筋トレや性機能など、オトコのパフォーマンスに大きな効果のある一酸化窒素(NO)。
様々な健康効果があるため「一酸化窒素を増やしたい!」と考える方も多いでしょう!
そして一酸化窒素を増やす手段として一番手軽なのが食べ物です。
今回は食べるだけで体内の一酸化窒素が増加する食材たちを一挙にご紹介します!
そもそも食べ物で一酸化窒素(NO)を増やすメリットとは?
まずは一酸化窒素の健康効果について簡単におさらいしましょう。
一酸化窒素が注目される理由は、ズバリ「血管の伸縮性を高めて血流を促進してくれる」から!
人は血液のめぐりによって全身に栄養や酸素を運搬したり、老廃物を排出したりと健康には欠かせない代物ですよね。
そして特に……男性の下半身は血管の塊なので、夜のパフォーマンスにも大きく影響を与えます。
つまり! 血流がよくなるとジムやベッド上でのパフォーマンスも向上するなど、オトコにとって嬉しい様々な効果をもたらしてくれるんです!
ちまたでも、NOの増加を目的としたNO系サプリが人気になっているのも頷けます。
しかし! 実はサプリメントを摂取しなくても食事で十分にNOを増やせるんですよ!
食べ物で一酸化窒素(NO)を増やすための方法3つ
まずは食べ物でどのように体内のNOが増加するのか、そのメカニズムをご紹介します。
実際は体内での化学反応がかなり複雑なのですが、今回難しいことは割愛しちゃいましょう!
大まかにまとめると、以下3つの仕組みで体内のNOを増やせるんです。
1.アルギニン・シトルリンを含む食べ物を摂取する
食べ物でNOを増やす1つ目の手段は、アルギニンとシトルリンを豊富に含む食べ物を摂取することです。
アルギニンとシトルリンはアミノ酸の一種。体内ではアンモニアを尿に変える時に使用されます。
そしてアルギニンはシトルリンに、シトルリンはアルギニンに変換しながらアンモニアを分解するのですが……なんとその過程で副産物としてNOが出来上がるんです※1!
つまり! アルギニンとシトルリンはどちらも体内でNOを作り出す栄養素ってことになりますね。
健康オタクや化学オタクは複雑な酵素や化学式まで学習してもよいのですが……そうでないなら「アルギニンとシトルリンを摂取するとNOが増える!」と覚えればシンプルですよ!
ちなみにどちらも目安量は1日800mg程度。一度に大量に摂取するより、毎日継続して補給する意識が大切です。
※1参照元:シトルリンの代謝と薬効
2.NOの素になる硝酸塩(NO3)を摂取する
2つ目の手段は硝酸塩(NO3)の摂取。アルギニンやシトルリンとは別のルートでNOを作り出してくれます。
硝酸塩は土に多く含まれ、植物の成長に欠かせない成分です。そのため、硝酸塩は主に土で育つ葉野菜や根菜類に多く含まれます。
そして硝酸塩(NO3)を摂取すると体内でNOに変換されることがわかっているのですが……その方法がユニークで面白いんですよ。
まず、一度腸で吸収された硝酸塩は、唾液として口の中に戻ります。すると口の中にいる常在菌によって硝酸塩は別の物質に変わり、さらに胃液や胃の中にある食べ物と反応してNOが生成されるんです※2!
