アドバンテージは「柔軟性」と「スピード」

サービスにおいては、自社ネットワーク網、専用線によるクラウド接続サービス、「バズワード」になっているというSD-WAN、そしてSDNを活用したネットワーク優先制御、ネットワークセキュリティなどが注力分野となっている。

中でも、SD-WANは欧州ではかなり普及しているが、日本ではこれから。IDC Japanでは、2021年~2026年の年平均成長率を17.8%と予想しており、ColtでもSD-WANの案件が増えていると大江氏はいう。

「ネットワークが重要な社会インフラになっており、企業の注目も高まっています。同時に、できればコストをかけずに堅牢なネットワークが得られないかという需要も高く、このニーズを満たすのがSD-WANとなります」(大江氏)

また、建設、製造、小売などにおいて、期間限定で安定したインターネットが必要といった事例も増えているそうだ。このようなニーズに対し、Coltは帯域を保証した高品質なIP接続を提供するという。

このように、帯域トレンドの変化、ユーザーの使い方に柔軟に対応することができることは、Coltの差別化のポイントとなる。

サービスの優位性に加えて、大江氏はスピードの競争力も強調する。回線のスピードだけでなく、「提案、契約、実装までの時間も短いと喜ばれています」と同氏。こうしたことから、日本企業が海外進出したり、海外企業が日本でオフィスなどを設置したりする際に、Coltが最初の窓口になることも多いという。

「ソリューションとリレーション」でSI事業を強化

物理網に加えて、SD-WAN、オンデマンド(「Colt On Demand」)、クラウド接続に拡大する製品戦略を受け、大江氏はアジア全体の営業責任者として、どのような戦略を描いているのだろうか。

エンタープライズ、キャリアパートナー、SIと3つのチャンネルがある中で、特に注力しているのがSI事業者だ。「これまで培ってきたSI事業者との関係をColtでも生かしていく」と大江氏。SI事業者側も、ネットワークをマネージド形式で提供したいというパートナーが多く、「ここに刺さるようなソリューションを提供していきます」と、同氏は語る。同時に、SI事業者が必要とするデータセンターまでのカバレージの拡充、品質にも取り組んでいる。

入社後、SI事業者に精通した顧問の採用も行った。SI事業者と協力関係を構築するには、「リレーションとソリューションの両方が必要」と、大江氏はその狙いを説明する。このような日本におけるSI事業者との関係構築は、グローバルでも期待されていた部分だと明かす。

Go To Market戦略全体の見直しも進めた。これまでは、企業グループに分けたティア構造のピラミッド型をとっていたが、売上高と成長性をそれぞれ軸にとったマトリックス型に変えていく。成長性の高いところはハイタッチのエンタープライズセールスが、残りはテリトリーセールスとインサイドセールスの組み合わせでカバーするという形に再設計した。

長期的な成長戦略を支えるユニークな社風

大江氏が入社して実感している魅力は、製品戦略や市場におけるポジションだけではない。「ダイバーシティが浸透しており、サステナブルを重視している文化があります」(同氏)

Coltのトップアジェンダは、「お客様とサステナブルなビジネス成長を実現すること」。つまり、短期よりも長期的な成長戦略を重視しており、それをESG経営で実現していく。

Coltの本社は英国だが、「イタリア、ドイツなど多くの国が集まる欧州ならではの雰囲気が、ダイバーシティにつながっています」と大江氏は話す。

その最たる例が、グローバルCMOを務める日本人の水谷安孝氏だ。AIを駆使したマーケティング手法で売上に貢献しており、英Data Economy誌の「世界で最も影響力のあるマーケター 50人」にも選ばれた。つい先日は、ケンブリッジ大学ジャッジ・ビジネススクールのゲスト・スピーカーに選出された。国籍だけではない。性別でも、グローバルのエグゼクティブに占める女性の比率は4割を超えているという。

そのようなダイバーシティは、働きやすさにもつながっているようだ。「カルチャーとして居心地が良く、ポジティブ。人材の確保は、これまで勤務したIT企業では大きな課題でしたが、Coltは応募が多くて驚いています」と大江氏は話す。

最後に大江氏は今後の抱負として、「長期的にじっくり成長するという戦略を、過去3年最も伸びているアジア市場として支援していきたい。まずは、安定してサステナブルに成長する基盤を構築して確立します。次に認知を上げて、海外に進出する日本企業を貢献して行きたいです」と、力強く語っていた。

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