左:三井不動産ビルマネジメント株式会社ビジネスソリューション事業推進本部の鎌田茉莉花
右:三井不動産株式会社ビルディング本部の山田祥子

三井不動産は毎年国際女性デーにイベントを開催しており、2023年は3月に東京ミッドタウン八重洲にて「もっとチャレンジできる明日へ『Diversity&Career Forum』~企業が女性活躍と多様性の推進に取り組む理由~」をテーマに開催いたしました。

本イベントは三井不動産と三井不動産ビルマネジメントによる共同プロジェクトとなっており、企画と運営を担った、三井不動産株式会社ビルディング本部の山田祥子と三井不動産ビルマネジメント株式会社ビジネスソリューション事業推進本部の鎌田茉莉花に、イベントに込めた「ワークライフの充実のヒントが得られる機会を世の中に提供したい」というねらいや想いなどについて聞きました。

「女性活躍推進」の制度のウラにある、
「想い」を理解してもらうことがカギ

―お二人が普段担当されている業務や、これまでのイベント参画経験をお聞かせください。

山田祥子(以下、山田):三井不動産のビルディング本部で、オフィスビルに入居されているテナント企業様に向けたソフトサービスの企画や運営をしています。私は昨年に三井不動産に中途入社したばかりで、今回の国際女性デーイベントへの参画は、自分にとってまったく新しいミッションでした。

鎌田茉莉花(以下、鎌田):三井不動産ビルマネジメントのビジネスソリューション事業推進本部に所属し、テナント企業様のニーズに添ったイベントの運営を手掛けています。国際女性デーのイベントの運営に携わるのは今回が初めてですが、学生のときに女性の生き方や人権問題を学んだこともあって深い関心を抱いており、昨年は「参加者」の立場でイベントに参加しました。

―今回のイベントのコンセプトは、どのような経緯で決まったのですか?

山田:実は私自身、女性活躍推進の動きに、当初もやもやしていたんです。例えば、女性管理職を増やそうという動きがある中で昇進のオファーを受けても、「女性だからといって優遇されているんじゃないか? 私自身ではなく、性別が評価されているんじゃないか」と疑心暗鬼になってしまったり。こういったもやもやを解決できるようなイベントになればいいな、という思いがありました。

鎌田:私も働く女性として、活躍を期待されていると肌で感じるのですが、果たして「女性活躍」とは何だろう、と悩むことがありました。女性といっても一様ではなく、自分の身の回りにいる人だけを見ても、置かれている状況はとても多様です。例えば独身で子どもがいない女性、まもなく結婚を控えている女性、子どもを育てている女性……そして、子育ては女性だけでなく、男性も担っています。昨年のイベントは、育児とキャリアの両立に悩む女性向けのテーマでしたが、様々な人が様々な悩みを抱えている中で、今年はどの悩みにフォーカスしたイベントにするか、非常に悩みました。

山田:現場の課題感をヒントにしたくて、テナント様にヒアリングを行いました。ダイバーシティ推進や女性活躍推進についてどのような取り組みを実施しているのか、どういった悩みがあるのかを聞きました。

その結果浮かび上がってきたのが、「社内に制度は用意されているものの、なぜかあまり浸透しない」「他社の成功事例を参考にしたいが、どういう取り組みがなされているか情報が得られない」という課題です。それを聞いて、今年は個人ではなく、企業を起点に考えてみてもよいのではないかと思ったんです。「なぜこの会社にはこんな制度があるのか」というそのウラにある想いがわかると、私をはじめ、様々な立場にある個人一人ひとりのもやもやも解消できるかもしれないと。そういう流れで、ビルのテナント企業でダイバーシティ推進に取り組まれている方を登壇者としてお呼びして、語っていただくことになりました。

2022年度の国際女性デーに実施されたイベントの詳細はこちら

登壇者にはそれぞれ異なるバックグラウンドが。
「自分にもあてはまる!」と共感してもらうことが狙い

―登壇者はどのように選定されたのですか?