シトルリンやアルギニンが身体の中のシステムでNOを生成しているのに対して、硝酸塩は細菌や一緒に食べた物まで使ってNOを合成しているわけですね。
研究では360mg〜560mgの硝酸塩を摂取することで、運動パフォーマンスの向上効果……つまりNO増加の作用が確認されているので、摂取量の目安になるでしょう※2。
ちなみに、今のところはシトルリン&アルギニンと硝酸塩の優劣はハッキリしていません。つまり、一番お得なのはどちらの回路もフル活用してNOを増やすことだと言えそうです。
※2参照元:野菜に含まれる硝酸塩は毒か薬か? 還元的NO合成経路の研究小史
※3参照元:IOC consensus statement: dietary supplements and the high-performance athlete
【補足:硝酸塩は安全?】
一部の記事では、硝酸塩を摂取すると体内で発がん物質に変わる懸念があることから、危険との見方もあります。
しかし、現状では食品で摂取した硝酸塩のうちどのくらいの量が発がん性物質に変わるのか、そして本当に食品での摂取が危険なのかについて明確な証拠はありません。(もし危険だとしたら、スーパーから多くの野菜が消えてしまいますね……。)
実際に、食品の安全評価を世界的な規模で行っているFAO/WHO(国際連合食糧農業機関と世界保健機構の合同組織)の見解では、硝酸塩の摂取と発がん性のリスクに関連は見られないと発表されています。また、農林水産省も一般的な摂取量では人体に有害ではないとHPで記載しているんです※4。
さらに、今回ご紹介する硝酸塩による体内の一酸化窒素増加など、健康的なメリットの方がリスクを上回るとの研究データもあります※5。
以上のことから、あまりに多量でなければ食品での硝酸塩の摂取は問題ないと言えるでしょう。
※4参照元:食品中の硝酸塩に関する基礎情報※5参照元:Nutritional epidemiology in the context of nitric oxide biology: a risk-benefit evaluation for dietary nitrite and nitrate
3.抗酸化作用のある栄養素を摂取する
最後は直接的に増加させる方法ではなく、「作られたNOをいかに減らさないようにするか?」というお話になります。
せっかく高めたNOを減らさずはたらかせるには、抗酸化作用のある栄養素を意識して摂取することが必要です。
実はNO自体が抗酸化作用を持っており、体内が酸化しているとNOが優先的に使われてしまうとわかっています※6。
すると血管の伸縮性を高めて血流を促進する分のNOがなくなってしまい、本来のはたらきが発揮できません……。
逆に体内の酸化ストレスを別の栄養素で減少できれば、NOは無駄なところで減らさずに済むことになります。
実際の研究でも、NOを増やすシトルリンと抗酸化物質のグルタチオンを同時に摂取したところ、シトルリンだけ摂取した時と比べてNOが増加するとわかっているんです※7。
NOを増やしたければ、シトルリン&アルギニンや硝酸塩だけではなく、抗酸化作用のある食品も同時に摂取するようこころがけましょう。
※6参照元:Role of oxidative stress and nitric oxide in atherothrombosis
※7参照元:Combined L-citrulline and glutathione supplementation increases the concentration of markers indicative of nitric oxide synthesis
一酸化窒素(NO)を増やす食べ物12選
一酸化窒素(NO)を増やす方法がわかったところで、メカニズムに当てはまる食材等を一挙にご紹介します!
ぜひ、どんな食品で食べようか想像しながら読んでみてくださいね。
1.ピーナッツ
一酸化窒素(NO)を増やしてくれる1つ目の食材はピーナッツです。
ナッツ類にはアルギニンが豊富に含まれており、中でもピーナッツには100gあたり3200mgとかなりの量が含まれています!
さらにピーナッツは、抗酸化作用を持つビタミンEやマグネシウムといった基礎栄養やポリフェノールも豊富。高めた一酸化窒素もしっかりと保護してくれます。
実際の研究でもピーナッツの驚くべき健康効果が確認されているんですよ※8。
20万人以上の食生活を最大32年の期間で分析した実験では、週に2回以上ピーナッツを食べる人はそうでない人に比べて、なんと心臓病のリスクが15%、心血管疾患のリスクが13%も低かったそう!
心臓病や心血管疾患は血管が大きく関係してるため、この結果はピーナッツの一酸化窒素や抗酸化作用が有用であることを証明しているといえます。
ちなみに、ピーナッツは薄皮に抗酸化作用成分が多く含まれているため剥かずに食べるのがおすすめです! また、もともとピーナッツには脂肪分が多く含まれているので、バターで脂質を追加せずそのまま食べる方がよいでしょう。
小腹が空いた時の間食やおつまみに取り入れてみてくださいね。
2.スイカ
お次はスイカ。何を隠そう、シトルリンはスイカから発見された物質なんですよ!
その含有量は他の食品と比べてもかなりの量! なんと100gあたり180mgも含まれているので、大玉サイズなら7等分の1切れで1日の目安量800mgを摂取できちゃいます。
また、スイカはトマトと同じ抗酸化物質のリコピンやビタミンCを含有。抗酸化作用も相まって、一酸化窒素にもよい影響が期待できるでしょう。
スイカの健康効果については多くの研究がなされており、スイカの継続摂取によって血圧の低下や動脈硬化の改善などが報告されています※9。
血管に嬉しい効果が報告されていることからも、スイカの一酸化窒素を増やす効果は折り紙つきですね。
夏はスーパーでもカットスイカが売られているので、おやつやデザートに取り入れてみてください!
ちなみに! スイカの皮には果実の2倍のシトルリンが含まれているんです。硬派なあなたはスイカ皮のサラダや漬物など、いかがでしょうか?
