G-SHOCK 40周年を機に復刻して進化を遂げた『G-B001』。伝説のモデルとしてファンの記憶に刻まれる『DW-001』がどんな経緯を経て『G-B001』に生まれ変わったのか、商品企画を担当したカシオ計算機 企画部 第一企画室 井ノ本脩氏に詳しく伺った。
『G-B001』誕生のストーリーについては、別記事 『レジェンドモデルが帰ってきた - 時を経て復刻した「G-B001」発表会から』ですでにお伝えした通り。そこで、ここではディテールの写真も含め、より深く紹介したい。
なお『G-B001』の機能や仕様についても、別記事 『G-SHOCK、あの「ジェイソン」が着脱式ベゼルをまとって現代に甦った』をご覧いただければ幸いだ。
---「元になった『DW-001』から今回の『G-B001』へと進化した点を教えてください。
井ノ本氏「大きく分けて、次の3点が挙げられます。構造、モジュール(機能)、そしてバンドの進化ですね。」
井ノ本氏「まず構造については、『DW-001』のカプセル型の外装でモジュールを包み込む「カプセルタフ」というコンセプトで開発された耐衝撃構造を再解釈して、カプセル型でありながらそれを”開ける楽しみ”を追加しました。」
井ノ本氏「すでにファンの方には周知いただけているであろう、2色整形ベゼルを外すと別のデザインのステンレスベゼルが現れる、という構造です。ここには、人気モデル「GA-2100」などでも使用されているカーボンコアガード構造が採用されています。」
井ノ本氏「2番目のモジュールについては、現代モデルらしく今回新たにBluetoothによるモバイルリンク機能やワールドタイム、残照機能付きLEDバックライトを搭載しました。これも、現在の高密度実装技術があればこそ実現したといえます。
そしてバンドは、スライドレバーによる交換式を採用しました。イエローのモデル『G-B001MVE』には交換式のベゼルとバンドが付属するので、これらを付け替える楽しみも味わっていただけます」
---カプセルを開ける、つまり樹脂製のベゼルを取り外せますが、ステンレスベゼルが露出した状態での使用もアリなのですか?
井ノ本氏「もちろんです。この状態での耐衝撃性能もG-SHOCKとしての社内基準を満たしています。いわば2Wayで使えるので、お使いいただくシーンに合わせて異なるビジュアルで使い分けていただけます。」
---ちなみに、このベゼルは顔でいえばマスク部分に当たりますが、これを着けるか着けないかは、ちょうど現在の社会問題に重なりますね。ひょっとして、社会へのメッセージが込められた奥深い演出……。
井ノ本氏「ではまったくありません。ただの偶然です(キッパリ)」
---ですよね(そりゃそうだよ)。ところでステンレスベゼルは、どうせならもっと突き抜けたデザインにしてしまう手もあったのでは?
井ノ本氏「実はそのような案もあったのですが、あまりにもやりすぎてしまうとモデルが変わってしまうので……」
---こんなの俺たちの『DW-001』じゃない! と反対意見がでたら困りますもんね。
井ノ本氏「そうなんです。そもそも今回復刻するモデルとして『DW-001』を選んだ理由は、G-SHOCKファンが長く支持してくださっているモデルだから。なので外観はあくまで大きく変えずに、今だからこそできる進化を込めたものにしたかったんです。そんなわけで、最終的にはケースの円形フォルムに収まりの良い形になりました」
---それでもせめてベゼル下部の穴の形は変えようということですね。発表会では、ロボットをイメージしたレトロフューチャーデザインということでしたが。
井ノ本氏「デザイナーがこだわって上手くまとめてくれました。ちなみに、スリット形状の穴からはなかの文字板がちらりと覗いて見えるんですが、ここもデザインのポイントですね。とくにグレー×ゴールドの『G-B001MVB』の文字板は蒸着を使用しているので、角度によってキラリと光るんですよ」
---そしてカラーといえば、イエローモデルのレインボーIP! これも代表的な進化ですね。
井ノ本氏「イエローはG-SHOCKが初めて時計に持ち込んだカラーのひとつで、『DW-001』でも人気色でした。そのため、イエローモデルにはとくに気合が入っています。レインボーIPもその特別仕様のひとつです。」
井ノ本氏「レインボーIPを使った理由は、見た目のインパクトや技術進化のアピールに加え『DW-001』がサーモセンサーを搭載していたことにちなんだ”ヒートグラデーションのイメージ”もあります。外見だけでなく、こういった新しい個性も、実は『DW001』へのリスペクトが込められているんですよ」
---最後にバンドですが、これも開発には苦労されたとか。
井ノ本氏「『DW-001』のバンドの付け根付近にはメタルパーツがインサート整形されていました。またラグの内側には、時計がぴったりと腕に沿うように支えるショックアブソーバーがセットされていたのです。
これらもモデルの強烈な個性ですから、もちろん再現するつもりでした。しかし『G-B001』にはこれに加えてバンドの交換システムを搭載するという仕様が決まっていて、どう両立させるかで悩みました」
---なるほど、メタルパーツをインサートするとスライドレバーの搭載スペースとバッティングしそうですし、スタビライザーがあるとバンドのスライドスイッチが隠れてしまう……。
井ノ本氏「はい。そこでバンドのインサート部品材をファインレジンに置き換え、ショックアブソーバーは形状を”コの字”にすることでスライドスイッチを操作できるようにしました。また、(ショックアブソーバーの)材質もより強度のある樹脂に換えています。
井ノ本氏「バンドに限らず『G-B001』は、あらゆる課題を設計や製造担当のチームが徹底的に仕様を詰めてくれたおかげで実現できたモデルなんです」
井ノ本氏の言葉を聞けば聞くほど、『DW-001』へのリスペクトとそのファンに応えたいという情熱が伝わる。
G-SHOCKが培ってきた技のデパートともいえる『G-B001』。オリジナルの『DW-001』を知る世代はもちろん、純粋な最新作として受け止める世代にとっても、見逃せないモデルとなるに違いない。ちなみに発売日は、2023年1月「27日の金曜日」だ。
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