温室効果ガス排出量増加がもたらす気候変動問題は、私たちが暮らす社会に大きな影響を及ぼしている。特に2015年12月に「パリ協定」が採択されて以降、先進国を中心に各国が具体的な数値目標を挙げて、温室効果ガス排出削減のための取り組みを積極的に進めている。
自動車や航空・宇宙、物流など各産業の取り組みも活発化しており、特に自動車業界では、走行中に二酸化炭素を排出しない燃料電池車(FCV)や電気自動車(EV)の開発が急速化。気候変動問題解決の一助となることが期待されている。
これら社会的課題に真正面から向き合い、国や自治体、企業など、さまざまな組織をつなぐ「ハブ」となって、より良い社会の構築を支援しているのが、EYストラテジー・アンド・コンサルティング(以下・EY)だ。
同社を代表してAdvanced Manufacturing & Mobility(以下・AM&M)の早瀬氏、伊藤氏、Strategic Impact(以下・SI)の尾山氏、田村氏に、EYのパーパス(存在意義)や具体的な取り組み、将来展望などについて語っていただいた。
より良い社会の構築を目指して、私たちEYが取り組んでいること
――まずは、AM&MとSIUのミッションや取り組みについて教えてください。
早瀬さん:EYでは、銀行・証券や医薬・医療、消費財・小売流通など業種・業界別にセクターを編成し、各セクターが専門性を発揮してクライアントの課題解決に貢献しています。AM&Mは航空宇宙、化学、自動車、輸配送など複数のサブセクターで構成。 “あらゆる人々が豊かさを享受できるために、モビリティエコシステムを創出する”というAM&M独自のパーパスを掲げ、 “モビリティ(移動)”に関わる課題に対応しています。
“モビリティ(移動)”と聞くと、多くの方が自動車や航空・輸送などの業界をイメージされるかもしれません。しかし私たちが対応しているのは、これら業界に限りません。エネルギーや金融など、移動に関わるすべての業界をカバーしており、セクターの枠を超えた課題にも対応しながら、AM&Mのパーパスに掲げている“モビリティエコシステムの創出”に尽力しています。
尾山さん:SIは2019年8月に創設された新しいユニットで、その名の通り社会的インパクトの大きな課題を取り扱っています。幅広い領域をカバーするクロスセクターに分類されており、プロジェクト単位ではなく、社会そのものが直面している課題に対してアプローチしています。ESG(環境・社会・ガバナンス)を各企業が追求するための仕組みづくりについて検討する“ESG Economics Strategy”や、Society5.0の実現を目指す“Smart Society Strategy”など4つのチームがあり、私はESG Economics Strategyのリーダーを務めています。
企業と企業、産業と産業をつなぎ、社会の全体最適に取り組む
――近年、AM&MとSIUが注力しているテーマについて教えてください。
尾山さん:現在、注力しているテーマの1つに“気候変動問題”があります。2015年にパリ協定が締結され、日本でも“2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする”という脱酸素社会の実現に向けた宣言がされました。では、あらゆる産業が経済活動を行ううえで温室効果ガスを排出しないようにするには、どうすべきなのでしょうか。筆頭に挙げられるのが、<自動車セクター>です。
早瀬さん:ここ数年、一般消費者も含めて社会全体が気候変動などの社会問題に注目するようになりました。経営者が直面する課題も気候変動に関連したものが多く、その解決には企業単体ではなく、業界や国という枠を超えた取り組みも必要になってきています。経営者が自社の利益追求だけを優先させるのではなく、“より良い社会のために、時には競合他社と連携しながら課題解決に向き合う”という姿勢を抱くことも重要になっています。
尾山さん:今後は、複数の企業や産業が融合・統合する“産業コンバージェンス”がより一層、重視されることでしょう。自社の利益追求という個別最適ではなく、社会全体の最適化を目指す視点が不可欠です。しかし気候変動問題が重視されるようになったのはここ最近であり、そのため、多くの企業が産業コンバージェンスに興味はあるものの実現する方法がわからず、立ち止まっているような状況です。