3.高野豆腐
一酸化窒素を増やしてくれるアルギニンは、大豆類にも多く含まれています。
特に豆腐の水分を抜いて凝縮させた高野豆腐は、100gあたり4,100mgと数ある大豆食品でもトップの含有量を誇る食材※10!
さらに、大豆には抗酸化作用をもつポリフェノールの一種、イソフラボンが含まれています。
豆類の摂取状況と健康リスクを調べた大規模な研究でも、豆類を定期的に摂取している人は心血管疾患や冠状動脈性心疾患など血管に関わる病気のリスクが10%低下したとのデータも※11。
高野豆腐はスーパーの乾物コーナーで簡単に手に入り、日持ちするうえ日々の食事に取り入れやすい存在です。
また、高野豆腐でなくとも大豆製品にはNOにプラスの影響を与えてくれる食材が多いため、普段の食生活でも意識してみてください!
※10参照元:アルギニンが多く含まれる食べ物と目安摂取量 効果・副作用について
※11参照元:Legume consumption and CVD risk: a systematic review and meta-analysis
4.青魚
魚介類にもアルギニンは豊富に含まれています。
特に多いのがサバやアジなどの青魚。特にサバは100gあたり1,200mgのアルギニンが摂取できます。
さらに青魚の嬉しいポイントが、オメガ3と呼ばれる良質な脂質が豊富に含まれていること!
オメガ3は優れた抗酸化作用や血管の保護作用により、体内の一酸化窒素を増加させるとわかっています※12。
たまには魚を食べる日を設けると、より一酸化窒素を増やせそうですね。
おすすめはサバ缶。ストックできて手軽に青魚を食生活に取り入れられますよ!
5.かつおぶし
青魚が苦手な人は薬味でアルギニンを摂取しちゃいましょう。
かつおぶしにもアルギニンが100gあたり4,500mgと大容量含まれています。さらに、オメガ3脂肪酸も豊富!
青魚が苦手でも、かつおぶしは食べられる人は多いのではないでしょうか?
そして「かつおぶしを他の魚と同じように100gも食べられるわけない」と思った鋭いあなたもご安心ください。
研究では、2.45gと少ない量のかつおぶしでも摂取した後に抹消血流が増大するとわかっています※13。
アルギニンの効果だけではないかもしれませんが、一酸化窒素により血流によい影響があったことは言うまでもありません。
一酸化窒素を増やしたいあなたは、薬味やかつおぶしご飯などで積極的に振りかけていきましょうね。
※13参照元:Consumption of Dried-bonito Broth Acutely Increases Peripheral Blood Flow in Humans
6.ビーツ(ビートルート)
ビーツは鮮やかな赤色のビジュアルもさることながら、硝酸塩(NO3)を多く含む野菜として最も有名な存在です。
100gあたりの含有量はおよそ300mgと、野菜の中でもトップクラス※14!
実際の研究でも、たった70mlのビートルートジュースで血中NOの濃度が高まるとわかっています※15。
ビーツの一酸化窒素を高める効果は、スポーツ業界でも注目を集めているんですよ。
生のビーツは日本ではなかなか食べる機会がないので、ビーツ入りジュースやサプリメントの活用がおすすめ!
※14参照元:文部科学省 日本食品標準成分表
※15参照元:A single dose of beetroot juice enhances cycling performance in simulated altitude
7.ほうれん草
ほうれん草も硝酸塩を豊富に含む野菜。
100gあたり200mgの硝酸塩が含まれており、ビーツより日常的に食べやすいのが嬉しいところですね。
ビタミンAやケルセチンなど抗酸化作用のある成分もたくさん含まれており、一酸化窒素を増やすのに適した食品といえます。
研究でもほうれん草の摂取によりNOが増加し、血圧を低下させるとわかっているんですよ※16。
ちなみに、葉野菜の硝酸塩は茹でると半分程度減ってしまうことが明らかになっています……。
硝酸塩を摂取して体内の一酸化窒素を増やしたい人は、サラダやスープで食べるとよいでしょう。
※16参照元:Inorganic nitrite and nitrate: evidence to support consideration as dietary nutrients
8.ニンニク
様々な健康効果があることで知られるニンニクは、一酸化窒素の増加にも一役買ってくれます。
ニンニクにはアルギニンや抗酸化作用が豊富に含まれており、総合的に増加をもたらすと考えられているんです。
データが全てを物語っています。なんと熟成ニンニクサプリを摂取したところ、血中の一酸化窒素濃度が一時的に40%も増加したというから驚きですね※17。
においが気になる点が玉にきずですが……お仕事を終えた後の夕食や休日にはニンニクをたっぷり使った料理で一酸化窒素を高めちゃいましょう!
