OCEANUS(オシアナス)のコンセプト「Elegance,Technology(エレガンス、テクノロジー)」とともに、「伝統と革新の融合」をテーマとして展開する「江戸切子」とのコラボレーションモデル。その第4弾である最新モデル「OCW-S5000EK-1AJF」が発表された。

  • 江戸切子のサファイアベゼルで「斜光」を表現した「OCW-S5000EK-1AJF」

そこで今回は、OCEANUSの商品企画を担当されているカシオ計算機の佐藤貴康氏のご協力のもと、本作の3つのポイントに着目してその魅力を深彫り、いや、深掘りしていきたい。

  • カシオ計算機 技術本部 企画開発統轄部 企画部 第一企画室 佐藤貴康氏

「斜光」を表現したサファイアガラスベゼル

まず、「OCW-S5000EK-1AJF」(以下「OCW-S5000EK」)について軽くおさらいしておこう。本作のデザインにおけるテーマは“斜光”。斜めに差し込む光の変化を表現するため、ベゼルに搭載されたサファイアガラスに伝統文様の「千筋」を施し、ブルーブラックのグラデーション蒸着で着色した。なお、監修と制作はこれまで同様、江戸切子の伝統工芸士に認定された三代秀石 堀口徹氏(堀口切子代表)が手掛けている。

マルチバンド6対応電波時計や、Bluetoothによるスマートフォンリンク、タフソーラーなど、機能や性能はベースモデルの「OCW-S5000」と同様。限定数1,000個で、価格は253,000円(税込)だ。

ちなみに、これまでの江戸切子とのコラボレーションモデルを含めたOCEANUSの「伝統と革新の融合」については、記事 『江戸切子、阿波藍、蒔絵のオシアナスを生んだカシオのモノ作り「伝統と革新の融合」』に詳しく書いているので、そちらもご覧いただきたい。

話をOCW-S5000EKに戻そう。見どころの多い本作でも主な注目ポイントは、以下の3点だ。

1. 「斜光」を表現したサファイアガラスベゼル
2. より鮮やかな青を実現した新規開発の蒸着
3. 光沢が美しいミラーブラックダイヤル

まず、1つめのサファイアガラスベゼルについて。今回のテーマ「斜光」は、堀口氏の作品でも使われる伝統的な江戸小紋「よろけ縞」がモチーフと、佐藤氏は語る。

佐藤氏「模様自体はシンプルな縦線の並びになっています。しかし、よろけ縞のタンブラーに光を当てると、その線が光と影のストライプになって放射状に大きく広がるんです。ここからインスピレーションを得て、光の変化をデザインに落とし込み、堀口先生に今回のコンセプトについて提案しました」

  • デザインのモチーフとなった伝統的な江戸小紋「よろけ縞」を使った江戸切子

このデザインコンセプトに堀口氏が共感して、OCW-S5000EKの開発がスタートする。

佐藤氏「堀口先生は、江戸切子を工芸品単体としての美しさだけでなく『使用した時にどう見えるか』を大切にされています。また、このコラボレーションモデルのシリーズが第4弾になるということもあり、新たな表現に挑戦してみたいと仰っていました」

その新たな表現として、OCW-S5000のベゼルカットの中心はメインダイヤルのセンターではなく、9時位置のインダイヤルのセンターに設定されている。こうすることで、伸びやかに広がる光の筋を表現しているのだ。

しかしそうすると、そのぶんカットラインの密度や長さ、角度は一定でなくなり、難易度は想像以上に高くなる。また、カットラインの数も最初の江戸切子モデル「OCW-S4000C」に比べて7本多い40本となった。これをひとつひとつ、すべて手作業でカットするのだから、堀口氏も並々ならぬ意欲と決意で臨んだことが想像できるだろう。

佐藤氏「OCEANUSのベゼルのサファイアガラスは、ダイヤモンドに次ぐ硬度があると言われている素材です。カットを続けていると、ダイヤモンドカッターの刃がダレてきてしまう。そこで、カットの合間に刃を研ぎ直す『目立て』を何度も行うなど、難しさに加え非常に手間暇をかけながら作っていただいています」

限定数での販売となるのも頷ける話。むしろ1,000個という数を揃えたことに驚きだ。

より鮮やかな青を実現した新規開発の蒸着

OCW-S5000EKでは、江戸切子ベゼルへの着色にブルーからブラックへのグラデーション蒸着を使用している。この蒸着は本作のために新開発されたもの。従来の同色の蒸着に比べ、より鮮やかな青を実現した。これによりグラデーションのコントラストが強くなり、いわゆるオシアナス・ブルーのドラマチックなイメージが増している。

佐藤氏「色味は、9時側の密から3時にかけて広がる切子カットに合わせて、ブラックから鮮やかなブルーへ伸びやかに広がる印象のグラデーションにしています。」

なお、この新しい蒸着はブルーの鮮やかさと同時に、グラデーションの途中に紫色やオレンジにも見える部分もまた印象的に際立たせることになった。

佐藤氏「この紫色ですが、実は偶然の産物なんです。この色が生じることは想像していませんでした。ただ、社内でも『上品な色でいいね』という意見が多く、この蒸着色が採用になったのです」