例えば自動車メーカーを例に挙げると、資源の採掘から工場への輸送、生産といった全プロセスで温室効果ガスの排出をゼロにするのですから、これは大変なチャレンジになります。そこで、私たちEYが企業と企業、産業と産業をつなぐ潤滑油のような役割を果たして、全体最適な社会づくりの実現に取り組んでいるのです。
早瀬さん:そもそも、EYでは全グループファーム共通のパーパス(存在意義)として、“Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)”を掲げています。この言葉には、EYの優れた知見や専門性を発揮して、すべてのステークホルダーに向けて長期的価値を提供することで、より良い社会の実現をするという意味が込められています。そのため、企業や業界の利益追求に貢献することだけがEYの目的ではなく、その先にある政府や国際組織にも働きかけながら、より良い社会の構築を目指している点に大きな特徴があります。
――AM&MとSIUの連携についてはいかがでしょうか。
尾山さん:前述の通り、EYではセクターの枠を超えた課題と向き合うことがよくありますから、AM&MとSIUの連携も日常茶飯事といってよいでしょう。私がリーダーを務める“ESG Economics Strategy”では、気候変動に関わるリスクの分析や国際機関が発出する情報等に依拠した将来予測を日常的に行っています。特に最近はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づき気候関連財務情報の開示を行う企業への支援も主要テーマであり、あらゆる業界に対して、どのような対応が望ましいのか検討。そのうえで、各セクターと情報を共有しています。
早瀬さん:SIUが気候変動に関わるリスクや企業としてのあり方を分析・検討しているのに対して、私たちは現場目線――つまりクライアントに寄り添いながら、実現可能なアドバイスをすることが求められています。尾山が話してくれた通り、AM&MとSIUが常にコラボレーションしているからこそ、今、まさにクライアントが向き合うべき課題に対して、的を射たアドバイスや実行支援をすることができるのだと実感しています。
子どもたちに胸を張って「これが私たちの仕事だ」と、心から誇ることができる
――AM&MとSIUの若手メンバーを代表して、コンサルタントの伊藤さんとマネージャーの田村さんにお聞きします。2人がEYに転職した理由は?
田村さん:前職は国際協力系のコンサルティングファームで、途上国や新興国の産業振興支援に携わってきました。途上国や新興国でもカーボンニュートラルの動きが活発化しており、世界全体として対峙すべきアジェンダである気候変動問題の解決に貢献したいと思ったことが、EYに転職した理由です。
伊藤さん:私は大手自動車サプライヤー出身で、激動の時代にある自動車業界の今後を考えるうえで“競合・異業種との連携を通したエコシステムの形成“が必須だと考えるようになりました。この考えを実現するため、EYに転職しました。
――現在、どのようなプロジェクトに携わっていますか。
田村さん:私は“ESG Economics Strategy”に所属しており、主にTCFDに関連したプロジェクトを担当しています。気候変動に関する将来シナリオとそれらが企業経営に与える影響を予測し、対応策を検討・提言することで、企業のレジリエンス(強靭性)向上を支援しています。
伊藤さん:大手日系自動車メーカーや財閥系総合商社、地方自治体などのクライアントに対して、“移動”を軸にした戦略立案を行っています。クライアントごとに取り組むべきアジェンダが異なるため、その都度、調査・分析から戦略策定・事業構想を通じた課題解決を実施しています。
田村さん:クライアントと直接向き合って感じるのは、多くの経営者が気候変動という社会問題に対して真摯に取り組もうとしていることです。世の中を良くしていきたいという強い意欲があるものの、目まぐるしく変化する社会において今、何をすべきか判断できず、EYに相談いただくケースが多いですね。このような熱い思いを抱いているクライアントと伴走できる点に、仕事のやりがいを感じます。
伊藤さん:田村さんに同感です。私たちはクライアントが何気なく意識していること、課題に感じていることの“解像度”を上げて、クライアントにわかる形で“見える化”し、クライアントごとの戦略に落とし込んでいきます。社会全体を見つめながらも、クライアントに寄り添いながら課題解決ができるのですから、非常に社会的意義の高い仕事だと自負しています。
