数に繋がっている。面と面の稜線は切れそうなほどシャープにエッジが立ち上がり、この鋭さが美しい光の反射を生み出しているのだ。しかも驚くべきことに、これらの面はすべて、小松氏と小松氏の会社「小松ダイヤモンド工業所」に所属する熟練の職人方々が手作業でカットしている。

  • この複雑で美しいカットがベゼル全体に施されているのだ

小松氏「この浅い角度の面の繋がりでエッジを出すのは、本当に難しいんです。研磨していくほど面は丸みを帯びてくるし、エッジは崩れてしまう。すると、今度は面の大きさがまちまちになって、光を美しく反射しなくなってしまう」

にもかかわらず小松ダイヤモンド工業所がこの高難度な加工を実現できるのは、同社ならではの技術の蓄積があるからだ。

※純チタンの約4倍の硬度を持つコバルトクロム合金

セクシーな時計「OCW-S6000JC」

現在の同社主力商品のひとつに「華真珠」(はなしんじゅ)がある。世界で初めて真珠の表面に微細な多面カットを施し、まるで真珠の中に光を宿したような表現が見どころ。本シリーズは1995年に特許を取得し、現在は世界15か国へ輸出されている。

  • 「小松ダイヤモンド工業所」の主力商品のひとつ「華真珠」

  • 真珠の輪郭に注目。このサイズでしっかりとエッジが立っている!

この「華真珠」で使われている「球面を微細なカット面で繋ぐ技術」は、まさに「OCW-S6000JC」のベゼルの加工技術そのものだ。

小松氏「研磨には研磨板を使います。削っていくうち、どうしても研磨板の(やすり目の)コンディションが変化しますから、注意が必要です。

また、研磨板も新品の具合がいいかというと、必ずしもそうじゃない。少し使い込んできて、一番角が出るタイミングがあるんですよ。そんなことも考慮しながら、350個のうち1個目の最初にカットした面と、350個目の最後にカットした面を同じ品質にする。それが技術なんです」

  • 10月発売のカシオ腕時計新作発表会で初公開された「OCW-S6000JC」

当然ながら、小松氏はこのデザインの意図や勘所を完全に理解して作業している。が、他のスタッフとそれを共有することは難しくないのだろうか。

小松氏「だから、こんこんと伝える(笑)。これは本当にニュアンスでしかないので、それが通じるのは、日々、一緒に仕事をしているからこそでしょうね。

ただ今回のように、決められたサイズや数値といったルールが存在しないものを自分で最適化してカットしていく、というやり方に慣れていないスタッフもいました。なので、その点では難しい作業だったともいえます。本来のうちのやり方であれば、このランダムな面、すべての位置と角度、大きさを決めて作業しますから」

小松氏は、完成した「OCW-S6000JC」を見て、どんな感想を持たれたのだろうか?

  • 「OCW-S6000JC」への思いを語る小松氏

小松氏「いい時計だなと思いました。 ベゼルも大変綺麗に仕上げていただいて、すごくセクシーな時計になったと思います。

日本の男性って、ジュエリーとか色香のあるものをあまり身に着けないイメージがあります。最近若い子はアクセサリーを着けたりするようになってきましたが、こういうキラキラした時計はそもそも店頭であまり見かけませんし。スイス時計とかならダイヤが散りばめられていたりするものはたくさんあるでしょう。でもそうじゃなくて、もっと普段のビジネスシーンにも使えるスタイルで、こういうキラキラしたセクシーな感じのものってなかったような気がしています。

僕はこういう商売をしているということもありますが、この手のジュエリー感があるものに対する抵抗や気おくれ的な感覚が全然ないんです。自分でも身に着けますし。

だから、こういうものが国産ブランドでも受け入れられる時代になったんだと思えて、とても嬉しかった。そうなってほしいと思っていたところに、ちょうど今回のお話をいただいたので。これは、僕の思いが形になった時計でもある。ビジネスシーンでも使える、いい時計だと思います。そこに、今までにない魅力が加わりましたよね。先進の機能と作りの良さに加えて、遊び心、お洒落心を高い次元で満たしてくれる時計だと思います」

甲府の宝飾産業は、我が国の誇るべき伝統だ。それが最新のデジタル技術をまとう革新的な時計と結び付いた。

「伝統と革新」の素晴らしい出会いがまたひとつ。作り手たちの熱い思いと研ぎ澄まされた技術が、OCEANUSの可能性を広げていく。今後のOCEANUSの進化・挑戦に引き続き注目していきたい。

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