山田:BofA証券株式会社の林礼子さんは、以前三井不動産の研修に来ていただいたときの講演内容や、一度直接お話しした経験から、経営者として危機感を持ってD&I推進に本気で取り組んでおられる姿が印象深く、ぜひ来ていただきたいと思っていました。

また今後、東京ミッドタウン八重洲をD&Iに関する情報発信の場にしていきたいという思いから、新しくテナントとして入ってくださったダイキン工業の野間友惠さん、三井化学の安井直子さんをお呼びしました。そして、男性の参加者にとって共感できる内容にするためには、男性にも登壇していただくことが必要だと思い、本田技研工業の橋本昌一さんにお声掛けしました。

―イベントで語られた登壇者のバックグラウンドが非常に多様で、印象的でした。

山田:林さんは三井不動産の研修でもご自身の人生を語ってくださいましたが、ほかのお三方のバックグラウンドを知ったのは、実は登壇をお引き受けいただいたあとのことなんです。イベントではかなり個人的な事情まで語っていただけましたが、そうした情報のほとんどは、公表されていませんでしたから。

  • イベントで話しているBofA証券株式会社の林礼子さん(左)

鎌田:皆様の人生を知ったのは、登壇者決定後、全員での顔合わせ会でした。働く女性が気になるであろうポイントとして、「これまでどのような状況の中でキャリアを築いてきたか」「これまで、どのようなつまずきがあったか」をうかがいました。すると偶然、お一人ずつまったく違ったバックグラウンドをお持ちだということがわかったんです。

山田:もともと、登壇者の中で多様性を実現したいという想いがあったので、嬉しい偶然でした。どのような立場にある人が見ても、「この登壇者には、自分と似ている部分がある」と感じてもらえるイベントを目指していたからです。D&Iの取り組みを「腹落ち」させるには、共感が必要だと考えています。登壇者の方々は皆様、輝かしいキャリアを積まれていますが、その素晴らしいキャリアを聞くだけでは、なかなか自分ごとにすることができません。そんな方々にもつまずきがあったと知ることで、「もしかしたら自分が登壇者席にいる未来もあるかも」とポジティブに感じてもらえるのではないかと思いました。

鎌田:登壇者の顔合わせは今年初めて導入した取り組みでしたが、登壇者どうしでお互いどんな人かを知っていただく意味でも良い機会でした。顔合わせを通じて登壇者の方々の距離感もグッと縮まり、その結果イベントでも個人的なことをたくさん話していただけて、議論がより深まったと思います。

イベントに登壇した方々が話した内容はこちら

多様性に富んだ意見に共感の嵐で、イベントは大成功!
三井不動産の今後の展望とは……?

―イベント参加者の反応はいかがでしたか?

  • イベントの参加者の中には、男性の姿もちらほらと。

山田:開催後すぐに大きな反響がありました。「非常に共感したので会社の上層部にも見てほしい」という意見など、嬉しい声をいただきました。当社内でも上層部の方にもイベントを視聴してもらったのですが、多様性に富んだ登壇者の意見に「こんな考え方もあるのか」という声も上がっていて、実施した意義を感じました。個人的にも、どの登壇者の方のお話にも共感できる部分があって、前向きな気持ちになれました。

鎌田:会場を見ると男性の方が2〜3割参加されており、これまでのイベントに比べて多い印象でした。「組織としてどうすべきか」というテーマにしたところ男性が増えたということは、男性管理職が多いという現状を反映しているのかもしれません。ただ今回、男性比率が多い企業における女性活躍推進のお話もありましたから、男性の方に多く来ていただけたのは嬉しいことです。個人的にも、間近で登壇者の方々のお話を聞いて、たった1時間半ですごく参考になりました。

―これからの取り組みについて、展望や意気込みを教えてください。

鎌田:若手として、ロールモデルがなかなか見つからないという悩みがありましたが、今回女性登壇者のロールモデルを3例見られただけで、「こんなキャリアの歩み方があるのか」と非常に参考になりました。今後、登壇者と参加者がもっと気軽に会話できる、距離感の近い会も実現できると良いなと思います。また三井不動産ビルマネジメントでは、国際女性デーのイベント以外にも、様々な交流イベントを運営しています。それらのイベントをきっかけに、テナント様とのリレーションも、三井不動産グループとしてのリレーションもいっそう深めていきたいですね。

山田:今回は私自身の悩みを反映させたテーマになり、自分と近い世代の人を中心に共感を得られたという感覚があります。今後は鎌田さんのように、社会人になって2、3年目の方の気持ちに寄り添うイベントも開催したいですね。そうやって縦にも横にも輪を広げながら、テナント様の経営課題解決のお手伝いができればと思います。特にD&Iの領域は広く、担当者の方が一人ですべてをカバーするのは難しい分野です。今回のようなイベントやサービスを積極的に提供し、ダイバーシティ推進に貢献していきたいと思います。

イベントに登壇した方々が話した内容はこちら

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