――EYで働く魅力については、どのように感じていますか。
田村さん:EYはメンバー間の交流が非常に活発で、役職やキャリアに関係なく発言しやすい風土が根付いていると思います。また、EYのパーパスに共感して入社したメンバーが多く、社会をより良くしていこうという熱意をもったメンバーがそろっています。実は転職時、EYも含めて複数のファーム(同業界)を検討したのですが、尾山パートナーの“私たちのパーパスは世の中をより良くすること。子どもたちに胸を張って誇れる仕事に携わっているんです”という言葉が、転職の決め手でした。
伊藤さん:EYに転職して印象的だったのが、パートナーとの距離の近さです。 早瀬パートナーは、「こういうプロジェクトがあるけれど、興味がある?」と、必ずアサインの前に声をかけてくれます。私の強みをいかせるテーマなのか、私自身がそのテーマに興味を持てるのか。2つの側面から適切なプロジェクトをアサインしてくれるので、とても感謝しています。
田村さん:尊敬するパートナーのすぐそばで仕事ができるのですから、とても恵まれた環境に身を置いていると思いますね。
早瀬さん:若い2人にそこまでほめてもらえると、逆に照れてしまいますね。2人が話してくれた通り、EYにはフラットでオープンな風土があり、パートナーとコンサルタントが気軽に会話することがよくありますね。
尾山さん:利己的な視点ではなく、“より良い社会のために”という高い視座をもって、部署間の連携を日常的に行いながら仲間と共に前に進んでいくことができる。ここに、EYで働く最大の魅力があると言えるでしょう。
EYのパーパスに共感してくれた仲間とともに、社会課題と向き合う
――今後も、新たなメンバーを迎え入れて、組織強化を図っていくことと思います。最後に、EYへの転職を検討している方々にメッセージをお願いします。
伊藤さん:私たちEYの取り組みは、いずれも社会に大きなインパクトを与えられるような意義あるものです。本気で“社会をより良くしたい”と考えている方と一緒に働ける日を心から楽しみにしています。
田村さん: EYのパーパスに共感してくださる方であれば、間違いなく充実した日々を過ごせると断言できます。同じ志を持った皆さんを心から歓迎します。活発に意見を交わしながら、より良い社会の実現を目指していきましょう。
早瀬さん:これまでお話ししてきたとおり、気候変動は地球規模で取り組むべき課題であり、特定の企業の利益だけを追求するのではなく、企業や産業同士をつなぎ、社会が一丸となって解決に取り組んでいくことが大切です。EYに求められているのは、課題解決の伴走役となって企業や業界をつなぎ、結果を生み出していくことです。“我こそは”と思っている方々に、ぜひ入社を検討していただけたらうれしいですね。
尾山さん:私たちEYは、“Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)”というパーパスを掲げ、50年後、100年後という長期的な視点で持続可能な社会の構築を目指しています。気候変動の問題には未だ明確なコンセンサスがなく、早瀬さんが話してくれたように複数の企業や業界を束ね、先導していく存在が不可欠です。
だからこそ、これから入社する仲間とともにより良い社会の構築のために何ができるのか、何が必要なのかを考え、形にしていきたいですね。EYのパーパスに共感してくれたすべての方々のチャレンジに期待しています。
パーパスに込められた熱い想いと実行力を強みに、
コンサルティング業界の最前線を走り続ける
今回の取材で伝わってきたのは、「より良い社会のために」と願い、その想いを実現していくEYの力強い想いである。彼らは気候変動という地球規模で取り組むため、クライアントと真摯に向き合いながら一方では社会全体を見渡してあらゆる可能性を考慮し、「未来のシナリオ」を描いていく。そして、どのようなシナリオが実現したとしても、より良い社会につなげられるように戦略や提言を行い、実行まで導いていく。
50年先、100年先のより良い社会のために。彼らはこれからもコンサルティング業界の最前線を走り続け、社会の先導役を果たしていくことだろう。
・【金融セクター】青木 計憲氏インタビュー
[PR]提供:EY ストラテジー・アンド・コンサルティング