G-SHOCKのスポーツライン「G-SQUAD」に心拍計を搭載した初のスクエアモデル「DW-H5600」シリーズが登場した。今までありそうでなかった「オリジンのフォルムを受け継ぐG-SQUAD」に興味津々という方も多いだろう。そこで今回は、その外観と機能のレビューをお届けする。
ビジネスシーンでも使いたくなる
スポーツ機能を持つ時計は、いかにもスポーティなデザインが多い。それは、スポーツにおいて、時計(機能)を使う人はスポーツウェアを着ている人が多く、その服装とコーディネートをあわせるからなのだろう。しかし、実際にはそうとも限らない。1日で最も歩くのは通勤や外回りで、最高速で走るのはバスや電車の発車直前だったりするのだ(駆け込み乗車はやめましょう)。そんな日常的なシーンでも計測や分析機能は使用したいものである。
日常的に使用することを考えると、見た目は普段使いできる普通のG-SHOCKで、カラーはビジネスシーンでも違和感ないような落ち着いた色がいい。また、機能性は、アスリートではないごく普通の社会人である私には、最低限で十分だ。計測できるアクティビティはウォーキングやランニングなど、ごく身近な運動に対応し、就寝前にスマホでログを見て「今日は1万歩以上歩いたな」とか、「もう少し速く歩いて、カロリー消費率を上げた方がいいかな」とか、そんな日常的な健康のヒントを得たい。アスリートが身体を鍛えたり、記録を伸ばしたりするためのツールとは別の、日々の健康を維持したい一般人が使用しやすいスポーツ機能付き時計があればいいな……。
と思っていたら、出たんですよ。G-SQUAD「DW-H5600」シリーズが!
現在のラインナップは3タイプ。ひとつはベゼル、ケース、バンドすべてが樹脂の「DW-H5600」。そして、IPで着色したステンレス(SS)ベゼルを採用した「DW-H5600MB」。もうひとつはG-SHOCKの初代モデル「DW-5000C」の設計図の一部をバンドとケースにプリント、さらに交換用のベゼルとバンドが付属するスペシャルモデルの「DW-H5600EX」だ。なお、機能は全モデル共通である。
つまり大きく分けるとベゼルが樹脂製かIP着色のSSベゼルかに分けられるのだが、個人的にはSSベゼルがおすすめ。IPの質感が高く、同じデザインでありながら樹脂ベゼルより格段に見栄えがいい。むしろちょっとした高級感があり、ビジネススーツと組み合わせても違和感なく使用できる。
そんな「DW-H5600」シリーズをビジネスシーンでも使いたくなるもうひとつの理由が、非常に見やすい時刻表示である。従来の液晶は角度によって液晶が薄くなるなど見にくいことがあるが、MIP液晶を採用したDW-H5600の時刻表示はどの角度からも見やすい。多少の暗所ならバックライトを点けずに時刻が読み取れるほどだ。
また、画面のデザインを変更することも可能。「DW-H5600」シリーズは標準(初期状態)、カスタマイズ、歩数達成度グラフからウオッチフェイス(常時表示される画面)を選んで表示できるので、ユーザーの使用目的にいっそう寄り添ったツールとなってくれるのだ。
ケースサイズは、縦51.1mm×横44.5mm×厚さ17.4mmと、今までの5600系に比べるとほんの少し大きめ。重量は、樹脂ベゼルのモデルが59g、SSベゼルのモデルが65gと十分な軽さ。バンドも柔らかめでアクティビティはもちろん、朝から日中、そして睡眠計測まで長時間着けていても、手首に疲労を感じることはなかった。
充電は付属の専用USBケーブルを使って行う。このケーブルは時計との接続側がクリップ式になっていて、時計がしっかりとホールド、充電される。ケーブルも太く作りがよく、使用上の不安はない。なお、気になる満充電からの連続使用時間は、スマホと常時接続した状態で日常的な歩数や心拍、睡眠時の計測を行った状態(ただし、アクティビティ計測モードは使用しない)でも、筆者の場合は一週間は余裕をもって使用できた。なお、充電量が少なくなってLOW状態になっても、時刻表示はソーラー充電のみで駆動する。
そう、やはり光学心拍計を使用した計測や分析機能にこそ「DW-H5600」最大の価値があるのだ。では、次章ではそれらについて報告しよう。そして、私に致命的な危険が発見される!?
