技術力や開発力の高い日本企業がグローバルな展開で注目を集めるなか、そのような企業で研鑽を積みたいと考える若手ビジネスパーソンは多いでしょう。そこで重視されるのが英語力。国内企業とはいえ、世界を相手にプレゼンスを発揮している組織ならば高いレベルの英語力が必要とされるのではないか?と考えるのは当然のことです。そこで、今回は自動車内装品(シート、ドアトリム)の市場シェアで国内1位・世界3位を誇るトヨタ紡織株式会社(以下、トヨタ紡織)の社員の方々に、「ビジネスにおける英語の重要性」についてインタビューしました。
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世界に91社。広いグローバルネットワークを持つトヨタ紡織
――トヨタ紡織は自動車の内装品の製造をおこなっているというイメージが強いように思いますが、どのような事業内容を展開していますか?
育成担当 トヨタ紡織は3つの製品事業を軸に持つ企業です。皆さんが想像しやすいシート事業や内外装事業とともに、エンジン周辺樹脂製品やFC(燃料電池)関連製品などを手掛けるユニット部品事業があり、それらの製造と販売を行っています。近年はその領域を自動車だけでなく航空機や鉄道に範囲を拡大していることも特徴です。
自動車の内装品(シート、ドアトリム)の市場シェアとしては国内1位・世界3位となっていまして、愛知県の本社と国内関連会社の他に、アメリカ、ヨーロッパ・アフリカ、中国、アジア・オセアニアの26の国と地域に91社のグローバルネットワークを持っています。
●自動車内装品(シート、ドアトリム)の市場シェアは国内1位・世界3位。自動車を製造するにあたって世界中で欠かせない存在となっている。
●愛知県の本社の他に26の国と地域に91社の関連会社を持つグローバル企業である。
トヨタ紡織が社員に求める英語力とは?
――海外に広く事業を展開していることで英語を活用する場面が多いと想像できますが、社員の方々の入社前の英語力はどの程度なのでしょうか?
育成担当 前提として、英語力がないと入社できないことはありません。語学力だけでなく、これまでのご経験や志望動機なども踏まえ、個性豊かな方々に入社いただいています。入社後に英語を使用する場面は多々ありますので、英語への苦手意識がないかどうかは事前にお聞きすることがあります。苦手な方でも、どのように英語に取り組み、今後どのように英語力を伸ばしていくか、計画を立てておくことは必要だと思います。
堀さん 海外における事業展開の話を聞くとハードルが高く感じてしまうかもしれませんが、入社してから努力しても問題ないと思います。同期は百数十人いましたが、英語が得意な人も不得意な人もいました。
――では入社後、社員の方々はどのレベルの英語力が求められるのでしょうか?
堀さん 新入社員教育の中にTOEIC® Program の強化授業があります。入社後のテストで一定の点数未満だった社員は、外部講師のレッスンを受けることができます。また、社内では自己啓発制度が充実しており、英語力向上のためのカリキュラムが複数用意されています。主体的に学習する社員に対してサポートしてくれる環境が整っているように感じます。
――社内で英語を活用する業務はどのような場面でありますか?
堀さん 私の場合は未来の車室空間の企画開発を担当しておりまして、基本的に海外拠点と連携して開発しています。例えば、アメリカに出張して、現地の拠点で一緒に開発や実験をするというようなこともあるので、常に英語を使いながら仕事をしていますね。
――英語に関わらない人はあまりいないのでしょうか?
堀さん 社内全体においては業務内容によって英語の使用頻度は大きく異なります。私の部署は英語を使わない業務をされている方もいますが、私は積極的に「英語を使いたい」と伝えていたこともあり、英語を使用するプロジェクトにアサインされました。本人の希望も汲み取ってくれる環境が整っています。
――モチベーション次第で、英語を活用する環境を作り出すこともできるということですね。
堀さん そうですね。英語を活用したいという意思を上司に伝えていれば、チャレンジさせてもらえることがあります。 英語を得意としない人でも、上司から「このプロジェクトに入ってください」と言われて入ったところが英語を使うプロジェクトで、英語力を叩き上げられるというパターンもありますね。
●入社後は、英語力を上げるカリキュラムを多数用意して社員をバックアップ!
