社会を取り巻く環境は、時代の流れとともに大きく変化している。テクノロジーの急速な進展や持続可能な社会の実現に向けた地球規模の取り組み、さらにはコロナ禍を機に変貌したワークスタイルやライフスタイルなど。まさに「100年に1度の変革期」とも呼ぶべき時代が到来しており、あらゆる業界がその対応に迫られている。
なかでも金融業界はその傾向が顕著であり、すでに「3つのメガトレンドが上陸している」とEY ストラテジー・アンド・コンサルティング(以下、EY)の青木計憲氏は指摘する。
では、このような状況において、金融業界はどのような対策を打ち出していくべきなのだろうか。金融セクターの統括リーダーとして、金融・保険業界の長期的な成長・発展に寄与してきた青木氏に、「金融業界のあるべき姿」について考察してもらった。
金融業界が立ち向かうべき「3つのメガトレンド」
EYの青木氏は、「3つのメガトレンドによって、金融業界はビジネスモデルの軌道修正を図らなければならない」と指摘する。
第1のメガトレンドは、「ソーシャル・エンバイロンメント(社会環境)の変化」である。
コロナ禍を機に、消費者の「経験価値」に対する期待値が劇的に高まっている。すでに異業種が金融サービスに参入しており、彼らにオーナーシップを握られつつあるのが現状だ。そのため、特に対面型の販売チャネルを主軸としてきた金融機関は、非対面型やデジタルで完結する販売チャネルを導入するなどして、顧客の期待に応えることが急務となっている。
第2のメガトレンドは、「テクノロジー・イノベーションの急激な変化」である。
テクノロジーの急激な進化は、あらゆる業界のビジネスモデルを転換させるほどの大きなものである。金融業界でもフィンテックの台頭により、キャッシュレス決済やロボアドバイザーなど、新たなサービスが次々と誕生してきた。今後もAIやブロックチェーン、IoT、データアナリティクス、クラウドなどのエマージングテクノロジーを活用し、商品・サービスはもとより、マーケティングや販売チャネル領域においても、他社との差別化を図っていくことが重要だ。
そして第3のメガトレンドは、「地球環境・エネルギーの変化」である。
今後、エネルギー革命(水素エネルギーの台頭など)、技術革新(エマージングテクノロジーの台頭など)、カーボンニュートラル、自動運転、スマートシティー、TCFD、インフラの東西間の移動などにより、個人・企業に関する物理的なリスクの所在のシフトや、リスクそのものの変容がますます進むだろう。
一方で、従来の統計学ではなく、リアルタイムのデータ分析技術を駆使すれば、それらのリスクは十分に早期発見ができ、パーソナライズされた予防策を講じることもできる。そうなれば、それ自体を新たな商品や付帯サービスとして提供することで、差別化も図れるため、これも大きな変革といえる。
EY金融セクターが描く、金融業界の「未来予想図」
以上が、青木氏が予測する3つのメガトレンドである。では、青木氏が統括リーダーを務めるEY金融セクターは、これらのメガトレンドに対してどのように対峙し、金融機関の経営をサポートしているのだろうか。以降では、EY金融セクターのパーパス(存在意義)や具体的な取り組み、メンバー構成、今後の展望などを詳しくお聞きする。
――まずはEY金融セクターのパーパス(存在意義)について教えてください。
EY金融セクターの基本的な役割は、日本でビジネスを展開している金融機関にコンサルティングサービスを提供し、経営支援を行うことにあります。金融機関とは、いうまでもなく銀行や証券会社、保険会社のことで、国内・外資系問わず日本で事業を展開している企業が対象となります。
しかし私たちの存在意義は、企業の経営支援を行うことが終着点ではありません。社会貢献や社会平和も視野に入れたサービスを提供していることに、EY金融セクターの最大の特徴があります。今後、3つのメガトレンドが顕在化することで、金融機関はさまざまな困難にぶつかることでしょう。
これらの困難を排除して各金融機関に正しい方向性を示唆し、さらには国民のQOL(生活の質)向上に寄与することで、社会平和をもたらす。これこそが、EY金融セクターのパーパスなのです。
――今後、金融機関はどのようにビジネスモデルの軌道修正を図っていくべきでしょうか。
私たちEY金融セクターは、今後の金融機関に想定される経営アジェンダとして、以下の8つを掲げています。
・ビジネスモデルの再設計・ビジネスポートフォリオの再定義
・データ・ドリブン・カンパニーへのシフト
・レガシートランスフォーメーション
・DXによるCX/EXの向上
・金融リスク・規制対応
・企業防衛と信頼性の向上(FIN CRIME、サイバー対応など)
・人材トランスフォーメーション
・社会インフラとして事業およびESGの強化
「ビジネスモデルの再設計」は、自社のバリューチェーンの一部をエコシステムモデルにシフトするほか、異業種との協業によるビジネスモデルへ変革することが考えられます。
また、「DXによるCX/EXの向上」では、フロントのオペレーションシステムを顧客ジャーニー視点に変革することで、CX(顧客経験価値)/EX(従業員経験価値)を大幅に向上させることができます。
――経営アジェンダを実行するために、EY金融セクターでは、クライアントに対してどのような支援を行っていけるとお考えですか。