本当の自分に出会う時計
日常の健康維持に役立つ計測・分析機能を持つ「DW-H5600」だが、その基本技術は上位機種である「GBD-H2000」を受け継いでいる。 たとえば、ケースバックの光学心拍計はこの上位機種と同じもの。医療用途ではないものの、使用されているLEDとフォトダイオードの配置関係などが調整されており、GBD-H2000と同様に計測精度の向上が図られている。
また、その心拍計による計測データの解析には、フィンランドのウェアラブル機器メーカーであり、トレーニング分析に定評があるポラール・エレクトロ社のアルゴリズムを使用。本格的なトレーニング分析や睡眠計測が可能となっている。
では、連携アプリ「CASIO WATCHES」の画面を見て行こう。まず、時計をスマートフォンに常時接続した状態で普通に生活している状態だ。なお、初回接続時にユーザープロフィールとして名前と生年月日、性別、伸長、体重、1日当たりの目標歩数、目標消費カロリーを設定している。
毎日1日ごとの歩数と消費カロリー、心拍数をわかりやすく表示。そこから特定の日をタップすると、歩数と消費カロリー、心拍数の関係がわかるグラフ睡眠解析のグラフなどを見ることができる。なお、睡眠の解析結果は、数日計測を続けると見られるようになるようだ。
ちなみに、この画面は私のリアルな睡眠の計測結果だが、睡眠の中断の多さが目立つ。しかも約6時間の全体睡眠時間のうち、計54分も中断がある。
何それ! ヤバいんじゃないの? いや冗談でなく主治医に相談してみようと思う。
と、思わぬところで心配な病状が発見されることとなってしまったが、おかげで手遅れになる前に医者に相談する機会を得ることができた。真面目な話、何気なく過ごす日々のなかでは睡眠障害のリスクなど気付くこともなかったろう。
ついでにアクティビティの計測結果画面も見てみよう。「DW-H5600」はランニング、ウォーキング、ジムワークアウト、インターバルトレーニングの計4種類のアクティビティ計測に対応しているが、今回は「ウォーキング」を選択。左上のボタンを押して左下のボタンでウォーキングを選び、もう一度左上のボタンを押すと計測を開始する。
ちなみに、このボタン操作がやりにくいという声が一部にあるようだ。私はG-SHOCKの操作に慣れているのでそれほど苦には感じないが、画面タッチであれこれ操作できるスマートウオッチに慣れている人は不便に思うらしい。なるほど気持ちは分からないでもない。が、押しやすくすると誤操作が増えたり、デザインが犠牲になったりするので私はこれでいいと思う。
なお、右下のボタンはキャンセル(戻る)ボタンに設定されており、押すたびにひとつ前の画面に戻るのだが、長押しすると一発でホーム画面(時刻表示)に戻る。これを使うと操作性が向上する。
「DW-H5600」にはGPSは搭載されていないが、スマホのGPSを関連付ける設定をしておけば、ランニングやウォーキングのログには移動軌跡付きのマップが表示される。軌跡に色が付いているのは運動強度で、青の部分より緑色の部分が大きく負荷がかかっていることを示す。各計測値はマップと連動しており、緑の部分では歩行速度が低下して心拍数が上がり、ピッチ(1分間当たりの歩数)が上昇していた。これらのことから、緑色の部分は上り坂であることがわかる。
また、コースを通しての最大心拍数や平均心拍数も表示される。そのため、ウォーキングを続けていても狙った効果が現れない場合は心拍数を少し上げるように歩くなど、改善に役立てることができそうだ。
ただ生活するだけ、運動するだけでは気付かない「本当の自分」。それを正しく知ることが健康な日々を送る第一歩であり、同時に大変興味深いことだ。そして、そのためにはできるだけ長時間着けて多くのデータを収集する必要がある。つまり、長時間着けていられるデザインであることも大切なことなのだ。
唯一気になったのは、時計を外してしばらく経つと、スマホとの接続が切れてしまう点。これは、時計を使っていない間はなるべく省電力に抑えるための仕様である。使い続けるうち、そのたびに再接続の操作をしたりせず、気にせず再び腕に着けて使っているといつの間に自動的に再接続していることに気付いた。「今走ったから、結果をすぐに見たい!」「現在の歩数がこんなに少ないはずがない!」などとピリピリせず、「ひと仕事終えたらチェックしてみようかな」くらいの気分的余裕を持って使いたい。
本当の自分と出会う時計、G-SHOCK「DW-H5600」。一度使えば、仕事中も睡眠中も、文字通り手放せなくなりそうである。
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