※17参照元:Aged garlic extract enhances production of nitric oxide
9.ザクロ
ザクロはさまざまな健康効果が得られるフルーツとして話題になっていますね。
その理由は、アントシアニンやエラグタンニン等の強い抗酸化作用を持つ成分が凝縮されているからなんです。
研究では体重1kgあたり100mgのザクロジュースを4週間継続摂取したところ、血圧の低下が確認されました※18。
別の研究では、ザクロジュースが一酸化窒素の保護と活性化を担っていると確認されているため、NOもしっかりと増加させてくれるでしょう※19。
でも……日本では大きめのスーパーにちょっと高い値段で置いているぐらいですよね。継続して摂取したい方はジュースになっている製品やサプリメントを検討しましょう。
※18参照元:The effects of pomegranate juice consumption on blood pressure and cardiovascular health
※19参照元:Pomegranate juice protects nitric oxide against oxidative destruction and enhances the biological actions of nitric oxide
10.赤ワイン
赤ワインも血流に効果的なイメージのある食品の一つではないでしょうか。
実際のところイメージ通りで、レスベラトロールやアントシアニンなどの有名どころを含めて500種類以上ものポリフェノールが含まれているというから驚きです。
そして実際に一酸化窒素を増やしてくれることも研究でもわかってきています。
人の体内ではなく細胞を観察した実験ではありますが、赤ワインで細胞を培養すると、なんと一酸化窒素の活性が3倍になったことが確認されました※20。
つまり、体内でも一酸化窒素の活性化が大いに期待できます。
ただし赤ワインをガブ飲みするのはNG。アルコールは体内で一酸化窒素を減らす活性酸素を発生させるため、飲み過ぎるとかえってマイナスです。
週に数回、グラスワイン1杯程度を楽しみながら一酸化窒素を増やしていきましょう。
11.グリーンコーヒー
グリーンコーヒーは、焙煎していない生のコーヒー豆を指します。
コーヒーには非常に強い抗酸化作用を持つクロロゲン酸が含まれていますが、実は熱に弱いため焙煎されると減ってしまうんです。
その点、グリーンコーヒーは焙煎していないためクロロゲン酸が非常に多く含まれており、より抗酸化作用が強いわけですね。
研究でも、グリーンコーヒー豆から抽出したコーヒーを飲んだ男性の血管伸縮率が改善されました※21。
日本ではあまりメジャーではありませんが、飲んでみたい方はオンラインショップ等で購入できますよ。
もしくは、グリーンコーヒーを使用したサプリメントを検討するのもよいでしょう。
※21参照元:Green coffee bean extract improves human vasoreactivity
12.ダークチョコレート
最後の一酸化窒素を増やす食べ物はダークチョコレート。
カカオには豊富なポリフェノールが含まれており、特にフラバノールと呼ばれる成分は一酸化窒素を最適なレベルまで増やしてくれるとわかっています。
研究ではダークチョコレートを15日間、毎日30g摂取したところ、血中の一酸化窒素濃度が上昇しました※22。
ちなみに、あくまで効果があるのは「カカオ」の成分なので、カカオの含有率が20%〜30%と低いミルクチョコレートはNG。
おすすめはカカオ含有率の記載があり、80%〜90%の濃いダークチョコレートです。
良薬は口に苦しと言いますから、最初は頑張って耐えましょう。そのうち苦味の中にほんのりとした甘さと旨みを感じられるはずですよ。
※22参照元:Effect of dark chocolate on nitric oxide serum levels and blood pressure in prehypertension subjects
食べ物で一酸化窒素を増やして血流ブーストを体感しよう
ここまで一酸化窒素が増えるメカニズムと、一酸化窒素を増やせる食べ物を紹介してきました。
今回紹介した食べ物をうまく活用して身体のめぐりを整え、精力的に活動できるようコンディションを整えていきましょう。
ちなみに、NOを継続的に増やすにはサプリメントも有効。
実は食品だけでは、毎日必要な量を摂取するのは難しいのが実情だからです。
たとえば、シトルリンは十分な効果を発揮するために800mgが1日の目安量となりますが、これはメロンであれば1.6kgを1玉まるまる食べないといけません。
日常的に意識して一酸化窒素が増える食べ物を摂取し、難しい時はサプリメントで補えば健康にまた一歩近づきますよ!
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