●日頃から英語を活用したい意思を伝えることで、グローバルなプロジェクトに配属されやすくなる環境がある。
実践的な英語力を身に付ける学習方法と制度
――開発現場で実際に英語を使ってコミュニケーションを取っているとのことですが、どのようにして学習に取り組まれましたか?
堀さん これはシンプルで「話しまくる」に尽きますね。初めの頃は「学習しよう」という意識が強かったので、同じ部署にいた外国人の同僚に積極的に話しかけていました。アプローチをしていくうちに一緒に遊びに行くようにもなりましたが、仲良くなると話す機会が増えていきます。そうすると、自分の英語が伝わっていない場面や相手の発言が理解できない場面が出てくるので、その言葉を調べてトライ&エラーを繰り返しました。「相手に誤解されてしまうかな?」といったエラーを恐れる気持ちを持たないようにすることが英語学習では大事かなと思います。
実は幼少期に数年海外で生活をしたことがあるのですが、その時に感じた異国に飛び込む孤独さや怖さを理解しているので、海外から来た人の助けになりたい、友達になってあげたいという気持ちもあって、英語を積極的に使うようになりましたね。
――トライ&エラーを繰り返す勇気と外国人社員を思う優しさが英語力をアップさせたんですね。では、会社として社員の英語力を高める取り組みや制度はどのようなものがあるのでしょうか?
堀さん 新入社員向けの教育研修のほかに、主体的にスキルアップしたい社員向けの制度も用意されています。例えば、通信教育ですね。自主的に勉強したい事柄の通信講座を申し込みし、受講修了することで会社に一定の金額を負担してもらえるキャッシュバック制度があります。 あとは、若手社員向けにトレーニー制度も用意されていて、「TOEIC® Listening & Reading Test(以下、TOEIC L&R)で◯点以上」など一定の基準をクリアすれば、1年間海外拠点での研修を受けることができるので、それを目標に語学学習している人も多いです。
●主体的に学習を希望する社員は、通信講座修了後のキャッシュバック制度を活用できる。
●TOEIC L&Rのスコアなど一定の基準をクリアすることにより、海外拠点で研修を受けられるトレーニー制度があり、若手社員が成長できる土壌がある。
英語力を伸ばして活躍している人の共通点
――英語を使用する業務のなかで活躍されている方に共通点はありますか?
堀さん 突き進む度胸があるかどうか、という気がしています。社内には外国人の方もたくさんいますし、彼らと一緒に進めるプロジェクトも多いです。機会が豊富なので主体的に参加することもできるし、アサインされる場合もあると思います。そのときに、上手くいかなくてもトライ&エラーを繰り返しながら突き進む勇気があるかどうかが、一番明暗を分けると思います。
私が目にした印象的な出来事として、アメリカから来たトレーニーのOJTを任された社員が、英語をあまり話せない方だったということがありました。彼が試行錯誤しながら話す英語が、半年ほど毎日フロア内に響いていました。それを傍から見ていて、英語力がすごく伸びていることを感じたんです。だから、先天的な才能やスキルといったものよりも、個人的には勇気や心持ちが大事なのかなと思いました。
●与えられた機会を逃さず、勇気を持って地道に取り組めば英語力を伸ばせる!
恐れずチャンスを掴むことが鍵。今、若手ビジネスパーソンに伝えたいこと
――最後に、学生や若手ビジネスパーソンに伝えたいメッセージはありますか?
堀さん まず、ハードルを高く感じなくて良いと思います。恐れない気持ちが大切で、モチベーションと勇気があればどうにかなると思うので、ぜひ挑戦してみてください。 個人的に、学生の方は留学などのチャンスがあれば行くとすごく良い体験になるかなと思いますね。社会人の方も職場や周りに英語を話す方がいたら話しかけてみると良いと思いますし、参加したいプロジェクトがあれば英語が話せなくても手を挙げても良いと思います。それが英語への苦手意識をなくす手段になるのではないでしょうか。
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写真:松園多聞 文:平石紗代
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