夕闇迫る美しい夕暮れの空も思わせる色だ。まさに時間とともに移ろう自然光の表情を映し出す水面(みなも)のようで、この時計に似合っている。

  • 新開発の蒸着色により、ベゼルのオシアナス・ブルーはより鮮やかに

  • 黄昏の空を映す水面のような美しさ

蒸着の話が出たところで、ベゼルの加工手順についても簡単に説明しておこう。

ベゼルの加工手順

      
1. サファイアガラスをベゼルリングの形状にカットする

  • 左から、サファイアガラスをベゼル形状に切り出したもの、それを研磨した状態、堀口切子で千筋を入れた状態、着色を施したもの

      
2. ベゼルリングを表裏、内側の切断面も含めて研磨する
      
3. 堀口切子で裏面にカットを入れる
  • サファイアガラスベゼル(裏面)のカットラインのアップ

      
4. 裏面にシルバーの蒸着を施す
  • ベゼルの裏からシルバーの蒸着を施したもの

      
5. 裏面のシルバーの蒸着を剥離、カットラインにのみシルバー蒸着を残す
  • カットラインにシルバーが入ることで、(ベゼルの)暗色部でもカットの精密感や立体感が伝わる

      
6. 裏面にブルーからブラックのグラデーション蒸着を施す
      
7. ベゼルの反射率を上げるため、裏面にもう1度シルバー蒸着を施す
  • 完成したベゼル(右)と、それをケースにセットしたもの(左)

さすがはOCEANUS Mantaのスペシャルモデル、加工手順を見ればそこに妥協という文字はないことが分かる。

佐藤氏「切子のカットへシルバー蒸着を入れる手法は、第1弾の時に確立しました。第1弾の開発当時、切子の艶やかでシャープなカットをより映えさせる方法は無いか試行錯誤をして編み出した手法です。手間はかかるのですが、この工程のあるなしでデザインの完成度が大きく変わってきます。必須の工程ですね。」

  • 光の角度によっては、こんな表情も。これもカッティングラインにシルバーを入れた効果だ

光沢が美しいミラーブラックダイヤル

江戸切子のサファイアガラスベゼルは本作の最大の特徴であり、キービジュアルだ。しかし、それに負けず劣らず美しく、かつ主役のベゼルをより魅力的に引き立てているのが、ミラーブラックのダイヤルである。

  • 光沢の高級感に加えベゼルとの一体感が素晴らしい、ミラーブラックのダイヤル

このキラキラと光沢を放つ漆黒の文字板には、佐藤氏曰く「蒔絵のOCEANUS『OCW-S5000ME-1AJF』で開発した文字板技術を使用している」とのこと。 前出の記事でも触れているとおり「樹脂製の文字板に特殊な加工をしたり精密な研磨をしたりして、この美しさを出している」のだそう。ただ、光沢の文字板は扱いが難しい。工場での組立作業時、あるいはユーザーが使用中にもし針が触れれば、傷が付き、たちまち美観を損ねてしまうからだ。これらの課題を、カシオの品質基準をクリアして採用するのに苦労したそう。

最後に、OCW-S5000EKはどのようなシーンで着けることを想定されているか聞いてみた。

佐藤氏「OCEANUSのなかでもケースの薄さと洗練されたフォルムを追求しているMantaは、やはりスーツに合わせることを基本にデザインされています。本作は、とくにお客様が輝くシーン、たとえば大きな商談やプレゼンテーションなどで着ける時計としても活躍するでしょう。腕元でキラリと輝くオシアナス・ブルーの江戸切子は、伝統工芸の職人の方々をはじめ、時計の製造や技術開発に携わった多くの人々の『ジャパンプライドが結集した本物』。これを身に着けることで、ここぞという時に背中を押してもらえるというか、勇気や自信が湧くと思いますね。


また、近年はビジネスカジュアルのスタイルも定着しました。そんなシーンでもいい時計を着けることでファッションがぐっと引き締まりますし、社内外で注目されますよね。実際、『会社に着けている人がいてカッコ良かったから』という理由でOCEANUSを買われたといった声も耳にすることがあります。」

  • OCW-S5000EKは時刻だけでなく、あなたのスマートさとセンスを語る時計でもある

なるほど、スーツの袖から覗く鮮やかな江戸切子のベゼルは上司や同僚の注目を集めるに違いない。と同時に、個性的な存在感とデザイン性の高さから、オフタイムを充実させるアイテムにもなるだろう。これからの季節、たとえばジーンズに白のTシャツとデッキシューズでも、この時計を着けるとそれだけでセンス良く、カッコ良く見えそうだ。それにケース厚わずか9.3mm、質量82gの快適な着け心地は、心身を休めたいオフの日にこそ嬉しいポイントともいえる。

  • 厚み9.3mmのスリムさと流麗なフォルムを誇るサイドビュー

佐藤氏「そんな使い方も十分アリですね。OCW-S5000EKはビジネスシーンを主軸には据えていますが、より守備範囲の広い時計と考えています。いわゆるキレイめカジュアルなファッションにも似合いますので、どんどん着けていただきたいですね」

  • 佐藤氏にも実際装着してもらった。カジュアルなファッションにもぴったりだ

こだわりが詰まった「OCW-S5000EK-1AJF」。その美しいサファイアガラスベゼルを身につけていれば、多くの人から注目を集めることは間違いないだろう。美しく鮮やかで圧倒的な存在感の「OCW-S5000EK-1AJF」を、ぜひ店頭に行ってその目で実際に見ていただきたい。

OCW-S5000EK-1AJFについてはコチラ

[PR]提供:カシオ計算機