刺激的な「辛さ」と「痺れ」に中毒者続出の「鬼金棒」
今回お邪魔したのは、神田にあるラーメン屋「鬼金棒」。刺激といえば唐辛子の「辛さ」中心だったラーメン業界に山椒の「痺れ」という新たな視点を持ち込んだパイオニア。
2009年にオープンして以来、数多のテレビや雑誌に取り上げられるほどの名店です。
一歩お店に入ると、黒を基調とした空間に鬼のお面や金棒が至るところに飾られています。お囃子のようなBGMが流れ、普通のラーメン屋では感じられない不思議な雰囲気を体験できる店内です。
運ばれてきた瞬間からグッと胃袋をつかまれる「カラシビ味噌らー麺」
着席してから数分、食欲が刺激されるスパイシーな香りとともに運ばれてきたのは名物の「カラシビ味噌らー麺」。(写真は肉増しカラシビ味噌らー麺)
オリジナルの調合味噌を使ったスープに唐辛子と山椒の痺れ油を加えた、まさに「鬼に金棒」な一杯となっています。
こってり深みのある味噌スープの上には角煮のチャーシュー、味玉、もやし、ネギがトッピングされ、焼き目のついたヤングコーンが乗っているのが印象的。このヤングコーンは金棒に見立てているそうです。
ずずっと啜った瞬間に口の中に広がるのは、味噌の甘み。同時に豚骨や鶏ガラなどの旨味も感じられます。その後に来るのがブワっと汗が噴き出す唐辛子の辛さと爽やかな山椒の痺れ。この甘さとスパイシーさの緩急が癖になりそうです。
唐辛子の辛さと山椒の痺れは注文時に調整可能。その量に応じて提供時の器の色が変わってくるそうです。看板の両端にはおどろおどろしい鬼が踊っていて、ついつい多くしてしまいそうになりますが、最初は適量にしておいた方がよさそうです。
麺は鬼金棒特製の三種混合麺。よほどのラーメンマニアでなければ聞き馴染みのない言葉だとは思いますが、一玉の中に太さの違う種類の麺が同居している変わった麺です。なんと、切り刃から特注して製麺所に作ってもらっているとのこと。
タフな歯ごたえとともに小麦の甘みや香りを感じられ、絶妙なバランスでスープやシャキシャキの野菜との立ち位置を保っています。カラシビのスープは存在感のある麺との相性がいいです。
具材はチャーシューの味わいがキラリと光ります。一般的なラーメンのチャーシューとは違い、八角の香りと甘みがアクセントとなっていて、刺激的なスープの箸休めにぴったり。 箸でつまむだけでホロホロとほぐれる柔らかさがあり、地獄の底に蜘蛛の糸を垂らすお釈迦様のような存在です。
世界に店舗を広げる「鬼金棒」はどうやって生まれたのか?
今回お話をお伺いしたのは、鬼金棒の代表取締役 三浦正和さん。東京・月島出身。麺屋武蔵でラーメン職人として10年ほど修業したのち、ラーメン激戦区の神田に鬼金棒をオープン。今では国内に2店舗、海外に5店舗を展開するラーメン店に広がり、最近では神田本店の隣にカレー屋を開店。気さくにいろいろなことを話してくれる方で、時折人懐っこい笑顔を見せてくれました。
――本日はよろしくお願いします。普段からよく利用させていただいております。現在の「鬼金棒」に至るまでのお話を教えてください。
三浦:24歳くらいのときにワーキングホリデーでオーストラリアに行ったんですよ。そこから、いつかオーストラリアでラーメン屋を開きたいなと思うようになりました。実現させるために、麺屋武蔵で修業をさせてもらったんですよ。
――なるほど! 麺屋武蔵で修行はどれくらいされていたんですか。
三浦:麺屋武蔵で10年くらい修業したあとに、神田に店舗を構えまして、現在のように店舗を広げていきました。
――オープン当初からカラシビってものを目指していたんですか?
三浦:はい、最初からコンセプトは『カラシビ』でいくと決めていました。当時、テレビの取材が入っていて、オープン日はその都合で決まっていたんですよ。ただ味は全く決まっていなくて。一週間、三日とオープン日が迫ってきて……。うわっどうしようと思っていたところ、ひょんなミスがあり、今の味が誕生して無事にオープンにこぎつけました。
――かなりギリギリでできあがった味なんですね。
三浦:そもそも雪平鍋で調理する予定で、2日前に中華鍋を使うって方向に決まったんですよ。新しく作った作業台を全部捨てて、突貫工事を業者に依頼して無理やり変えました。
――カラシビの誕生がそんな突貫だったとは……。
三浦:ただ、昔から辛くて痺れてパクチーが入ったラーメンを作りたかったんですよ。麺屋武蔵で働いていたときも限定ラーメンで山椒をふんだんに使用したラーメンを出したりとか、パクチーの入ったラーメンを作ったりとか。それが今に生かされていると思います。ただ、実は今でも完成しているとは思っていなくて、この14年間ちょっとずつ変えていますね。
――進化し続けているのですね。2009年頃は辛い系のラーメンはありましたけど、痺れる系のラーメンはまだ世の中に浸透していなかったじゃないですか。そこらへんは苦労されましたか?
三浦:それはもう。当時はそんなの食べ物じゃないとかいろんなこと言われましたね。あと一緒にオープンするスタッフからも「カラシビってなにそれ! 恥ずかしいよ」って言われたのを覚えています。
――ちなみに当時からこれは流行るな、と思っていましたか?
三浦:いや、一か八かの賭けでしたね。ダメだったら別のお店やろうかなと……。ただ、思い切ってやってみようとは思ってました。
――賭けに成功したわけですね! お客さんに向けて、ここに注目して欲しいところはありますか?
三浦:食べるだけじゃなくてお店の雰囲気を含めて体験として楽しんでほしいですね。お店のコンセプトは『五感で楽しむらー麺店』ですので。目で見て楽しんだり、耳で聞いて楽しんだり、人に教えたくなるようなラーメン屋を目指しています。
――体験とはどんなものですか?
三浦:うちではオープンキッチンにしていて、調理中に火柱が上がります。それが鬼が地獄で調理している様に見えたり、そして、たくさんの鬼に睨まれ、和太鼓のBGMを聞きながら自分自身を鼓舞させて辛さと痺れと格闘をして、ランナーズハイならぬカラシビハイになって、爽やかな余韻に浸れます!
――たしかに店構えから楽しめました。最後に今後の「鬼金棒」としての展望を教えてください。
三浦:やはりまずはアジアに進出して「アジアの鬼金棒」として有名になって、そして欧米の方に進出していけたらなと思っています。
――欧米の方にもウケそうですか?
三浦:現在、たくさんの欧米のお客さんがご来店してくださっています。反応はとてもよいので喜んでいただけると思います。
――とても面白い話をありがとうございました。
ラーメン戦国時代にカラシビというジャンルを切り開いた「鬼金棒」
平日でも行列が出きるのは当たり前の超人気店ですが、通し営業なので16時~17時くらいが比較的すんなりと入れることがあります。カラシビの量を変えるだけで全く違う味わいになるので、何度も通って自分のベストの味を見つけるのがオススメです。
気になった方はぜひ鬼金棒のカラシビ味噌らー麺を味わってみてください。
カラシビ味噌らー麺 鬼金棒 神田本店
営業時間:11:00~21:30(月曜日~土曜日・祝日含む)、11:00~16:00(日曜日)
住所:東京都千代田区鍛冶町2-10-9
[PR]提供:株式会社鬼金棒