例えば第2のメガトレンドに関して。保険業界では、ウェアラブルデバイスによって得られたヘルスデータをAIが分析することで、顧客の健康状態や生活状況に応じた新たなサービスが生まれつつあります。すでに海外では「病気や事故に備える」という従来の保険商品に加えて、健康促進や病気予防などを目的としたサービスも出現しており、今後はこのような社会性の高い取り組みをさらに加速させていくことが求められています。
EYは世界中にネットワークを持つグローバルファームであり、EYならではのネットワークをいかして、このような海外の金融機関の最新事例をいち早く入手しながら、経営施策の実行支援を行うことができます。
――EYのグローバルネットワークについて、詳しく教えていただけますか。
EYは150以上の国・地域に700を超える拠点からなるグローバルファームで、アジア・アメリカ・ヨーロッパの3エリアに「金融セクター」を加えた4つのエリアで構成されています。つまり、金融領域のみ、エリアの壁をなくし、独立した組織にしています。この強みをいかして、クライアントのあらゆる課題に対してスピーディに対応することが可能です。
現在進めているプロジェクトを例にご紹介すると、ある金融機関が社会貢献度の高い新規事業の立ち上げを検討していました。そこで私たちEY金融セクターは、グローバルネットワークをいかして最新事例を共有。新規事業のテーマに関連したベンチャーやスタートアップを世界各国から選出し、マネタイズに向けた計画とともに、ご提案を進めています。
――非常に緊密で強固なネットワークを誇っているのですね。
私自身、ほかのコンサルティングファームに在籍していた経験から感じることなのですが、EYほどスピーディにグローバル連携できるファームはほかにないと自負しています。
メンバー増強により、金融機関のあらゆる課題に応えていく
――EY金融セクターのメンバー構成についてもお聞かせください。どのような専門性を備えた人材が活躍されていますか。
EY金融セクターは約500名のメンバーで構成されており、スキルカテゴリーで分類すると、金融機関での深い知見を持つメンバーが多く在籍しています。具体的には、戦略オペレーションやテクノロジー、リスク管理、人事などの各分野で経験を積んだメンバーが多いですね。また、ほかのコンサルティングファームで金融業界を担当した経験を持つメンバーや、テクノロジーベンダーで金融担当だったメンバーも在籍しています。
このように紹介すると、「EY金融セクターは即戦力を重視している」と感じるかもしれませんが、実際はポテンシャル採用も積極的に行っています。具体的には、金融機関で経営企画に携わってきた方などですね。
――どのような人材を求めていますか。
私たちが最も重視しているのは「人間性」と「我々のパーパスへの好奇心」です。 これまでご紹介したように、私たちは日常的にEYのグローバルネットワークを活用しながら、クライアントの課題に応えています。EYのメンバーはもちろん、さまざまな関係者と関わりながらチームワークを発揮していくため、「EYの仲間としてぜひ迎えたい」と思えるような方を求めています。
その上で、即戦力採用では、金融機関の深いビジネスナレッジ(銀行・証券・保険ビジネス、金融リスク、テクノロジー等)を持つ方や、金融の戦略領域およびDX領域において豊かな経験と知見を有する方、エマージングテクノロジーやデータアナリティクスをはじめとしたテクノロジー領域での経験を持つ方を歓迎します。
――ポテンシャル採用で入社した場合、どのようにして必要なスキルを身につけていくのでしょうか。
EYは育成及びキャリア形成を重視しています。コンサルティング未経験で入社した方には、専任のカウンセリーがついて中長期的な視点でキャリア形成を支援しています。
まずはカウンセリーと一緒に育成プランを作成し、望むキャリアを実現するために必要なスキルや道筋を設定します。そして、年に3回、キャリアの振り返りを行い、適切なプロジェクトがアサインされているか、スキルはどの程度伸びているのかなどを詳細にチェックします。ヘルスチェックも定期的に行っており、本人が前向きに仕事に取り組みながら、キャリアのゴールに近づけるようサポートしています。
――最後に、「EY金融セクターの未来の仲間」に向けてメッセージをお願いします。
これまで何度もお話ししてきたとおり、金融業界は100年に一度の変革期を迎えています。金融機関単体では対応できない課題が増えており、EY金融セクターの力がますます求められていくことが考えられます。つまり、私たちがどのような価値を提供していくかによって、金融業界の未来も変わっていくということです。
だからこそ、EY金融セクターはメンバーの増強を図って、金融機関の経営課題に力強く応えていきたいと考えています。EY金融セクターのパーパスに共感してくれた方とともに金融業界の未来を支え、共に成長していけたら、これほどうれしいことはありません。ぜひ私たちと一緒に、金融業界への支援を通じて、社会平和を実現していきましょう。
金融機関の未来と社会平和を願う若き挑戦者たちへ
わずか数年先の未来すら予測が難しい今の時代において、EY金融セクターの青木氏は社会全体の動きをつぶさに観察し、金融機関のあるべき姿を明確に打ち出した。同社に勤務する若手コンサルタントはEY金融セクターのパーパスを継承し、「金融機関の経営支援を通じて、社会平和に貢献する」という価値ある取り組みを行っている。
彼らに続くのは、同じように金融機関の未来と社会平和を願う若き挑戦者たちだ。今後のEY金融セクターの取り組みに、大いに期待したい。
[PR]提供:EY ストラテジー・アンド・コンサルティング